水環境学会誌
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36 巻, 2 号
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総説
  • 高梨 啓和, 浜崎 賢太, 加藤 雄介, 中島 常憲, 大木 章, 近藤 貴志, 亀屋 隆志, 松下 拓
    原稿種別: 総説
    2013 年 36 巻 2 号 p. 29-38
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/10
    ジャーナル フリー
    環境水の農薬濃度モニタリングの例は数多く報告されているが,農薬変化体(Pesticide Transformation Products in Water environments: PTPWs)のモニタリングは十分に行われているとは言い難い。その理由の一つとして,PTPWsのリストが見あたらないことがあげられる。環境中に散布された農薬は,ただちに水や二酸化炭素などの最終分解物まで分解されるとは限らず,加水分解物や光分解物などの農薬変化体が水環境中に残留する可能性がある。このため,PTPWsの環境モニタリングや浄水処理特性を検討することが重要と考えられる。そこで本文献研究では,PTPWsの環境モニタリングや浄水処理特性の検討に資することを目的に,農薬評価書をもとに145農薬の610種類のPTPWsを,12,269報の文献および2冊の書籍をもとに14農薬の73種類のPTPWsをリスト化した。
原著論文
  • 岩田 杉夫, 遠藤 忠嗣, 井上 隆信, 横田 久里子, 大久保 陽子
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 36 巻 2 号 p. 39-47
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/10
    ジャーナル フリー
    三河湾への栄養塩流出負荷量の効果的な推計手法を検討するに当たり,豊橋市内の中小河川である浜田川からの流出負荷量について詳細な調査を実施した。本報告では,2009年5月から2011年7月までの平水時および降雨時調査のデータを基に,対数法および直接法を用い係数を決定し浜田川のL-Q式を作成した。また,水位連続データを流量連続データへと変換し,得られたL-Q式と流量連続データを用いて流出負荷量を算出し,検討を行った結果,2009年8月から2011年7月の平均で浜田川の比流出負荷量は,全窒素で13.5×103 kg·km-2 ·y-1(対数法),17.1×103 kg·km-2 ·y-1(直接法),全リンで2.49×103 kg·km-2 ·y-1(対数法),3.65×103 kg·km-2 ·y-1(直接法)と推定され,原単位法に基づく負荷量に比べて相当大きな値となった。
  • 手塚 公裕, 伊藤 祐二, 片野 俊也, 加 瑞, 日野 剛徳, 速水 祐一, 大串 浩一郎
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 36 巻 2 号 p. 49-56
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/10
    ジャーナル フリー
    諫早湾と調整池の底質を海水に懸濁させた実験により底質の間隙水NH4-N拡散量,吸着態NH4-N溶出量・溶出率を検討した。また,潮受け堤防排水門の開放時の調整池底質からのNH4-N放出量を試算した。その結果,底質の平均吸着態NH4-N量は諫早湾で44.2μg·gDW-1,調整池で156 μg·gDW-1,吸着態NH4-N溶出量の平均は諫早湾で29.8μg·gDW-1,調整池で115μg·gDW-1,平均NH4-N溶出率は,諫早湾で65%,調整池で76%であり,全て調整池で高かった。調整池底質が深さ10cmまで巻き上がった場合,間隙水NH4-N拡散量は6.7t,吸着態NH4-N溶出量は89.5t,これらの合計であるNH4-N放出量は96.2tと見積もられた。諫早湾では開門による環境改善が期待されているが,開門に伴う水の流動で底質が巻き上がることによる栄養塩の供給量の増加が懸念される。
  • 澤田 和子, 井上 大介, 清 和成, 池 道彦
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 36 巻 2 号 p. 57-65
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/10
    ジャーナル フリー
    レチノイン酸(RA)の結合を介して形態形成等の制御を担っているRA受容体(RAR)は,そのシグナル伝達の過剰発現により催奇形性作用をもたらす可能性がある。これまでの研究から,下水中にはRARアゴニストが常に存在し,その主要物質がall-trans RA(atRA),13-cis RA(13cRA),4-oxo-atRA,および4-oxo-13cRAであることが特定された。本研究では,これら4物質の下水処理過程における挙動の解明を目的として,都市下水処理場における4物質の挙動とRARアゴニスト活性の推移を調査した。その結果,RA類と4-oxo-RA類は,時季や処理方式によらず,活性汚泥処理によって良好に除去されることが明らかとなり,処理過程で未知のRARアゴニストが生成する可能性もあるが,現在の放流水のRARアゴニストレベルでは水生生物に対して直ちに生体影響が生じる可能性は低いと考えられた。
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