日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
23 巻, 2 号
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原著
  • 谷口 哲, 渡辺 健一, 福田 和歌子, 齊藤 良明, 近藤 慎浩, 大徳 和之, 皆川 正仁, 福井 康三, 鈴木 保之, 福田 幾夫
    2014 年 23 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:【目的】腹部大動脈瘤待機手術はステントグラフト内挿術(EVAR)が普及し治療成績も安定している.しかし破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)の治療成績は不良であり,EVAR の適応も限定され,成績も不明な点が多い.今回われわれはrAAA に対するEVAR の治療効果について検討した.【方法】2004年4 月~ 2013 年3 月に行ったrAAA に対する緊急手術52 例について検討した.2010 年以前は開腹手術を第一選択とし,2011 年以降はEVAR を第一選択とした.開腹手術(OR 群)は39 例,EVAR は13 例であった.循環動態が不安定な症例に対するEVAR では術前に大動脈閉塞バルーンを挿入した.さらに手術最後に開腹しabdominal compartment syndrome(ACS)を予防した.【結果】rAAA 52 例の周術期死亡率は6 例,11.5%であり,全例循環不安定例であった.循環不安定例は16 例で死亡率は37.5%であった.OR 群とEVAR 群の比較では出血量の減少,入院期間の短縮,自宅退院率の向上をEVAR 群に認めた.周術期死亡率はOR 群12.8%,EVAR 群7.7%であったが,有意差は認めなかった.EVAR 群において術後腹腔内圧は全例20 mmHg 以下であり,ACS や腸管虚血,創感染の合併症も認めなかった.【結論】rAAA に対するEVAR は周術期死亡率の有意な低下を認めなかった.しかし,種々の工夫を加えることで循環不安定例でもACS の発症を予防することは可能である.EVAR 群では出血量の減少,入院期間の短縮,自宅退院率の向上を認め,rAAA に対するEVAR は予後を改善すると考えられた.
第42回 日本血管外科学会学術総会予稿集
抄録
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