水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
Print ISSN : 0916-8958
34 巻 , 4 号
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原著論文
  • 山室 真澄, 神谷 宏, 石飛 裕
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 34 巻 4 号 p. 57-64
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/10
    ジャーナル フリー
    低鹹汽水湖である宍道湖における酸素消費過程の現場観測と,宍道湖湖心部堆積物と底層水を用いた酸素消費実験を2005年の夏季と秋季に行った。実験においては酸素消費と共に,有機物指標(COD(Mn),COD(Cr),TOC)の濃度がどのように変化するかを検討した。現場観測では,隣接する中海から湧昇する貧酸素化した高塩分水が,宍道湖堆積物上を移動するにつれて溶存酸素濃度が上昇する状況が観測された。また成層内部の溶存酸素濃度は風によって引き起こされる湖水の流動に影響されており,底層の貧酸素化は風速の低下により成層内部の流動が弱くなった場合にのみ発生すると考えられた。底層水を用いた実験では,溶存酸素濃度の減少と有機物指標との間に対応が認められなかった。底層水と堆積物を用いた酸素消費実験では,溶存酸素濃度がゼロになるまでに2日以上を要した。これらの結果から,COD(Mn)であらわされている有機物量を削減するよりも成層状態が長期に渡らない対策を立てる方が,宍道湖での貧酸素化の緩和に有効であると考えられた。
調査報告
  • 内藤 航, 森 美和子, 岩崎 雄一, 加茂 将史, 益永 茂樹
    原稿種別: 調査報告
    2011 年 34 巻 4 号 p. 65-71
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/10
    ジャーナル フリー
    水環境においてZnやCuなどの重金属の水生生物に対する生物利用性や毒性は,水質特性によって変化するそれらの化学形態に大きく依存することが知られている。生物利用性を考慮した効率的な生態リスク評価・管理手法の開発には,河川における重金属の生物利用性と水質特性との関係を把握することが重要である。そこで本研究では,重金属濃度が高い休廃止鉱山周辺の河川水を含む,水質特性の異なる複数の河川を対象に,薄膜拡散勾配(Diffusive Gradients in Thin-films: DGT)法によりZn,Cu,Ni,Cdの生物利用性に関する基礎的知見を得るためのモニタリング調査を行った。休廃止鉱山周辺に比べ,都市河川は生物に利用可能と見なされているlabileな重金属の割合が相対的に低かった。生物に利用可能な濃度の割合を物質間で比較すると,ZnやCdが高く,Cuが低かった。ZnやCdは河川中において,生物に利用可能な遊離イオンや無機錯体として存在する割合が高く,Cuは粒子吸着態や溶存有機物と結合し有機錯体を形成し存在する割合が高いことが推察された。Cuの生物利用性は,溶存有機炭素濃度の上昇に伴い,減少する傾向が見られた。Niについては,検出濃度が検出下限に近いデータが多く,ばらつきが大きいため,傾向を把握することは困難であった。本調査研究の結果は,重金属の水生生物への影響を評価する上で生物利用性を考慮することの重要性が改めて確認されたことを意味しており,都市河川のように有機汚染度の高い河川では,その評価がとくに重要であると考えられた。
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