水環境学会誌
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35 巻, 2 号
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技術報告
  • 蛯江 美孝, 山崎 宏史, 小椋 有未永, 徐 開欽
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 35 巻 2 号 p. 27-32
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/10
    ジャーナル フリー
    小規模分散型の生活排水処理システムである浄化槽は,1日における流入水量の変動が大きいことから,温室効果ガス排出量も1日のうちに大きな変動を有していると考えられる。そこで,20℃の恒温実験室において5人槽の浄化槽を2基稼働し,一方のみ嫌気-好気循環運転を行った。1日の原水流入パターンに合わせて温室効果ガスであるCH4,N2Oの排出量を24時間モニタリングした結果,両系ともに原水の流入に伴ってCH4,N2O排出量が大幅に増加したことから,正確な排出量の評価には,1日の変化全体を捉えることが必要であると考えられた。また,CH4,N2O排出量を比較すると,嫌気-好気循環を行うことにより,嫌気-好気循環を行わない場合に比べてそれぞれ72%,54%程度,総排出量(CO2eq)で68%程度排出量を削減できることが明らかとなった。すなわち,嫌気-好気循環運転は窒素除去を可能とするのみならず,温室効果ガス排出量の削減にも寄与することが示唆された。
調査報告
  • 右田 雄二, 山崎 省吾, 高藤 美和子, 中村 まき子, 吾郷 昌信, 西山 雅也, 和田 実
    原稿種別: 調査報告
    2012 年 35 巻 2 号 p. 33-39
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/10
    ジャーナル フリー
    有明海沿岸はV. vulnificus感染症が多く報告される地域である。本研究では,有明海および有明海に注ぐ船津川ならびにその河口付近の海域におけるV. vulnificusの分布と環境特性との関係を明らかにすることを目指した。有明海沿岸では,本菌は水温25℃を超える夏季に平均2-4 Log MPN/100 mLで生息するが,2006年夏季に海水の塩分が低下(3-23 psu)した際には,高密度(4.4-6.4 Log MPN/100 mL)で出現した。船津川では,塩分が8-28 psuの範囲を示す河口から河川感潮に本菌は恒常的に存在し,夏季に2-4 Log MPN/100 mLに達した。これらの結果から,汽水の塩分範囲となる河口域に恒常的なV. vulnificusの生息場が存在し,夏季の高水温と長期間の降雨により本菌の増殖に適した高温かつ低塩分環境が拡大することが示唆された。
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