日本血管外科学会雑誌
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25 巻
選択された号の論文の71件中1~50を表示しています
講座
  • 小林 修三
    25 巻 (2016) p. 359-365
    公開日: 2016/12/28
    ジャーナル フリー

    透析患者の心血管障害は非透析患者の数十倍以上の危険率で生じ,予後は極めて悪い.根底には炎症から血管内皮障害に加えて血管石灰化が大きな問題となっている.ワルファリンやCa含有リン吸着薬はこの石灰化に大きな悪影響を与えている.臨床的に問題となる以前から組織あるいは臓器の末梢微小循環障害が生じている.こうした問題は冠動脈のみならず末梢動脈さらには頭蓋内白質穿通枝にも共通した問題であり,透析導入以前のGFR30~45 mL/min/1.73 m2から生じている.保存期腎臓病から血圧管理のみならず,リン管理やインスリン抵抗性・アシデミアなどを十分管理し,透析導入後は十分な量の透析やダイアライザーの選択あるいはOn-line HDFなどmodalityの選択など尿毒症病態を改善することである.

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原著
  • 橋本 宗敬, 後藤 均, 赤松 大二朗, 清水 拓也, 土田 憲, 河村 圭一郎, 田島 悠太, 梅津 道久
    25 巻 (2016) p. 1-6
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2015/12/04
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】二次性腹部大動脈腸管瘻に対して,解剖学的血行再建,大網充填術を行い,良好な長期成績を得ているので報告する.【方法】当科で,2009 年から2012 年に手術治療を行った連続する二次性腹部大動脈腸管瘻10 症例に対し,診断,治療,予後について検討した.【結果】症状は,10 例中4 例に消化管出血を認め,出血性ショックが3 例,その他,発熱,腰痛,腹痛であった.人工血管吻合部等に癒着した十二指腸または小腸に瘻孔があり,手術は,感染人工血管と腸管瘻孔を切除し,リファンピシン浸漬人工血管,または自家浅大腿静脈を用いて,解剖学的に血行再建し,腸管再建,大網充填を行った.術後早期に2 例を失ったが,8 例は軽快退院し,術後,33.7~76.2 カ月(中央値51.9 カ月)感染の再燃なく生存している.疾患関連5 年生存率は80%であった.【結論】二次性腹部大動脈腸管瘻に対する解剖学的血行再建による根治手術の長期成績は良好である.
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  • 森崎 晃正, 尾藤 康行, 元木 学, 高橋 洋介, 宮部 誠, 佐々木 康之
    25 巻 (2016) p. 13-18
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2015/12/11
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    要旨:【目的】近年,破裂性腹部大動脈瘤に対してもEVAR が施行され,良好な治療成績が報告されている.今回,当院における破裂性腹部大動脈瘤に対するEVAR の治療成績を開腹人工血管置換術と比較し評価した.【方法】2008 年1 月から2015 年6 月までの間で破裂性腹部大動脈瘤に対して手術加療を行った25 例を対象とした.EVAR(E 群)9 例,開腹人工血管置換術(O 群)16 例認め,治療成績を2 群間において比較検討した.【結果】病院死亡はE 群1 例(11.1%),O 群6 例(37.5%)認め,両群間に有意差はなかった.術中術後因子では,手術時間(E:O=128±28 分:320±176 分),輸血量(RBC;10.7±9.8 単位:24.3±18.4 単位)がE 群において有意に少なかった.【結論】破裂性腹部大動脈瘤に対するEVAR の治療成績は良好であり,開腹手術に比べ輸血量,手術時間を減少でき,有効な術式と考えられた.
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  • 大谷 享史, 中山 泰介, 白坂 知識, 元木 達夫, 来島 敦史, 福村 好晃
    25 巻 (2016) p. 47-51
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2016/01/26
    ジャーナル フリー
    要旨:慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)併存症例に対するステントグラフト(SG)治療時に,術前からの等張性輸液の持続投与,等浸透圧造影剤の使用,造影剤使用量減量を目的とした血管内超音波(IVUS: intravascular ultrasound)使用を原則とした腎保護対策を2013 年3 月から導入した.その有効性を検討した.対象は術前クレアチニン(Cr)1.5 mg/dl 以上または術前estimated glomerular filtration rate(eGFR)45 ml/min/1.73 m2 未満の24 例.腎保護対策を行った12 例(A 群)と導入前の12 例(B 群).術中使用造影剤量はA 群43.8 ml,B 群125.1 ml (P<0.001)であった.造影剤腎症(contrast induced nephropathy: CIN)発生率はA 群0%,B 群41.6%(P=0.01)であった.術後Cr とeGFR の推移(術前値と術後1,3,6,12 カ月値との比較)は,A 群では変化はなかったが,B 群で有意に悪化した.術中の腎保護が遠隔期にも影響を及ぼした.当科で行っている腎保護対策はCKD 症例に対するSG 治療に有効であった.
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  • 松下 昌裕, 池澤 輝男, 坂野 比呂志, 杉本 昌之, 出津 明仁, 玉井 宏明
    25 巻 (2016) p. 69-75
    公開日: 2016/03/09
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    要旨:【目的】破裂性腹部大動脈瘤患者は手術可能な施設へ至るまでに多くが死亡する.そのため,手術前患者搬送が重要である.一宮市で循環器専門病院と心臓血管外科のない市民病院を統合した結果,他院からの紹介搬送以外の,手術可能施設に直接来院する破裂性腹部大動脈瘤患者が増加した.搬送過程が短縮したと思われるので,その影響を検討した.【方法】循環器専門病院と市民病院の統合前3 年7 カ月間の腹部大動脈瘤症例を循環器センター群,統合後3 年9 カ月間を市民病院群とした.両群とも同一チームが腹部大動脈瘤治療を行った.【結果】待機手術の症例数と成績に差はなかった.破裂症例は循環器センター群5.9 例/年,市民病院群10.5 例/年であった.循環器センター群は全例他病院からの搬送であったが,市民病院群は42%が直接来院であった.Hardman index 3 以上の重症例は循環器センター群で14%,市民病院群で39%であった.市民病院群の5 例は手術不能であり,同群の4 例は人工血管置換後に大動脈遮断解除できなかった.破裂全体の死亡率は,循環器センター群14%,市民病院群42%であった(P=0.0410).生存例は循環器センター群5.0 例/年,市民病院群6.2 例/年であった.【結論】破裂性腹部大動脈瘤患者の搬送過程を短縮することで,重症例が増加し,死亡率が上昇した.しかし,有意差はないが,生存例の増加を認めた.
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  • 武井 祐介, 堀 貴行, 清水 理葉, 小川 博永, 桒田 俊之, 柴崎 郁子, 松下 恭, 緒方 孝治, 山田 靖之, 福田 宏嗣
    25 巻 (2016) p. 81-84
    公開日: 2016/03/18
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    要旨:【目的】EVAR 後,エンドリークに対する開腹再手術方法の工夫を報告する.【方法】2008 年6月から2015 年5 月までEVAR 306 例を施行し,エンドリークにより開腹手術に至った11 例(3.6%)の手術方法を検討した.経腹膜アプローチ,経大腿動脈的にwire/balloon を挿入し血管内操作が可能な状態で瘤切開を行う.【結果】11 例のエンドリークはType Ia 2 例/Type II 7 例/Type IIIb 2 例.血管内操作を3 例(27%)に施行した.Type Ia 2 例に対するballoon 圧着およびフェルト縫縮とballoon 遮断および人工血管置換術,Type IIIb 1 例に対する追加EVAR およびfibrin sheet 貼付である.ステントグラフトを全抜去した症例はない.術後30 日以内死亡を1 例認めた(他因死).【結論】瘤切開前に血管内操作を行う準備をすることで安全に開腹処置および追加血管内治療ができた.
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  • 猪狩 公宏, 工藤 敏文, 中島 里枝子, 宮井 美恵子, 豊福 崇浩, 井上 芳徳
    25 巻 (2016) p. 89-96
    公開日: 2016/03/18
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    要旨:【目的】急性期深部静脈血栓症(DVT)に対する治療について検討し,現時点における治療法の妥当性について検証した.【方法】対象は,2009 年1 月から2015 年10 月の間に当科で血栓の進展範囲が腸骨大腿静脈領域に及ぶ急性期DVT に対し外科的血栓除去術および経カテーテル的血栓溶解療法(CDT)を施行した20 例.症例の内訳は,前期群として外科的血栓除去術および血管内治療(EVT)を同時に施行した13 例,中期群として外科的血栓除去およびEVT とそれに続きCDT を施行した2 例,後期群としてCDT を先行した後に外科的血栓除去術を施行した5 例であり,それぞれの群別に治療成績を検討した.【結果】前期群13 例中,良好な静脈開存が得られた症例は9 例だった.中期群・後期群では術後早期の静脈開存率は100%であり,遠隔期に1 例(14%)で静脈閉塞をきたしたが,臨床症状の悪化を認めていない.【結論】当科で施行している外科的血栓除去術とCDT を組み合わせた急性期DVT の治療法は安全かつ満足のいく治療成績である.
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  • 伊從 敬二, 三森 義崇, 奥脇 英人, 有泉 憲史, 橋本 良一
    25 巻 (2016) p. 168-172
    公開日: 2016/05/16
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    要旨:腎機能障害例に対するCO2 造影下ステントグラフト内挿術(EVAR)の有用性や限界について検討した.【方法】腹部大動脈瘤,Cr 1.51~1.86 mg/dl の4 例を対象とした.サイジングは単純CT で行い,片側総腸骨動脈瘤合併3 例にはEVAR 前にコイル塞栓を行った.EVAR は全身麻酔下で,CO2 を大動脈で30 ml,腸骨動脈で20 ml,注入し造影して行った.描出不良の場合と最終造影は2 倍希釈ヨード造影剤で評価した.【結果】CO2 造影での腎動脈の描出は,両側良好2 例,片側良好1 例,両側不良1 例であった.腸骨動脈の描出は全例で良好であった.CO2 造影ではエンドリークを4 例で認めなかったが,ヨード造影剤でType Ia が1 例で確認された.CO2 総使用量は180~235 ml,ヨード造影剤は8~33.5 ml で,術後Crの変動はわずかであった.【結論】CO2 造影下のEVAR にはヨード造影剤が少量必要であるが腎機能に影響しない範囲であり有効な方法と考えた.
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  • 石垣 隆弘, 松田 均, 邉見 宗一郎, 中井 秀和, 村上 博久, 吉田 正人, 向原 伸彦
    25 巻 (2016) p. 200-206
    公開日: 2016/06/28
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    要旨:【目的】2004 年1 月から2014 年12 月までに待機的にDistaflo を使用し大腿-膝上膝窩動脈バイパスを行った83 症例,107 肢を対象とし,その成績を後方視的に検討した.【方法】平均年齢は70.5 歳(44~97 歳)で男性88 例,症状はFontain 分類のII 度が86 肢,III 度が5 肢,IV 度が16 肢であった.TASCII 分類はClass B が1 肢,C が32 肢,D が74 肢.【結果】観察期間は平均1667 日で院内死亡は認めず,術後早期合併症は,グラフト閉塞を1 例で認め,創治癒不全や創感染などを13 例で認めた.一次開存率は2 年89.2%,5 年71.6%,二次開存率は2 年で94.0%,5 年77.1%と概ね良好であった.【結論】Distafloによる大腿-膝上膝窩動脈バイパスの成績は概ね良好であった.血栓閉塞した症例では血栓除去した際にカフ部に血栓が残存することがあり,注意が必要である.
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  • 溝口 高弘, 善甫 宣哉, 金田 好和
    25 巻 (2016) p. 233-239
    公開日: 2016/08/01
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    要旨:【目的】慢性B 型大動脈解離(cTBD)に対するTEVAR において大動脈リモデリングを含めた治療成績について検討した.【方法】cTBD に対するTEVAR 38 施行例を対象とした.発症後2 週から4 カ月を慢性早期群16 例,4 カ月以降を慢性後期群22 例に分類し,両群で治療成績と大動脈リモデリングについて検討した.【結果】両群とも術後対麻痺,脳梗塞,在院死亡は認めず,complicated case では病状の進行を防ぐことができた.偽腔開存症例の胸部偽腔の血栓化は両群とも100%であったが,偽腔の完全縮小は慢性早期群60%,慢性後期群11%で,慢性早期は慢性後期群より有意に偽腔の完全縮小が得られた.【結論】cTBD に対しTEVAR を行い良好な中期成績を得た.発症後4 カ月目までの慢性早期にTEVAR を行った群では良好な大動脈リモデリングが得られた.

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    Editor’s picks

  • 藤岡 俊一郎, 保坂 茂, 森村 隼人, 陳 軒, 王 志超, 戸口 幸治, 福田 尚司, 滝澤 恒基, 大澤 宏
    25 巻 (2016) p. 240-245
    公開日: 2016/08/03
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    要旨:【目的】腹部大動脈瘤に腸骨動脈瘤を伴う場合,内腸骨動脈コイル塞栓術を追加することでステントグラフト治療の適応は拡大する.一方,内腸骨動脈コイル塞栓術に伴って臀筋性跛行が生じることが問題となる場合があり,われわれは上臀,下臀動脈の交通を温存し,またコイルからEVAR へ一定の期間を空けることで側副血行路の発達を促し,臀筋性跛行の予防に努めているが,本治療戦略の安全性について検討した.【方法】2008 年10 月から2015 年2 月までにEVAR 165 例のうち,EVAR+ 内腸骨動脈コイル塞栓術を施行した71 例(片側54 例,両側17 例).【結果】臀筋性跛行の発生率は17/71 例(22.9%)で,臀筋性跛行発生例と非発生例では,それぞれ体重 66.2±12.1 kg/58.1±11.5 kg,BMI 24.7±3.9/22.1±3.9,年齢 71.8±8.4歳/75.2±8.3 歳と,体重が重く,BMI が高い,若年患者で臀筋性跛行が生じやすい傾向があった.また臀筋性跛行発生率は片側閉塞例14.8%(8/54 例),両側閉塞例52.9%(9/17 例)であった.内腸骨動脈瘤の合併や手技的な問題から結果的に,上臀動脈と下臀動脈との交通を温存できなかったのは片側閉塞54 例中15 肢(27.8%),両側閉塞17 例34 肢中13 肢(38.2%)で,上臀動脈-下臀動脈間交通を温存できた群では7%(4/60 肢),交通が温存できなかった群では64%(18/28 肢)に臀筋性跛行を認め,片側閉塞かつ交通温存例では5%(2/39 肢)に臀筋性跛行を認め,片側閉塞かつ交通遮断例では40%(6/15 肢),両側閉塞かつ交通温存例では10%(2/21 肢),両側閉塞かつ交通遮断例では92%(12/13 肢)に,それぞれ臀筋性跛行を認めた.またコイル塞栓からEVAR までの日数と臀筋性跛行発生率に関連なく,全例で周術期死亡や腸管虚血を認めず,臀筋性跛行は術後から1 年以内に全例で消失した.【結論】積極的な内腸骨動脈閉塞による適応拡大は安全な治療戦略であり,臀筋性跛行予防のためには,大腿深動脈からの側副血行路を維持すべく上臀動脈と下臀動脈との交通を温存することが重要と考える.

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    Editor’s picks

  • 江口 大彦, 本間 健一
    25 巻 (2016) p. 250-254
    公開日: 2016/08/01
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    要旨:【目的】当院では,内シャントトラブル(狭窄・閉塞)に対して,狭窄例ではPTA(percutaneous transluminal angioplasty),閉塞例では外科的血栓除去(surgical thrombectomy)に必要に応じてballoon angioplasty(BA)を追加施行することを第一選択としている.今回,これらの治療成績を報告し考察を加える.【方法】2007 年4 月から2015 年7 月までの内シャント機能不全(狭窄)症例1421 例,閉塞症例1022 例を対象とし,それらの治療成績・初期成功・合併症などを検討した.【結果】狭窄例に対するPTA の手技時間はAVG(arteriovenous graft)症例,AVF(arteriovenous fistula)症例においてそれぞれ23±14 分 vs 29±16分(p<0.001)とAVG 症例で有意に早かった.閉塞例に対するST(+BA)の手技時間はAVG 症例,AVF 症例においてそれぞれ52±2 分 vs 66±3 分(p<0.001)とAVG 症例で有意に早かった.閉塞例における術中出血量はそれぞれ101±7 g vs 69±6 g(p<0.001)とAVG 症例で多かったが,術中合併症・不成功症例は21 例(4.3%) vs 29 例(11%)と有意にAVF 症例で多かった(p<0.001).【結論】当院におけるシャント狭窄に対するPTA,閉塞に対するST(+BA)の治療成績は,短時間かつ低侵襲に施行可能で満足の行く治療成績であった.閉塞例に対するST(+BA)は手技時間・合併症ともにAVG 症例よりAVF 症例で不良であった.

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  • 郡谷 篤史, 三井 信介, 岡留 淳, 川久保 英介, 久良木 亮一, 田中 潔
    25 巻 (2016) p. 278-281
    公開日: 2016/09/27
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    要旨:【背景,目的】ヘパリン使用人工血管ゴアプロパテンバスキュラーグラフト(以下プロパテン)(日本ゴア,東京)が保険承認を得て,2014 年1 月から使用可能となっており,長期開存性が期待されている.当院では,主に大腿-膝上膝窩動脈バイパス(AKFP)に使用しており,早期成績を比較検討した.【方法】対象は2014 年1 月から2015 年11 月までに行われた,下肢閉塞性動脈硬化症に対するプロパテンを用いたAKFP(P 群)の19 肢.観察期間2~18 カ月(平均8.6 カ月)の1 次開存,2 次開存を検討した.また2011 年1 月から2015 年11 月までに行われた,AKFP について,自家静脈グラフトを用いた(V 群)19肢,その他の人工血管を用いた(G 群)45 肢と成績を比較検討した.【結果】プロパテンは,従来の人工血管と比較し,重症例(Rutherford 6:P 群21.1%,G 群2.2%)に使用されていた.1 次開存はP 群84.9(1.5年),V 群68.6(1.5 および3 年),G 群85.8(1.5 年)および78.8(3 年)%,2 次開存はP 群90.9(1.5 年),V群100(1.5 年)および91.7(3 年),G 群90.3(1.5 年)および86.4(3 年)%と有意差は認めなかった.【考察】下肢閉塞性動脈硬化症に対するプロパテンを用いたAKFP は良好な成績であり,第1 選択の人工血管となり得ると思われた.V 群と比較し,G 群では,2 年以降,3 年の開存率が低下傾向にあり,P 群でも長期成績を検討する必要がある.

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  • 青木 淳, 丸田 一人, 保坂 憲史, 尾本 正, 益田 智章, 後閑 武彦
    25 巻 (2016) p. 321-328
    公開日: 2016/11/21
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    【目的】腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術後(EVAR)の動脈瘤縮小は,良好な長期予後の予測因子であり,Type II endoleakは,動脈瘤非縮小の因子である.そのため,EVAR後早期Type II endoleakに関連する大動脈分枝を特定し,EVAR術中にそれらの分枝のコイル塞栓を試みた.【方法】Type II endoleakに関連する分枝の検討は,56例で行い,コイル塞栓は,24例に試みた.【結果】2.5 mm以上の下腸間膜動脈(IMA)が開存しているとType II endoleakの頻度は80%以上で,2.5 mm未満のIMAが開存しているか,2 mm以上の腰動脈(LA)が2本以上開存しているとType II endoleakの頻度は,約50%であった.コイル塞栓は,IMAでは16本中15本(93.8%),LAでは45本中29本(64.4%)で施行でき,コイル塞栓に起因すると思われる合併症は認めなかった.コイル塞栓を行った群では,術後7日目の造影CTで検出されたType II endoleakの頻度が,有意に低かった(4.2% vs 58.9%, p<0.0001).【結論】EVAR術中のIMA, LAに対するコイル塞栓は,Type II endoleakの予防に有用と思われた.

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    Editor’s picks

  • 北川 敦士, 黒沢 つぐみ, 桶口 三香子, 吉田 朋子, 長尾 俊彦
    25 巻 (2016) p. 367-372
    公開日: 2016/12/28
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    【目的】下肢静脈瘤ラジオ波焼灼術後のEndovenous heat induced thrombosis(EHIT)の発生率,時期,危険因子について検討した.【方法】対象はラジオ波焼灼術を行った大伏在静脈(great saphenous vein: GSV)瘤99名110肢.ClosureFASTカテーテルを使用.術後血管エコーによる評価を術後1, 7, 30, 90日目に施行.EHITの発生率,時期,危険因子について検討した.【結果】EHIT発生率は29%(Class1: 24%, Class2以上:5%).時期は,術後1日目:11%,7日目:24%,30日目:7%,90日目:1%と術後7日目が最多であった.発生危険因子は多変量解析上,GSV血管径7.5 mm以上であった.【結論】ラジオ波焼灼術後のEHITは術後7日目が最も多く発生した.術後血栓塞栓症を予防するために,今後,周術期血管エコーの時期と対象を再検討する必要がある.

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症例
  • 沼田 幸英, 山中 雄二, 斉藤 隆之
    25 巻 (2016) p. 7-11
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2015/12/11
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    要旨:症例は64 歳男性,呼吸困難を主訴に来院.上肢血圧が220 mmHg と高く,肺うっ血も認めたため入院として心不全治療が開始された.有意な冠動脈疾患や弁膜症はないが,CT で腹腔動脈上から上腸間膜動脈レベルの大動脈にほとんど内腔を閉塞した石灰化病変があり,coral reef aorta による高血圧性心不全と診断した.内科的な心不全治療が奏功したため,待機的に根治術を行った.左大腿動静脈による部分体外循環下に胸部下行大動脈から腎動脈下腹部大動脈まで遮断し,選択的腹部内臓動脈灌流を併用しながら大動脈血栓内膜摘除を施行した.Coral reef aorta に対し非解剖学的バイパス術も報告されているが,主病変の位置によっては腸管虚血を起こすこともあるため内膜摘除術を考慮した治療方針の検討が必要と考えられた.
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  • 山本 希誉仁, 西部 俊哉, 平野 雅大, 田中 敬三, 平岩 卓根, 田中 國義
    25 巻 (2016) p. 19-22
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2015/12/14
    ジャーナル フリー
    要旨:両側水腎症を合併した炎症性腹部大動脈瘤・両側総腸骨動脈瘤に対し,両側内腸骨動脈コイル塞栓術と腹部ステントグラフト内挿術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は81 歳,男性.右下腹部痛にて当院受診し,単純CT にて最大短径85 mm の腹部大動脈瘤と両側総腸骨動脈瘤を指摘された.瘤周囲の外膜は前側壁を中心に肥厚し両側水腎症を合併していた.乏尿を認め血清クレアチニンは2.4 mg/dlと上昇していたために術前に右腎瘻を造設したところ,利尿が得られ血清クレアチニンは1.0 mg/dl まで低下した.手術は両側内腸骨動脈をコイル塞栓し,Excluder® にて腹部ステントグラフト内挿術を施行した.術後経過は良好で,右水腎症は改善し術後17 日目に右腎瘻カテーテルを抜去した.退院時に左水腎症が残存していたが,術後6 カ月後のCT では左水腎症も改善した.
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  • 畠山 正治, 伊藤 校輝, 河原井 駿一, 永谷 公一
    25 巻 (2016) p. 23-26
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2015/12/14
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    要旨:外傷性大腿動脈損傷は医原性の報告が多く,シカによる外傷性動脈損傷の報告は極めて少ない.症例は74 歳女性.散歩中ニホンカモシカと出会い,カモシカの角で左大腿部を突かれて受傷した.近医を受診しCT を施行すると左浅大腿動脈が閉塞しており当科へ紹介入院となった.受診時,大腿部は内側と外側に2 カ所ずつ杙創を認めたが止血していた.また,左鼠径部で大腿動脈の拍動を触知するが,足背動脈と後脛骨動脈はともにDoppler で聴取できなかった.以上から外傷性大腿動脈損傷の診断で緊急手術を施行した.浅大腿動脈はカモシカの角により貫通していたが血栓により止血されていた.同部位を切除後,浅大腿動脈を端々吻合して手術を終了した.術後はリンパ漏を認め入院が長期となったが,リンパ漏が減少した術後22 日目に独歩退院した.カモシカによる外傷性浅大腿動脈損傷は稀であるが感染を起こすことなく経過し良好な結果を得た.
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  • 小谷 真介, 南村 弘佳, 石川 巧, 村上 忠弘
    25 巻 (2016) p. 27-31
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は80 歳男性.結核性胸膜炎と慢性閉塞性肺疾患の既往があった.8 年前に腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術を施行されていた.同時期に遠位弓部大動脈瘤を指摘されていたが経過観察されていた.突然の背部痛を主訴に救急搬送され,造影CT 検査で75 mm の遠位弓部大動脈瘤と,Stanford B型大動脈解離を認めた.また冠動脈造影検査で右冠動脈の慢性完全閉塞を認めた.急性大動脈解離に対して保存的治療を行ったが,経過中に疼痛の持続と解離の進展を認めたため手術治療が必要と判断した.開胸手術は侵襲が大きいためステントグラフト内挿術を選択した.中枢側のlanding zone の確保のために2 debranch とchimney graft で頸部分枝の血行再建を行った後,上行大動脈から下行大動脈までステントグラフトを挿入して動脈瘤治療と大動脈解離のエントリー閉鎖を一期的に行った.術後は症状が消失し,造影CT で動脈瘤の血栓化と下行大動脈の真腔の拡大を認めた.術後14 日目に独歩退院した.高齢者の増加に伴い大動脈瘤と大動脈解離の合併例は増加しており,ステントグラフト内挿術は有効な選択肢の一つであると考えられた.
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  • 家村 順三, 山本 芳央, 神原 篤志, 大澤 亮
    25 巻 (2016) p. 33-36
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は63 歳,女性.45 年間長時間の食堂勤務を続けてきた.また,4 年前に強皮症と診断され治療されていた.両下肢の静脈瘤には以前から気づいていた.左下腿内側に静脈うっ滞によると思われる皮膚潰瘍が生じ,大伏在静脈ストリッピング術+ 不全穿通枝直視下切離術を施行した.約9 カ月後に対側にも発症し,同様にストリッピング術+ 内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS)を行った.両側ともに約10 週で潰瘍は完治した.表在静脈瘤切除を行った左膝関節周囲で皮下の炎症が術後数週間続き,強皮症による皮膚皮下の脆弱性をうかがわせた.ただしこの間,強皮症の悪化を疑わせる身体変化や症状出現はなかった.強皮症合併例においても安全にストリッピング手術が施行でき,潰瘍治癒が得られることが示された.強皮症がどの程度うっ滞性皮膚潰瘍の発症に関与しているかは不明であった.
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  • 中村 政宏, 猪狩 公宏, 豊福 崇浩, 工藤 敏文, 井上 芳徳
    25 巻 (2016) p. 37-41
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2016/01/26
    ジャーナル フリー
    要旨:透析アクセス関連盗血症候群に対するdistal revascularization-interval ligation(DRIL)は透析アクセスの血流を保ちつつ上肢の虚血を改善する目的で行われるが,上肢の虚血を評価する方法は確立されていない.今回われわれはDRIL 後の治療効果判定にインドシアニングリーン血管撮影検査(indocyanine green angiography; ICGA)を用いた.症例は75 歳,男性.左肘部シャントを造設したが,術後から透析時に左手指全体に疼痛を自覚し,術後12 カ月では左第3 指先端に壊疽が出現した.盗血症候群と診断しDRIL を施行し,疼痛とチアノーゼは改善し壊疽部は治癒傾向となった.ICGA では蛍光開始から最大輝度の半分の輝度に達するまでの時間を計測し術前56.6 秒から術後48.4 秒と改善し,ICGA は上肢の虚血を評価する検査として有用と考えられた.
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  • 古舘 晃, 力武 一久, 陣内 宏紀, 吉田 望
    25 巻 (2016) p. 43-46
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2016/01/26
    ジャーナル フリー
    要旨:後脛骨動脈破裂の原因としては外傷や医原性,動脈硬化,感染などがある.若年者で外傷などの背景がない場合は遺伝性結合組織疾患を考慮する必要がある.今回,術前未確診の血管型Ehlers-Danlos症候群による右後脛骨動脈破裂を経験した.症例は38 歳女性.右下肢腫脹のために当院紹介となった.造影CT にて右後脛骨動脈の破裂と診断した.当初は血管内治療にて加療を行う予定で血管造影を行ったが,破裂部位の大きさなどからカテーテルによる治療は困難と判断し,外科的に血管結紮術を施行した.術後に動脈破裂の原因検索を行ったが,遺伝性結合組織疾患が疑われたために遺伝子診断まで施行したところ,COL3A1 遺伝子の変異を認め,血管型Ehlers-Danlos 症候群と診断した.血管型Ehlers-Danlos 症候群の場合その血管脆弱性から外科手術は危険性が高く可能な限り血管内治療を優先させることが望ましい.動脈硬化や外傷,感染などが否定的な末梢動脈破裂では遺伝性結合組織疾患を考慮しておく必要がある.
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  • 古川 智邦, 内田 直里, 山根 吉貴, 望月 慎吾, 山田 和紀, 望月 高明
    25 巻 (2016) p. 53-56
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2016/01/27
    ジャーナル フリー
    要旨:慢性大動脈解離に対するステントグラフト治療においては,偽腔血流が残存して,期待通りの大動脈リモデリングが得られない症例が存在する.われわれは,胸部大動脈ステントグラフト内挿術(以下TEVAR)後に残存した偽腔血流に対して二期的にCandy plug 法を用いて偽腔閉鎖を必要とした症例を経験した.症例は49 歳女性.B 型大動脈解離発症10 年後に遠位弓部のentry に対してTEVAR を行ったが,腹部大動脈のre-entry からの偽腔内血流が多くて偽腔の血栓化が得られなかったので,初回TEVARから2 カ月後にCandy plug 法による偽腔閉鎖を行った.術後の経過は良好で偽腔は術直後から血栓化し,術後半年のCT で大動脈と偽腔径は退縮した.Candy plug 法は,慢性大動脈解離に対する治療法の一つになりえると考える.
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  • 田島 悠太, 後藤 均, 赤松 大二朗, 宮城 重人, 亀井 尚
    25 巻 (2016) p. 57-61
    公開日: 2016/02/26
    [早期公開] 公開日: 2016/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は60 歳女性.腹痛を主訴に近医を受診し,上腸間膜静脈(SMV)血栓症と診断され当院紹介された.前医CT でSMV の造影欠損と上行結腸の壁肥厚を認めた.SMV 血栓症,大腸癌疑いと診断し,抗凝固療法下に大腸の精査を進めていたが,入院3 日目にショック状態に陥った.CT にてSMV の造影欠損が肝内門脈まで進展し,腸管の広範な造影不良を認め,壊死を疑い緊急手術を行った.小腸の広範な壊死と上行結腸癌を認め,小腸大量切除と右結腸切除を行った.SMV から門脈内にかけて血栓と腫瘍栓を認め,Fogarty カテーテルを用いて可及的に除去した.術後も抗凝固療法を継続しSMV と門脈の再疎通を得た.原発巣と腫瘍栓は共に中分化型腺癌の病理所見であり,大腸癌腫瘍栓によるSMV と門脈内の急性血栓形成,鬱血性小腸壊死と診断した.大腸癌において主幹静脈が腫瘍栓により閉塞し,腸管壊死に至った例は極めて稀であり,報告する.
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  • 寺田 仁, 鈴木 卓康
    25 巻 (2016) p. 63-67
    公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は47 歳男性.右外腸骨動脈閉塞,左総腸骨動脈から内,外腸骨動脈閉塞に対して人工血管による血行再建術を施行し第12 病日に退院となったが,腹痛および発熱を主訴に第17 病日に当院外来を受診した.血液検査で炎症反応高値(CRP13.5 mg/dl,WBC 11,600/μl)が認められ,腹部CT で人工血管周囲の液体貯留像,脂肪組織濃度の上昇が認められたため人工血管感染の疑いで再入院となった.血液培養を提出するとともに抗生剤治療を開始したが,炎症反応やCT 所見はさらに増悪し右水腎症も出現した.血液培養からBacteroides fragilis が検出されたため,MEPM とメトロニダゾールに抗生剤を変更したところ,解熱傾向と炎症反応の著明な低下を認め,CRP は0.06 mg/dl にまで低下したため再入院後第37 病日に退院となった.現在術後2 年8 カ月が経過するが感染の再発なく良好に経過している.
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  • 山本 剛, 大谷 悟, 錦 みちる, 山田 有紀, 松本 泰一郎
    25 巻 (2016) p. 77-80
    公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は62 歳男性.左肩痛,発熱を主訴に受診.造影CT で弓部大動脈,下行大動脈,左総腸骨動脈に囊状に突出する不整な動脈瘤を認め,多発感染性大動脈瘤の診断で入院.血液培養でstreptococcusが検出され抗生剤投与を開始.呼吸機能が悪いため左開胸開腹による弓部および下行置換術は手術侵襲が大きいと考え,上行弓部置換とステントグラフトの一期的ハイブリッド治療を選択.第77 病日に手術を施行.胸骨正中切開で上行弓部置換および遠位弓部,胸部下行にステントグラフトを留置,左総腸骨動脈にもステントグラフトを留置した.術後4 週間抗生剤投与し第119 病日に自宅退院となったが,退院後2週間で感染再燃が疑われ再入院の上,抗生剤再開.再入院後第52 病日に自宅退院となった.術後1 年が経過した現在も感染の再燃なく経過良好である.
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  • 高橋 一哉, 廣田 真規, 勝又 千英子, 伊藤 聡彦, 渡邉 正純
    25 巻 (2016) p. 85-88
    公開日: 2016/03/18
    ジャーナル フリー
    要旨:われわれはEndovascular aneurysm repair 後残存するtype II エンドリークにより巨大化した腹部大動脈瘤に対して血管内治療を試みたが,不成功に終わったため外科的に治療を施行した.瘤が巨大であり,流入する腰動脈処理のために瘤を脱転するとステントグラフトの脱落を引き起こす危険性があったため,瘤を直接開き瘤内よりエンドリークの原因となっている腰動脈を直接処理することにより治療し得た.瘤が巨大かつカテーテルでの治療が困難な場合には,瘤外から腰動脈を確実に処理することは困難であるため,本症例のように瘤を切開して瘤内より血管を処理する方法が有効であった.
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  • 川井 陽平, 森前 博文, 松下 昌裕
    25 巻 (2016) p. 97-100
    公開日: 2016/03/18
    ジャーナル フリー
    要旨:膝窩動脈外膜囊腫は動脈の外膜と中膜の間に発生した囊腫の圧排により血管内腔が狭窄を来し,下腿以下の虚血症状を呈する疾患である.症例は71 歳,男性.1 カ月前より間欠性跛行が出現した.近医より動脈閉塞の疑いにて当院に紹介された.右下肢の足関節血圧/ 上腕血圧比(ABI)は0.80 であった.膝窩部の超音波検査と造影CT で膝窩動脈の狭窄を認めた.狭窄部周囲には囊胞を形成しており膝窩動脈外膜囊腫と診断した.外膜囊腫は膝関節部の関節包との連続が疑われた.後方アプローチにて手術を施行した.術中に関節包から連続する外膜囊腫を認めたため,これを結紮切離,囊腫とともに膝窩動脈を切除し大伏在静脈による血行再建術を行った.術後のABI は1.09 へ改善し,間欠性跛行も消失した.経過良好であり,再発は認めていない.本疾患の発生には関節に関連した組織が動脈内に迷入することが関与していることが示唆された.
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  • 宮本 和幸, 森重 翔二
    25 巻 (2016) p. 101-104
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    要旨:下大静脈(IVC)フィルターは,肺動脈血栓塞栓症の予防には効果があるといわれている.しかし,長期留置例では合併症は少なくなく,十二指腸穿孔も多数報告されている.症例は50 歳代女性で,子宮腺筋症による不正性器出血に対して投与された薬剤が原因と考えられる深部静脈血栓,肺動脈血栓塞栓症を合併した.再発予防目的に回収型IVC フィルターを留置され,子宮摘出術が行われた.術後の抗凝固療法により深部静脈と肺動脈の血栓は消失したため,経静脈的にIVC フィルターを回収しようと試みたが,フィルターが変形し回収困難となった.CT でフィルターの尾側フックが背側から十二指腸を著明に圧迫していたため,十二指腸穿孔を予防する目的で外科的にIVC フィルターを摘出した.今回の症例のように,IVC フィルターの長期留置で致命的な合併症が起こる可能性が高いと判断された症例は,外科的IVC フィルター摘出も考慮すべきと考える.
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  • 平賀 俊, 阿部 毅寿, 多林 伸起, 早田 義宏, 山下 慶悟, 谷口 繁樹
    25 巻 (2016) p. 105-109
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    要旨:頸部刺創は稀であるが,重要臓器の損傷が多く致死的な合併症を起こしうる.頸部刺創に対する治療法についてはいまだ定まった見解がない.われわれは左頸部刺傷後の左総頸動脈-内頸静脈瘻に対し,手術による血管修復を行った1 例を経験したので報告する.患者は34 歳,女性.自ら左前頸部をナイフで刺傷し,造影CT で左総頸動脈および内頸静脈からの造影剤の血管外漏出,および早期相における左内頸静脈の描出を認め,外傷性血管損傷に伴う仮性動脈瘤,左総頸動脈-内頸静脈瘻の診断で当院に紹介された.緊急手術を胸骨正中切開,左頸部切開によるアプローチで行った.術中所見では左総頸動脈前壁,左内頸静脈前後壁に欠損孔を認め,動静脈瘻の形成により体表への出血,循環動態の破綻を来さなかったと考えられた.総頸動脈単純遮断,直接縫合でそれぞれ血管修復を行った.術後は神経学的合併症を認めず良好な経過を得た.鋭的頸部血管損傷に関して,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 藤井 政彦, 茂木 健司, 櫻井 学, 野村 亜南, 若林 豊, 高原 善治
    25 巻 (2016) p. 110-113
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は32 歳男性.心室中隔欠損症,動脈管開存症,大動脈縮窄症,肺高血圧症の診断で1 歳時にVSD パッチ閉鎖術+PDA 結紮術を施行された.術後の縮窄症の圧較差は軽度(10 mmHg 程度)であったため偽性大動脈縮窄症として経過観察されていた.また,心エコーで大動脈二尖弁による大動脈弁狭窄症を指摘され,17 歳時に当科で大動脈弁交連切開術を施行した.その後徐々に大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症が進行し,CT 検査で上行大動脈瘤(67 mm)を認めたため,modified Bentall 手術および縮窄部を含めた上行弓部置換術を施行した.大動脈瘤を合併した偽性大動脈縮窄症に対する手術報告は少なく,大動脈瘤の位置によりその術式はさまざまである.過去の文献報告を基に大動脈瘤合併偽性大動脈縮窄症の手術戦略を考察した.
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  • 山本 洋平, 猪狩 公宏, 豊福 崇浩, 工藤 敏文, 井上 芳徳
    25 巻 (2016) p. 114-116
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    要旨:膝窩動脈外膜囊腫は外膜内に発生した囊腫により動脈内腔が圧排され,下肢の虚血症状を来しうる比較的稀な疾患である.今回われわれはエコーガイド下穿刺吸引が治療に有効であった膝窩動脈外膜囊腫の1 例を経験した.症例は74 歳,男性.左下肢の間歇性跛行を主訴に当科を紹介受診し,造影CTで膝窩動脈外膜囊腫と診断した.併存症として間質性肺炎による呼吸機能低下があり,低侵襲な治療としてエコーガイド下穿刺吸引を行った.14 ゲージ留置針を用いてエコーガイド下に囊腫を2 カ所穿刺し,ゼリー様の内容物を吸引した.囊腫は多房性であり残存した囊腫に対し約4 週間後に再度同様に穿刺吸引を行った.囊腫は消失し,現在6 カ月間症状の再発を認めていない.エコーガイド下穿刺吸引は膝窩動脈外膜囊腫に対する有効な治療法の一つとなり得ると考えられ,穿刺時の手技の工夫も含めて報告する.
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  • 西本 隆亨, 東舘 雅文, 盆子原 幸宏, 飯島 正樹, 笹生 正樹, 東 隆
    25 巻 (2016) p. 117-120
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    要旨:腕頭動脈瘤は稀な疾患であり,遠位弓部大動脈瘤を合併した症例は更に稀である.今回われわれは稀な症例に対し二期的修復術を行ったので報告する.症例は50 歳男性.S 状結腸癌術前精査にて,腕頭動脈瘤,遠位弓部大動脈瘤と診断された.動脈瘤治療時の全身ヘパリン化に伴う消化管出血を懸念し,S 状結腸癌治療を先行し,外科的腕頭動脈瘤治療後,胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)による遠位弓部大動脈瘤治療を行う二期的修復術を行う方針とした.腕頭動脈瘤の治療は,胸骨正中切開にてアプローチし,外シャントを使用し単純遮断に伴う脳虚血を回避し,安全に治療を行うことができた.またS状結腸癌手術直後に,TEVAR を用いることで体外循環使用を回避し,遠位弓部大動脈瘤に対しても非侵襲的治療を施行し良好な結果を得られた.
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  • 親松 裕典, 神原 祐一, 外山 正志, 中山 雅人
    25 巻 (2016) p. 121-124
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    要旨:Venous aneurysm(VA)は限局的な静脈拡張病変である.表在静脈VA に血栓塞栓症が合併する頻度は明らかではない.今回,血栓が総大腿静脈内へ急速進展した大伏在静脈VA を経験した.70 歳,女性.以前より右大腿内側に皮下腫瘤を自覚していた.エコーで大腿静脈-大伏在静脈接合部(SFJ)近傍までの血栓を伴う大伏在静脈の血管瘤を認めた.1 カ月前撮影されたCT では血栓の位置や進展範囲に変化はなかった.診断後4 日目に手術を行った.術直前にエコーで観察したところ,血栓が総大腿静脈内へ2 cm 進展していた.手術は血栓除去と瘤切除を行った.大伏在静脈の限局性の囊状拡張であったためVAと診断した.血栓を伴うSFJ 付近の表在静脈VA は,血栓素因の検索や抗凝固療法の導入等の適切な対応が重要である.また,血栓が急速に進展する可能性もあるため,可及的早期に切除することが望ましい.
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  • 木原 一樹, 西森 秀明, 福冨 敬, 山本 正樹, 田代 未和, 渡橋 和政
    25 巻 (2016) p. 125-128
    公開日: 2016/04/08
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    要旨:84 歳女性,拡大傾向のある腎動脈下腹部大動脈瘤に対する手術目的で紹介となった.二度の開腹歴がありステントグラフト治療も考慮されたが,解剖学的適応から困難と判断し,開腹で大動脈置換術を施行した.腹腔内に強固な癒着を認め,剝離に時間を要したが,腎動脈下遮断で人工血管置換術を施行しえた.しかし,術直後より肝機能障害,CK,Lactate 上昇を認めたため,臓器虚血を疑い造影CT を施行したところ,びまん性肝壊死を認めた.血液検査でDIC 所見も認め,急性肝不全と診断した.腎動脈下での操作で肝虚血に至ることは考えにくく,再開腹による手術が関与していると考えた.原因や発症の回避策に関し,若干の文献的考察を含め報告する.
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  • 毛利 亮祐, 西田 聡, 高木 剛
    25 巻 (2016) p. 129-132
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は88 歳男性.腹部大動脈瘤に対してGore Excluder を用いたステントグラフト内挿術を施行したが,2 年後に腹痛を認め救急外来に受診となった.腹部大動脈瘤の著明な増大とtype Ia エンドリークを認めたため切迫破裂と診断し,delayed open surgical conversion を施行した.腎動脈下大動脈をステントグラフトとともに遮断し,さらに大動脈瘤内でイリアックレッグを遮断した.ワイヤーカッターを用いてメインボディおよびイリアックレッグを切断し,Y 型人工血管を中枢では温存したメインボディと大動脈壁に,末梢ではイリアックレッグに吻合した.術後経過は良好で,ステントグラフトの破損や変形はなく早期に退院となった.腎動脈上大動脈の遮断を回避したステントグラフトの部分摘出によるdelayed open surgical conversion は安全で確実な方法と考える.
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  • 菊地 浩輔, 溝口 裕規, 白川 岳, 淺田 裕司, 由谷 親夫, 吉龍 正雄
    25 巻 (2016) p. 133-138
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル フリー
    要旨:TEVAR(thoracic endovascular aneurysm repair)後大動脈瘤感染の頻度は少ないが,極めて予後不良である.今回,上行大動脈人工血管置換,頸部分枝バイパス術+ 2 期的TEVAR 後に発症した,グラフト留置部大動脈瘤感染に対し,ステントグラフトを除去することなく,大動脈瘤壁除去+ 有茎広背筋弁充填術を施行し,救命し得た1 手術例を経験したので報告する.症例は62 歳男性.高度肥満,維持透析施行中.上行大動脈人工血管置換,頸部分枝バイパス術+ 2 期的TEVAR 後,発熱,呼吸困難にて入院となった.精査の結果,縦隔炎とグラフト留置部大動脈瘤感染を認めた.グラフト留置部大動脈瘤感染に対して,感染瘤壁切除洗浄ドレナージ+ 有茎広背筋弁充填を行った.術後,全身状態も改善し,現在は良好なADL を保っている.また,術後5 カ月経過した現在も明らかな感染の再燃は認めていない.
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  • 柳 茂樹, 田村 暢成, 田中 厚寿, 瀧 智史, 中津 太郎, 許 敞一
    25 巻 (2016) p. 139-143
    公開日: 2016/04/19
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    要旨:症例は87 歳の男性.炎症反応高値を伴う多房性囊状の下行胸部大動脈瘤を認め,感染性大動脈瘤を疑い抗生剤治療を開始した.しかし経過を通じて発熱はなく血液培養・プロカルシトニンとも陰性で,CT では瘤の形態変化や周囲の軟部陰影も乏しいため,感染瘤は否定的であり,瘤破裂の可能性を考慮し胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を施行した.術後第1 日目からWBC の異常高値が認められ,患者のWBC は最大112800/μl まで上昇する類白血病反応を呈し,急速に進行する両鼠径部の壊疽性膿皮症を発症した.経過中抗生剤治療には反応せず,多臓器不全に至り術後21 日目に死亡した.剖検にて骨髄の過形成,幼若球の増加を認め,慢性骨髄単球性白血病が背景にあり手術を契機に急性転化したことが示唆された.TEVAR が低侵襲とはいえ,術前の炎症については十分な検討を行い手術適応を評価することが重要であると考えられた.
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  • 仁科 健, 水野 明宏, 吉田 幸代, 谷口 尚範, 坂本 憲昭, 山中 一朗
    25 巻 (2016) p. 144-148
    公開日: 2016/04/19
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    要旨:B 型大動脈解離に対するTEVAR も注目されているが,その適応はいまだに議論のあるところである.症例は55 歳男性,Stanford B 型大動脈解離偽腔開存型発症も内科的治療6 カ月後のCT にて瘤径拡大と真腔径の狭小化がみられた.2015 年7 月に保険償還となった大動脈解離用のエンドバスキュラーデバイスZenith TX-D(Cook Medical Incorporated, Bloomington, IN)を用いて,primary entry の閉鎖目的でZenith 社のカバードステントグラフトを挿入し,その末梢は真腔を維持するためterminal aorta までメタルステントを挿入.術後の経過は良好で,術後1 週間のCT にて真腔の拡大と偽腔の血栓化がみられたが,真腔の拡大に伴い瘤径は拡大傾向にあった.3 カ月・6 カ月では真腔のさらなる拡大と偽腔の縮小が見られ,瘤径も縮小に転じた.B 型大動脈解離後の真腔狭小化と偽腔拡大症例に対して,メタルステントを併用するPetticort 法による胸部ステント内挿術(TEVAR)を施行した.良好なリモデリングを促進させる有用な方法と思われるが,長期的な経過観察が必要である.
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  • 宮野 雄太, 三岡 博, 寺井 恭彦, 川口 保彦, 田中 宏和, 山崎 文郎
    25 巻 (2016) p. 149-153
    公開日: 2016/04/19
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    要旨:症例は75 歳男性.意識消失のため前医へ搬送.造影CT にて破裂性大動脈瘤(rAAA)で後腹膜血腫の範囲はFitzgerald 3 型と診断された.当院救急搬送後にショックとなった.Hardman Index は2 点(Hgb<7.7,意識消失あり).腎動脈上バルーン遮断(BAO)下の緊急EVAR 後,一時的に循環動態は安定した.1 時間後に腹部が緊満し再びショックとなった.造影CT では血腫の増大と腹腔内出血を認めた.再びBAO を行い緊急開腹すると,腹腔内から大量の血液が噴出した.中枢側をbanding して大動脈瘤壁を切開し,腰動脈を刺通結紮して止血した.これらの操作中に末梢から脱却気味となったステントグラフト右脚を抜去して,さらに低位の腰動脈や正中仙骨動脈を止血した後,メインボディ対側ゲートから人工血管で右総腸骨動脈への血行再建を行った.術後36 病日に独歩退院となった.
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  • 福場 遼平, 多林 伸起, 廣瀬 友亮, 丹羽 恒介, 吉川 公彦, 谷口 繁樹
    25 巻 (2016) p. 154-158
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    要旨:DIC を伴う胸部大動脈瘤においては,人工血管置換術は侵襲が大きく,一方ステントグラフト内挿術(TEVAR)はendoleak が残存するとDIC の悪化が危惧される.われわれは,このような症例に対しdebranching TEVAR を施行し,良好な結果を得たので報告する.症例は76 歳男性でDIC 所見を有し,造影CT で下行大動脈に51 mm の瘤と限局性の解離を認めた.大動脈瘤あるいは解離による消耗性DIC が疑われた.併存疾患が多く全身状態不良のため,人工血管置換術はハイリスクと考え,debranching TEVARを施行した.可及的な凝固能の改善を目的に,術前にトロンボモデュリン製剤(rTM)を投与した.術後DIC は速やかに消失し,造影CT でendoleak を認めず瘤の縮小を得た.DIC を伴う解離合併胸部下行大動脈瘤に対して,術前にrTM でDIC を改善させた後debranching TEVAR を施行し,DIC を消失せしめ良好な結果を得た.
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  • 松野 祐太朗, 森景 則保, 佐村 誠, 上田 晃志郎, 山下 修, 濱野 公一
    25 巻 (2016) p. 159-163
    公開日: 2016/05/12
    ジャーナル フリー
    要旨:腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術後の被覆瘤壁が拡大し,術後10 年目に破裂した症例を経験した.症例は77 歳,男性.2005 年8 月に腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行.術後1 年目より被覆瘤壁の拡大傾向を認めた.CT 検査で高吸収域を呈する血腫が示唆されたが,CT,MRI および腹部超音波検査では明らかな出血源を同定できず,外来で経過観察していた.被覆瘤壁は約4 mm/ 年の拡大を認め,10 年後に破裂を来した.破裂時に血圧低下や腹部症状はなく,他疾患精査のCT 検査で発見された.手術所見は左後腹膜腔に血腫を認め,被覆瘤壁内は新鮮血栓が充満していた.吻合部瘤や人工血管破損はなく,下腸間膜動脈や腰動脈からの逆流も認めなかった.瘤壁全体からびまん性にoozing を認めるのみであった.同部を止血し,瘤縫縮をして手術を終了.被覆瘤壁自体からの出血により拡大し,破裂に至った極めて稀な症例を経験したので報告する.
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  • 阪本 瞬介, 藤井 健一郎, 寺西 智史, 澤田 康裕, 庄村 遊, 水元 亨
    25 巻 (2016) p. 164-167
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    要旨:腕頭動脈瘤は末梢動脈瘤に分類されてはいるが,解剖学的な問題から手術時の脳保護法やアプローチ法など術式の工夫を要する比較的稀な疾患である.今回われわれは両側頸動脈狭窄症を合併した感染性腕頭動脈瘤に対して術式に工夫を要した症例を経験したので報告する.
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  • 浅野 竜太, 佐藤 敦彦, 片岡 豪, 立石 渉, 中野 清治
    25 巻 (2016) p. 173-176
    公開日: 2016/05/19
    ジャーナル フリー
    要旨:近年,ベーチェット病の腹部大動脈瘤に対する手術治療において,人工血管置換術に変わりEVAR(endovascular aortic repair)による良好な成績が報告されているが再発する症例もあり,依然として治療のハイリスク群である.56 歳の男性.ベーチェット病と診断されて26 年目に腹部大動脈に60 mm の囊状瘤を指摘された.術前にステロイドの増量を行い炎症のコントロールを行った後にPower Link(Endologix 社:米国)を用いてEVAR を行った.術後経過は良好で34 カ月後も瘤径拡大や再発を認めていない.Power Link はePTFE で覆われたワンピース型の構造のため,囊状瘤の多いベーチェット病血管病変において,細い腸骨分岐部での脚閉塞のリスクが少ない利点があり,また金属が大動脈内膜と接触せず他機種より血管壁への刺激が少なく本症例には有効であったと考えられる.
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  • 船田 敏子, 内田 徹郎, 浜崎 安純, 山下 淳, 林 潤, 貞弘 光章
    25 巻 (2016) p. 177-180
    公開日: 2016/05/19
    ジャーナル フリー
    要旨:胸腔内型の鎖骨下動脈瘤に対する外科治療は,一般的に鎖骨上アプローチが困難であり,胸骨正中切開が必要になる.今回,冠動脈バイパス術後の右鎖骨下動脈瘤に対してハイブリッド治療を施行し,良好な結果を得た.症例は77 歳男性.以前より指摘されていた右鎖骨下動脈瘤の瘤径増大を認めたため手術の方針となった.CABG 術後で開存した内胸動脈グラフトを有しているため開胸操作を行わず,また,腕頭動脈分岐部に近接した右鎖骨下動脈瘤であったため,開胸操作を行わず,右腋窩-左腋窩バイパス術を行ったのちに右総頸動脈から腕頭動脈にステントグラフトを挿入した.術後造影でエンドリークは認めず,右腋窩-左腋窩動脈バイパスの血流は良好であった.心臓手術後の胸腔内型の右鎖骨下動脈瘤に対して,非解剖学的バイパス術とステントグラフト内挿術を併用したハイブリッド手術は低侵襲であり,有効な治療法と考える.
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  • 稗田 哲也, 杉木 孝司, 牧野 裕, 村上 達哉
    25 巻 (2016) p. 181-184
    公開日: 2016/06/09
    ジャーナル フリー
    要旨:膝窩動脈外膜囊腫は,膝窩動脈狭窄による間欠性跛行を呈する稀な疾患である.症例は68 歳男性.右膝窩動脈にPlain old balloon angioplasty の既往あり.右下腿の間欠性跛行を自覚し来院した.Ankle-brachial pressure index は右0.47,造影CT で右膝窩動脈の閉塞を認め,血管造影では砂時計様の狭窄所見を認めた.Intravascular ultrasound・Magnetic resonance imaging を施行し右膝窩動脈外膜囊腫と診断した.全身麻酔下に膝窩動脈切除,自家静脈置換を施行した.半年以上経過したが再発はなく,経過良好である.外膜囊腫に対する外科治療は根治的で有効であり,狭窄度や病変の存在部位により術式を選択すべきである.
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  • 影山 理恵, 新城 宏治, 高橋 皇基, 丹治 雅博
    25 巻 (2016) p. 185-188
    公開日: 2016/06/09
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は11 歳女児.出生時の低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺および気管軟化症のため,7歳時に喉頭全摘出術および気管切開術を施行され,以後長期呼吸管理中であった.自宅にて気管切開部より出血を認めたため来院した.診察時に,気管カニューレより大量の動脈性出血を認めたため,カフ拡張による圧迫にて一時的に止血した.気管腕頭動脈瘻と診断し,腕頭動脈離断術を施行した.腕頭動脈離断直後の末梢側動脈圧は50 mmHg 以上あり,バイパス手術は施行しなかった.術後経過は良好であった.気管腕頭動脈瘻は致命的な疾患であるが,緊急時の迅速な対処および適切な手術により良好な結果が得られるものと考えられた.
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  • 小泉 滋樹, 小山 忠明, 上田 浩之, 小林 裕之
    25 巻 (2016) p. 189-192
    公開日: 2016/06/14
    ジャーナル フリー
    要旨:腹部内臓動脈瘤およびその破裂は稀な疾患であるが,致死的であり重要である.リオラン弓は腸間膜内を走行する上腸間膜動脈(SMA)と下腸間膜動脈(IMA)をつなぐ側副血行路である.IMA の動脈瘤は腹部内臓動脈瘤の中でも珍しく,さらにその分枝であるリオラン弓が破裂したという報告例はない.症例は73 歳女性.救急外来を受診し,SMA の狭窄に伴うリオラン弓動脈瘤の破裂による腹腔内出血と診断された.当科受診時にはバイタルサインは安定しており,活動性出血,腸管硬塞を認めなかったことから保存的に加療を行った.破綻したリオラン弓は血栓閉塞し自然消退し,食事再開にても腹部症状の出現はなく,独歩退院後に待機的に総腸骨動脈-SMA バイパスを施行した.本症例の様に小血管の破綻による腹腔内出血では自然止血され,さらに腹部内臓動脈の豊富な側副血行路の存在から腸管虚血を起こすことなく保存的加療で軽快する場合がある.
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  • 沼口 亮介, 伊藤 寿朗, 萩原 敬之, 黒田 陽介, 橘 一俊, 川原田 修義
    25 巻 (2016) p. 196-199
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    要旨:患者は70 歳の男性.下行大動脈瘤に対して二度の胸部ステントグラフト治療(TEVAR)と弓部大動脈置換術の既往がある.今回,発熱と血痰を主訴に当院を受診し,CT にてステントグラフト周囲の空気像を認め,ステントグラフト感染の診断で入院となった.食道内視鏡検査にて,大動脈瘤と接する下部食道内腔に,炎症性ポリープと瘻孔を疑う所見を認め,大動脈食道瘻を疑い手術を施行した.術中,炎症性ポリープを認めた食道は菲薄化していたが,大動脈食道瘻は確認できず,大動脈肺瘻のみ認めた.手術はステントグラフト抜去および下行大動脈置換術と,大網充填術を施行した.術後食道内視鏡検査にて炎症性ポリープは消退し,同部位に瘢痕組織を認めた.炎症性ポリープが大動脈瘤と接する食道内腔にあり,大動脈瘤の切除後に消退したことなどから,炎症性ポリープは大動脈瘤が原因と考えられ,大動脈食道瘻が形成される過程であった可能性が考えられた.
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  • 横川 雅康, 辻本 優
    25 巻 (2016) p. 207-211
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は67 歳女性である.進行胃癌のため当院へ入院した.胃癌による幽門狭窄のため経口摂取が困難であり,手術前に右鎖骨下静脈から中心静脈カテーテルが留置された.中心静脈カテーテル留置の1 週間後に撮影された造影CT で,上大静脈内に血栓を形成していることが判明した.ヘパリンによる抗凝固治療を行ったが血栓は増大傾向を示した.このため周術期の肺塞栓予防目的で上大静脈内に静脈フィルターを留置した.フィルター留置に伴う合併症はみられなかった.胃切除後の術後経過は良好で,術後肺塞栓の併発はみられなかった.カテーテル留置に起因した二次性の上肢深部静脈血栓症では,肺塞栓を合併する頻度が高いとされている.この場合,治療としては抗凝固療法が第一選択であるが,抗凝固療法が無効の場合は上大静脈フィルター留置も選択肢として考慮する必要がある.上大静脈フィルター留置は肺塞栓予防に有効で,安全に施行できるものと考えられた.
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