小規模分散型の生活排水処理システムである浄化槽は,1日における流入水量の変動が大きいことから,温室効果ガス排出量も1日のうちに大きな変動を有していると考えられる。そこで,20℃の恒温実験室において5人槽の浄化槽を2基稼働し,一方のみ嫌気-好気循環運転を行った。1日の原水流入パターンに合わせて温室効果ガスであるCH
4,N
2Oの排出量を24時間モニタリングした結果,両系ともに原水の流入に伴ってCH
4,N
2O排出量が大幅に増加したことから,正確な排出量の評価には,1日の変化全体を捉えることが必要であると考えられた。また,CH
4,N
2O排出量を比較すると,嫌気-好気循環を行うことにより,嫌気-好気循環を行わない場合に比べてそれぞれ72%,54%程度,総排出量(CO
2eq)で68%程度排出量を削減できることが明らかとなった。すなわち,嫌気-好気循環運転は窒素除去を可能とするのみならず,温室効果ガス排出量の削減にも寄与することが示唆された。
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