水環境学会誌
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40 巻, 6 号
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技術論文
  • 小林 憲弘, 小坂 浩司, 浅見 真理, 中川 慎也, 木下 輝昭, 高木 総吉, 中島 孝江, 古川 浩司, 中村 弘揮, 工藤 清惣, ...
    原稿種別: 技術論文
    2017 年 40 巻 6 号 p. 223-233
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
    水道水中の臭素酸イオン (BrO3-) を既存の告示法よりも高精度かつ迅速・簡便に分析するために, LC/MS/MSによる測定方法を検討し, 臭素酸イオンを高感度に検出でき, さらに水道水中に含まれる他の陰イオンを良好に分離可能な測定条件を確立した。さらに, 本研究で確立した測定条件が全国の水道水に適用できるかどうかを検証するために, 水道事業体等の23機関において水道水に臭素酸イオンを基準値 (0.01 mg L-1) およびその1/10 (0.001 mg L-1) となるように添加した試料を調製し, 各機関で最適化した様々な測定条件で試験を行った。その結果, いずれの機関においても厚生労働省が示している「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドライン」の真度, 併行精度および室内精度の目標を満たしたことから, 本分析法は水道水中の臭素酸イオンを基準値の1/10 (0.001 mg L-1) まで高精度に分析可能であると評価した。
  • 石山 高, 八戸 昭一, 濱元 栄起
    原稿種別: 技術論文
    2017 年 40 巻 6 号 p. 235-245
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
    近年, 海成堆積物由来の土壌汚染が日本各地で発生している。黄鉄鉱 (FeS2) を含む海成堆積物は, 長い期間大気中に放置されると徐々に酸性土壌へと変化し, そこからは様々な有害重金属類 (鉛, カドミウム, ヒ素など) が溶出する。本研究では, アルカリ性の天然素材 (ホタテ貝の貝殻片) を用いた海成堆積物中重金属類の低コスト・低負荷型汚染対策手法を開発した。貝殻片は黄鉄鉱の酸化抑制剤として有効であり, 海成堆積物に2.5 wt%以上添加することで黄鉄鉱の酸化が抑制できることが分かった。本手法は, 黄鉄鉱の酸化分解に伴う土壌の酸性化を未然に防止するばかりでなく, 土壌中のヒ素やカドミウムの残渣態から可溶性態への形態変化を同時に防ぐことができたため, 海成堆積物からのヒ素やカドミウムの溶出リスクを大幅に低減することができた。
調査論文
  • 中原 真哉, 平岡 喜代典, 大道 優平, 土田 孝, 小林 英明, 岡田 光正
    原稿種別: 調査論文
    2017 年 40 巻 6 号 p. 247-253
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
    製鋼スラグを中詰材とし, その上に河口浚渫土を覆砂して造成した浅場において, 工事中のpH及び濁度, 造成後のpH及び底生動物のモニタリングを行い, 環境の状況及び浅場の再生効果について検討した。工事期間中は, スラグ投入場所での底泥の巻上げはあるものの, pHの異常上昇は認められなかった。造成後のpHは, 中詰層では上昇することがあるものの, 覆砂層及び直上水では8前後で推移した。造成浅場の底生動物は, 自然浅場との共通種が多く, 種類数, 個体数及び湿重量は自然浅場を上回った。これらのことから, 今回の浅場造成方法によって, 自然浅場に匹敵あるいはこれを上回る底生動物が生息する浅場の再生が確認された。
  • 池田 雄, 町田 裕貴, 鈴木 準平, 藤田 昌史
    原稿種別: 調査論文
    2017 年 40 巻 6 号 p. 255-260
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
    汽水湖の水質汚濁を想定して, 都市下水をヤマトシジミに曝露して, 鰓と軟体部の総抗酸化力の応答をORAC法で評価した。事前にヤマトシジミの総抗酸化力の評価に適した個体サイズを調べたところ, 採取した個体の67.3%を占める殻長19 mmから25 mmの個体では, 溶解性タンパク量のばらつきが相対的に小さいことがわかった。ヤマトシジミの鰓のORACは, 軟体部よりも約4倍大きく, 都市下水に曝露した場合には, 鰓の方が軟体部よりも抗酸化応答の継続性が高いことが明らかとなった。つまり, 都市下水に対しては軟体部よりも鰓の方が総抗酸化力の応答を捉えやすいことが示された。
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