循環灌漑では,排水の再利用に伴い水田地区からの排出負荷が削減される一方で,排水路の底泥の栄養塩類や炭素が増加すると考えられる。本研究は,循環灌漑を実施する琵琶湖岸の水田地区を調査し,排水路の底泥に含まれる窒素,リン,炭素の特徴を明らかにした。結果として,底質の経時変化に,灌漑時期に応じた明確な傾向は見られなかった。窒素,リン,炭素はいずれも底泥下層よりも上層に多く含まれ,平均値は,上層でそれぞれ1.96 g・kg
-1,2.44 g・kg
-1,20.0 g・kg
-1,下層で1.36 g・kg
-1,0.75 g・kg
-1,12.1 g・kg
-1であった。特に,排水路底泥は,河川や湖沼の底泥の平均値と比較してリンが多かった。底泥の窒素は主に有機態として存在していた。一方,底泥のリンの形態は主に無機態であった。
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