水環境学会誌
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35 巻, 7 号
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原著論文
  • 濱 武英, 大菅 勝之, 青木 丈, 杉山 翔, 岩崎 大知, 中村 公人, 川島 茂人
    原稿種別: 原著論文
    2012 年 35 巻 7 号 p. 103-109
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル フリー
    循環灌漑では,排水の再利用に伴い水田地区からの排出負荷が削減される一方で,排水路の底泥の栄養塩類や炭素が増加すると考えられる。本研究は,循環灌漑を実施する琵琶湖岸の水田地区を調査し,排水路の底泥に含まれる窒素,リン,炭素の特徴を明らかにした。結果として,底質の経時変化に,灌漑時期に応じた明確な傾向は見られなかった。窒素,リン,炭素はいずれも底泥下層よりも上層に多く含まれ,平均値は,上層でそれぞれ1.96 g・kg-1,2.44 g・kg-1,20.0 g・kg-1,下層で1.36 g・kg-1,0.75 g・kg-1,12.1 g・kg-1であった。特に,排水路底泥は,河川や湖沼の底泥の平均値と比較してリンが多かった。底泥の窒素は主に有機態として存在していた。一方,底泥のリンの形態は主に無機態であった。
調査報告
  • 高橋 和彦, 大谷 康彦, 飯田 英雄, 松本 伸一, 佐藤 匡臣, 細見 正明, 畑 恭子, 永尾 謙太郎
    原稿種別: 調査報告
    2012 年 35 巻 7 号 p. 111-117
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル フリー
    千葉県九十九里地区では地中500~2,000 m程度のガス層からの天然ガス・ヨウ素の掘削・採取を行っている。この天然ガス・ヨウ素の採取に伴い,地中から汲み上げられる地下水(かん水)を工場周辺の河川および海域に排水している。かん水には比較的高濃度の窒素類が含まれている。本調査は,かん水の排水が周辺の河川および海域に及ぼす影響を明らかにするため,河川および海域における窒素類の濃度を観測するとともに,海域での窒素類の挙動(拡散や循環)についてシミュレーションモデルを用いて推定した。一年を通じて工場排水の流入前後でアンモニア態窒素濃度のみが上昇し,工場から河川域に排水されたアンモニア態窒素はほとんど硝化作用を受けず沿岸域に流出している可能性が示唆された。さらに沿岸・沖合域では植物プランクトンによるアンモニア態窒素の吸収速度がアンモニア態窒素の硝化速度を大きく上回っていることがシミュレーション結果より示唆された。
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