日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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26 巻 , 1 号
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総説
  • 石橋 宏之
    26 巻 (2017) 1 号 p. 19-23
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

    血管ベーチェット病(BD)は,たとえ手術がうまくいっても原疾患再燃による吻合部動脈瘤発生の危険性が術後ずっと持続するので,血管外科医には人工血管感染とともに遭遇したくない疾患の1つである.血管BDの概念,現時点での診断基準に関して,一般臨床医は元より,外科手術に携わる血管外科医にも十分に理解されていない点が多い.血管BDを疑う所見としては,50歳以下の動脈硬化を伴わない囊状動脈瘤,原因不明の上大静脈症候群や両側下肢深部静脈血栓症,多発する表在血栓性静脈炎などがある.これらの血管病変で発症した未診断患者の場合,血管BDは眼病変の合併が少ないので本邦の診断基準をクリアするのは困難である.診断確定のためには,口腔内アフタと外陰部潰瘍だけでなく,関節炎の症状を聞き出すことが重要である.血管BDの確立に向けて,全国規模で症例集計して,本邦の診断基準を変えていく必要がある.

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  • 東 信良, 菊地 信介, 奥田 紘子, 三宅 啓介, 古屋 敦宏
    26 巻 (2017) 1 号 p. 33-39
    公開日: 2017/02/10
    ジャーナル フリー

    透析人口の増加に伴い,我が国における重症下肢虚血例の半数以上が透析患者となっている.透析患者は一般に短命であるが,よく管理された透析例は生存率が比較的高く,日本の透析患者は米国の透析患者の数倍長生きできるとされている.そのため,一部ではあっても,透析例の中で,バイパス術の恩恵を長期にわたって享受できる患者が存在しており,そうした患者をいかに的確に選択するかが重要である.その場合,動脈病変の解剖学的要因よりも,患者の全身状態や栄養状態および使用可能な静脈材料の有無が重要となる.近年の進歩としてまず挙げられるのは,超音波ガイド下神経ブロック麻酔によるバイパス術であり,ハイリスク症例の麻酔侵襲を低減する上で貢献している.超音波検査機器も進化して診断能が向上し,高度虚血例であっても開存している足部動脈を描出して適確に末梢吻合部動脈を選択する一助となっている.石灰化動脈への吻合法も進歩し,さらに,バイパス術後の潰瘍治療も進歩した.広範囲組織欠損症例では骨髄炎などの深部感染症がしばしば問題となるが,それを的確に診断し,対処することにより,大切断を回避することに役立ってきた.血管内治療も進歩している中で,どのような透析患者がバイパス手術に適しているのか適確な患者選択を示す臨床研究成果の集積が待たれる.

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講座
症例
  • 井手 亨, 松江 一, 川村 匡
    26 巻 (2017) 1 号 p. 1-4
    公開日: 2017/01/13
    ジャーナル フリー

    血管内治療後の穿刺部の止血に際して,さまざまな止血デバイスが普及している.しかし,急性動脈閉塞や下肢虚血症状の悪化を来した報告もあり,適正使用が重要である.今回,われわれは頸動脈の血管内治療後に下肢虚血の悪化を来した1例を経験したので報告する.症例は70歳男性.慢性閉塞性動脈硬化症があり,57歳時に右総腸骨動脈にステントを留置した既往があった.今回は,頸動脈へのステント留置を施行した.Angiosealにて穿刺部の止血を試みたが止血が不良であり,圧迫止血を追加して止血を得た.3日後,右下肢の疼痛と感覚障害が出現し,超音波検査・CT検査にて右下肢総大腿動脈の狭窄の悪化を認め,止血デバイスによる合併症が疑われ,手術を施行した.右総大腿動脈を切開すると内部に膨張したアンカーを認め,高度の狭窄を来していた.異物を除去し,血行再建手術を施行し,虚血症状は改善した.

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  • 安東 悟央, 須野 賢一郎, 佐藤 一義, 本橋 雅壽, 石原 和明
    26 巻 (2017) 1 号 p. 5-8
    公開日: 2017/01/18
    ジャーナル フリー

    われわれは坐骨神経痛が唯一の主訴であった右内腸骨動脈瘤を経験したので報告する.症例は74歳女性,右下肢痛を主訴に来院した.整形外科にてMRI施行し,椎間板の突出や椎体の移動,脊柱管狭窄を認めず,坐骨神経障害が疑われた.CTでそれぞれ最大短径50 mm, 54 mmの腎動脈下腹部大動脈瘤,右内腸骨動脈瘤が認められた.人工血管置換術後,右下肢痛は完全に消失した.術前の症状は内腸骨動脈瘤の神経圧迫が原因と考えられた.高齢者の坐骨神経痛を認めた場合,内腸骨動脈瘤の可能性も念頭において治療することが重要であると考えられた.

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  • 米山 文弥, 佐藤 藤夫, 大坂 基男, 坂本 裕昭, 軸屋 智昭, 平松 祐司
    26 巻 (2017) 1 号 p. 9-12
    公開日: 2017/01/26
    ジャーナル フリー

    2D perfusionは手術室ハイブリッド装置付属のアプリケーションであり,可視的かつ定量的な血流評価が可能である.今回,下肢動脈バイパス術後の血流評価に2D perfusion angiographyを用い,その有効性を検討した.症例は49歳男性.右足趾の潰瘍を主訴に来院,重症下肢虚血の診断で入院となった.下肢血管造影検査では右前脛骨動脈・腓骨動脈が近位部で閉塞し,外科的血行再建術の方針となった.大伏在静脈をグラフトとして右膝窩–右足背動脈バイパス術,同時にショパール関節離断術を施行した.2D perfusion angiographyではカラーマッピングされた血流と各ファンクショナルパラメーターはいずれも改善を認め,術後2カ月で植皮術まで到達し踵部温存を得た.2D perfusion angiographyは下肢動脈バイパス術後の末梢血流を評価する検査として有用と考えられた.

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  • 大山 翔吾, 大内 真吾, 小野 巌, 伊藤 行信
    26 巻 (2017) 1 号 p. 41-44
    公開日: 2017/02/10
    ジャーナル フリー

    大動脈4腔解離の報告は少ない.大動脈3腔解離を経過観察中に4腔解離へと進展し,手術を行った症例を経験したため,病理組織学的考察を加えて報告する.症例は43歳,女性.Marfan症候群と診断されている.2008年に急性大動脈解離Stanford A型に対して当院で機械弁によるBentall手術と上行弓部大動脈置換術を施行した.術後から近医へ紹介し,当科では1年後のCTで残存解離に変化がないことを確認していた.2014年に施行したCTで3腔解離となっていたが,半年後のCTで変化がないため経過観察としていた.2015年に突然の背部痛を主訴に近医へ救急搬送された.その際に下行大動脈が50 mmへ拡大し,4腔解離となっていた.1週間後のCTで54 mmへさらに拡大し,当院へ手術の依頼となり,胸腹大動脈置換術を施行した.4腔解離は破裂のリスクが極めて高く,早期の外科手術が必要であると思われた.

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  • 池田 脩太, 水野 敬輔, 久留宮 康浩, 世古口 英, 小林 聡, 河合 清貴
    26 巻 (2017) 1 号 p. 65-69
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は85歳の女性で,食後腹痛および血便で紹介となった.造影CTで上腸間膜動脈閉塞を認め,腸管虚血による症状と診断した.絶食で症状は改善したが,食事を開始したところ腹痛が再度出現した.その後も症状は悪化したため緊急手術を行った.手術は人工血管を用いた左外腸骨動脈–上腸間膜動脈バイパス術とした.術後は虚血性腸炎が遷延したが,腹痛などの症状は消失した.術後1年経過したがグラフトは開存し良好である.現在のところ上腸間膜動脈閉塞症に対する術式には確立されたものはない.症例によって使用できるグラフトや中枢側の血管の状態が異なるため,症例に応じた術式の選択が必要である.

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  • 福山 貴大, 清水 剛, 宮澤 季美江
    26 巻 (2017) 1 号 p. 71-75
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    症例はクモ膜下出血の後遺症を有する68歳の女性で,安静時疼痛を主訴とする重症下肢虚血の診断で当院に転院となった.造影CT検査および下肢血管造影検査で,左腸骨・大腿・膝窩動脈領域に広範囲に閉塞性病変を認め,総大腿動脈,大腿深動脈も閉塞していた.膝窩動脈が一部造影されたが膝下で閉塞し,後脛骨動脈のみが足関節以下まで開存していた.手術は全身麻酔下に6 mmのヘパリン結合型PTFE人工血管を用いて,右総大腿動脈と膝上の左膝窩動脈間に大腿–膝窩交叉バイパスを作成した.更に右下肢より採取した大伏在静脈を人工血管の末梢吻合部近くに中枢側吻合し,皮下ルートで左足関節部後脛骨動脈に末梢側吻合した.術後経過は良好で,術後1年でグラフトは良好に開存している.本術式は経皮的血管形成術や開腹手術が困難で,同側大腿動脈がinflowとして不適当な場合の血行再建術式として有用と考えられた.

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  • 白石 達也, 宮本 昌一, 高井 文恵, 森島 学, 植山 浩二, 猪子 森明
    26 巻 (2017) 1 号 p. 77-81
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は高血圧,無症候性脳梗塞の既往を有する81歳女性,胸部造影CTにて偶発的に大動脈遠位弓部に,穿通性大動脈潰瘍(PAU)を伴う囊状の動脈瘤を指摘された.高齢であること,呼吸機能が悪いこと,脳梗塞既往により開胸術に伴う合併症のリスクは高いと考えられたため,胸部大動脈ステントグラフト内挿術(Thoracic endovascular aortic repair; TEVAR)施行となったが,TEVAR施行後に逆行性上行大動脈解離(Retrograde ascending aortic dissection; RAAD)および順行性下行大動脈解離を発症した.血圧などのバイタルサインは維持されており,高齢で手術リスクも高いことも考え,保存的加療の方針とし降圧と鎮静および止血剤投与を行った.翌日,解離腔の血栓閉塞および偽腔の縮小を認めたため,以後保存的加療を継続することができ,リハビリ病院に転院となった.TEVAR施行に伴い逆行性大動脈解離が生じた場合,一般的には緊急手術が選択されるが本症例のように保存的加療で治療しえた症例を経験したので報告する.

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血管外科手術アニュアルレポート2011年
  • 日本血管外科学会データベース管理運営委員会, NCD血管外科データ分析チーム
    26 巻 (2017) 1 号 p. 45-64
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    2011年に日本で行われた血管外科手術について,日本血管外科学会データベース管理運営委員会が集計結果を解析し,アニュアルレポートとして報告する.【方法】NCDの血管外科手術データに基づき,全国における血管外科手術動向およびその短期成績(術死,在院死亡)を解析した.【結果】2011年にNCDに登録された血管外科手術は71,707例であり,992施設からの登録があった.腹部大動脈瘤(含む腸骨動脈瘤)は13,218例で,その45%がステントグラフトによって治療されていた.1,253例の破裂例を含んでおり,手術死亡率は破裂,非破裂で,それぞれ18.8%, 0.8%であった.慢性動脈閉塞症は,重複を含み11,278例登録され,open repair 7,115例,血管内治療4,163例であった.急性動脈閉塞は3,799例,血管外傷は1,030例,血行再建合併症に対する手術は1,615例が登録された.静脈手術は,19,371例登録され,下肢静脈瘤18,864例,下肢深部静脈血栓症348例などであった.その他の手術として,バスキュラーアクセス手術16,296例を含む17,510例が登録された.総じて,動脈にも静脈にも血管内治療が重要な役割を占めてきている.【結語】この血管外科手術データベースは,本邦における血管外科手術の現状を知る上で,極めて重要なデータベースであり,病態や術式別の早期手術成績の全国水準などを明らかにするとともに,毎年継続してデータを蓄積していくことによって,疾病構造や治療法の変遷,手術成績不良部分の改善の有無などが映し出され,血管外科手術成績向上に大いに資するものと期待される.

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