日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
28 巻 , 2 号
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総説
原著
  • 天本 宗次郎, 里 学, 川﨑 裕満, 七條 正英, 内藤 光三
    2019 年 28 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 2019/04/16
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー

    総大腿動脈硬化性病変に対するeversion endarterectomyはパッチ形成をともなう内膜摘除に比べて,人工物を使用する必要がないこと,感染および仮性瘤形成のリスクを軽減できること,術後に血管内治療アプローチとして利用可能などの利点が得られ,有用な治療法である.今回,総大腿動脈硬化性病変を有する4症例,5肢に対してeversion endarterectomyを行った.術前の虚血症状は全4症例ともRutherford分類2であった.術後は全例に虚血症状やABIは改善し,早期閉塞を含めた合併症は認めなかった.1例1肢に術後解離を疑う所見が認められ,病変長によっては内膜固定が不十分となる可能性があり,術中造影やエコーで解離の有無を評価すべきであった.4症例の平均観察期間は23.8カ月であった.総大腿動脈硬化性病変に対するeversion endarterectomyの初期成績を報告する.

症例
  • 石田 圭一, 高橋 昌一, 片田 芳明
    2019 年 28 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/01
    ジャーナル フリー

    腹部内臓動脈瘤は稀な疾患である.破裂した際に致死的なため適切な治療介入が必要である.主に瘤の局在により治療法が選択されるが,近年,血管内治療が増加している.今回,われわれは動脈起始異常を伴った広頸性の総肝動脈瘤に対してballoon neck plastyを用いたコイル塞栓を行い有用であったので報告する.症例は55歳女性.造影CTで上腸間膜動脈より分岐する総肝動脈近位に最大径20 mmの広頸性の囊状動脈瘤を認めた.B型肝炎ウイルスキャリアであり将来の肝癌に対する血管内治療の可能性を考慮し,親血管の血流を温存するためballoon neck plastyを併用した瘤内packingを施行した.術後に肝機能異常を認めず,造影MRIで瘤内の血流消失,総肝動脈の血流維持を確認した.腹部内臓動脈瘤では,動脈解剖や並存疾患を踏まえ,支配臓器への血流温存を十分に考慮した治療を選択することが重要であると考える.

  • 久良木 亮一, 今井 伸一, 小野原 俊博
    2019 年 28 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 2019/03/15
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー

    症例は,3カ月前に左高位脛骨骨切り術を施行された68歳男性.術後早期より認めていた左下腿痛および左下腿腫脹が増悪し,左下腿近位部外側に拍動性腫瘤を認めた.エコー検査および造影CT検査で前脛骨動脈と連続性を有する仮性動脈瘤と診断し,血管内治療を施行した.前脛骨動脈が近位部で断裂し仮性動脈瘤を形成しており,前脛骨動脈起始部を被覆する形で脛骨腓骨動脈幹から膝下膝窩動脈にかけてVIABAHNを2本内挿した.さらに,前脛骨動脈末梢を逆行性穿刺し,仮性動脈瘤近位部・遠位部の前脛骨動脈をコイル塞栓した.最終造影では仮性動脈瘤は造影されず,VIABAHN内挿直後から左下腿痛および患部の拍動は消失した.

  • 西野 純史, 細井 温, 船田 敏子, 池添 亨, 布川 雅雄, 窪田 博
    2019 年 28 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2019/03/15
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー

    症例は67歳および71歳女性.大伏在静脈大腿静脈接合部逆流に伴う両下肢静脈瘤(C3)の診断で,両側血管内レーザー焼灼術の方針とした.両症例とも右血管内レーザー焼灼術終了後,左側大伏在静脈を穿刺,ガイドワイヤーを挿入した際に心室性不整脈が出現した.不整脈はガイドワイヤーが大伏在静脈大腿静脈接合部を通過することで再現性をもって出現し,抜去すると消失した.胸部不快感を伴っていたことから,手術を中止とした.2症例いずれも術後心室性不整脈の出現や器質的心疾患は認めなかった.またEHIT(endovenous heat-induced thrombus)および深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症は認めなかった.術中所見からは,手技に起因する不整脈の誘発が強く疑われるが,現時点で血管内レーザー焼灼術術中の心室性不整脈の報告は検索しうる限り認められなかった.不整脈出現の原因について考察した.

  • 中山 真悠子, 鈴木 博之, 諏訪 達志, 苅込 和裕, 小山 基, 和田 秀一
    2019 年 28 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2019/04/10
    公開日: 2019/04/09
    ジャーナル フリー

    重度の肥満を合併した総腸骨動脈瘤に対してUpside-down techniqueを用いたGore Excluder contralateral legによるステントグラフト内挿術(EVAR)を行うことで,良好な結果を得たので報告する.症例は76歳男性.術前CT検査にて最大径40 mmの左総腸骨動脈瘤を認めた.身長164 cm・体重111 kg・体格指数(BMI)41.27と重度の肥満を合併していることから,開腹による人工血管置換術は困難であると判断し,EVARの方針とした.なお,左総腸骨動脈中枢側径16 mm・左外腸骨動脈径14 mmであり,Gore Excluder contralateral leg(PLC 201200)をUpside-down techniqueを用いて留置した.なお,type 2 endoleakの発生を予防する目的で,EVAR施行前に左内腸骨動脈に対してコイル塞栓術を施行した.術後問題となる合併症はなく経過した.術後のCT検査では明らかなendoleakは認めなかった.総腸骨動脈瘤に対してUpside-down techniqueを用いたGore Excluder contralateral legによるEVARは有用であると考えられた.

  • 橋本 和憲, 森田 英幹, 竹内 太郎, 青木 雅一, 長野 博司
    2019 年 28 巻 2 号 p. 133-136
    発行日: 2019/04/10
    公開日: 2019/04/09
    ジャーナル フリー

    71歳男性.乗用車との接触事故で外傷性胸部大動脈損傷,および不安定型骨盤骨折を受傷した.当初は保存加療の方針としていたが,フォローアップのCTで胸部大動脈の解離腔が拡大したため,受傷5日後にTEVARを施行した.翌日,骨盤骨折に対して創外固定を行ったが,術後MRSAを起因菌とする,右股関節炎と腸腰筋膿瘍を発症した.長期間の抗生剤投与により全身状態は改善傾向となっていたが,術後6カ月が経過した頃,39度の発熱と炎症反応高値を認めた.CTではステントグラフト周囲に液体貯留像を認めた.血液培養からMRSAが同定されたため,ステントグラフト感染が疑われた.術前に抗生剤投与を行い,炎症反応が低下した状態で手術を行う方針とした.ALPSアプローチによるステントグラフト抜去,人工血管置換術,および大網充填術を施行した.術後6週間の抗生剤投与を行い,現在も感染再燃は認めていない.

  • 新堀 莉沙, 野口 亮, 田爪 宏和, 岡本 健, 福井 寿啓
    2019 年 28 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 2019/04/12
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    症例は76歳男性.他院にて両側総腸骨動脈領域の閉塞性動脈硬化症に対し,腹部大動脈遠位部から右総腸骨動脈,左外腸骨動脈までステント留置術を施行された.ステント留置1カ月後に背部痛を認めたため造影CTを施行したところ,左総腸骨動脈ステント留置部に最大短径43 mmの動脈瘤を認め,緊急手術目的に当科紹介となった.同日,留置されたステントを抜去し,Y型人工血管置換術を施行した.動脈瘤に一致して外膜の欠損部を認め,仮性動脈瘤と診断した.本症例ではステント留置時にガイドワイヤーが血管壁内を通過しており,機械的損傷が仮性瘤形成の原因であったと考えられる.さらに抗血小板療法中であったことが仮性瘤の拡大に関与したと考えられる.血管内治療による機械的損傷での仮性動脈瘤形成は総腸骨動脈領域では稀であり,文献的考察を加え報告する.

  • 平沼 進, 岡田 祥一, 九澤 豊, 奥山 浩
    2019 年 28 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 2019/04/12
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    冠動脈起始異常を伴った大動脈弁輪拡張症に対する自己弁温存基部置換術(David手術)の報告は稀である.症例は45歳,男性.人間ドックの胸部レントゲン検査で異常を指摘され,精査により大動脈基部の拡大と大動脈弁の逆流が認められた.術前検査として行った冠動脈CTにて,右冠動脈が左冠洞より起始し,大動脈と肺動脈の間を走行していることが確認された.比較的若年であり,大動脈弁尖の形態が維持されていることから,術式は自己弁温存基部置換術を選択した.右冠動脈の入口部が左冠動脈のそれに極めて近く,ほぼ単冠動脈と言ってよい状態であった.左冠動脈の入口部はかろうじてボタン状に形成したが,右冠動脈は十分に剝離した上で,直接人工血管に吻合した.吻合部位の決定に際しては,一旦遮断解除を行い,人工血管を十分に張らせた上で行うなど慎重を期した.こうした冠動脈の再建を行う上で,術前の冠動脈CTは極めて有用であった.

  • 谷川 和好, 江石 清行, 橋詰 浩二, 三浦 崇, 北村 哲生, 嶋田 隆志
    2019 年 28 巻 2 号 p. 145-148
    発行日: 2019/04/12
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    症例は49歳男性.176 cm, 120 kg.突然の胸背部痛を認め当院緊急搬送.造影CTでStanford A型の急性大動脈解離と診断,緊急手術となった.右腋窩動脈(direct cannulation)・右大腿動脈送血で体外循環を確立.直腸温27度で循環停止,選択的脳灌流法,open distal anastomosisで弓部大動脈置換術施行.術後CKが最高値57455 U/lと上昇,Crは術前値1.63 mg/dLから最高値4.07 mg/dLまで上昇した.術後造影CTで体幹部臓器,下肢には明らかな虚血性変化を認めないが,術直後より右上肢の高度緊満を認め,術中腋窩動脈送血に伴い右上肢虚血となり筋腎代謝症候群をきたしたと考えられた.乏尿となり血液浄化を必要としたが,経過に伴い離脱できた.術後早期には右上肢挙上不可,感覚低下を認めたが,リハビリテーションにより徐々に軽快し社会復帰可能となった.

  • 宮武 司, 内藤 祐嗣, 吉本 公洋, 杉木 宏司, 村上 達哉, 大場 淳一
    2019 年 28 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 2019/04/12
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー

    膝窩動脈瘤は一施設で多くを経験するほどの発症率ではなく治療法について迷うことも多い.膝窩動脈瘤手術症例8例11肢について検討した.閉塞範囲が中枢まで伸びていた1例に仰臥位内側到達法でバイパス手術を行った以外はすべて腹臥位後方到達法にて手術を施行した.グラフトは人工血管5肢,大伏在静脈4肢,小伏在静脈2肢であった.全例術前に超音波検査を施行して自家静脈をマーキングした.静脈採取のための体位変換はしなかった.3例で内視鏡下大伏在静脈採取を施行した.両側人工血管置換術の1例は早期に経過観察から離脱した.人工血管グラフトが術後7日目に閉塞した以外はすべて開存している(最長3376日).膝窩動脈瘤治療において,外科手術は良好な成績であった.その中でも腹臥位後方到達法での小伏在静脈グラフト使用あるいは内視鏡下大伏在静脈採取は症例を選択すれば,切開が膝窩のS状切開のみで行える点で有用と考えられた.

  • 國本 秀樹, 栗山 雄幸, 岩橋 正尋, 高垣 有作, 中村 恭子, 重里 政信
    2019 年 28 巻 2 号 p. 155-158
    発行日: 2019/04/16
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー

    血管原発の平滑筋肉腫は稀な疾患で,予後も悪い.中でも大腿静脈原発の血管平滑筋肉腫は報告が少なく,中・長期予後に関してよく知られていない.今回われわれは大腿静脈原発の平滑筋肉腫に対して根治的手術を行い術後5年間経過をフォローしたので報告する.症例は75歳女性.右下肢浮腫を主訴に来院した.エコーで大腿静脈に腫瘤性病変を認めた.造影CTで大腿静脈内に2×3 cm大の腫瘤を認め,内部が不均一に造影されていた.軟部腫瘍を考慮して全身麻酔下で大腿静脈とともに腫瘍を摘出した.病理検査でα-SMA陽性で,大腿静脈原発の平滑筋肉腫の診断となった.術後3年10カ月で甲状腺に腫瘤が出現したため甲状腺全摘術を行ったところ病理検査で平滑筋肉腫の診断となった.その後椎体,肺,肺静脈,皮膚,他全身転移し,術後5年で多臓器不全で死亡した.局所再発は認めなかった.

  • 浦田 康久, 佐藤 友昭, 日置 巌雄
    2019 年 28 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2019/04/16
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー

    遺残坐骨動脈瘤は圧迫症状や下肢虚血を来し,治療が必要だが,定型的治療が確立されていない.症例は77歳女性.突然の右下肢冷感と痛みを自覚し,右下肢の血流障害を疑われ当科へ紹介.右殿部から大腿後面に拍動性腫瘤を触れたが,間欠性跛行はなく,ABIも正常.造影CTでは直径32 mm大の壁在血栓を伴う遺残坐骨動脈瘤と下肢末梢への塞栓症が判明.瘤は大腿上部で終了し,末梢はそのまま下腿へ血流供給しており,完全型の右遺残坐骨動脈瘤および瘤内の血栓脱落による右下肢急性動脈閉塞症と診断.抗凝固療法を先行後,待機手術施行.全身麻酔下に右下腹部と大腿上部前面を切開し,瘤を空置した後,総腸骨動脈と坐骨動脈末梢を人工血管でバイパスし血行再建.術後CTでは遺残坐骨動脈瘤は血栓化しバイパスも開存.完全型遺残坐骨動脈瘤は,瘤の処置と下肢の血行再建が必要であり,上記の方法は遺残坐骨動脈瘤治療で有用であった.

  • 森山 周二, 池田 理, 田村 吉高, 原 正彦, 金子 泰史
    2019 年 28 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 2019/04/16
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー

    大動脈周囲炎の原因,瘤化の機序および予後は不明である.腹部大動脈周囲炎疑いから無治療で5年後に瘤化および破裂をきたしステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した炎症性腹部大動脈瘤破裂を経験したので報告する.症例は71歳男性で腰痛および圧痛を伴う腹部拍動性腫瘤を認め救急搬送された.5年前に腹部大動脈周囲炎を疑われたが,精査加療を受けていなかった.炎症性腹部大動脈瘤破裂と診断したが入院時に手術同意得られず,入院14日目にEVARを施行した.術後6カ月以上経過し自覚症状および合併症なく外来通院中であるが,長期的な経過観察が必要である.

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