水環境学会誌
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40 巻, 1 号
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研究論文
  • 三浦 真吾, 高津 文人, 今井 章雄, 小松 一弘
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 40 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/10
    ジャーナル フリー
    10年間の月例河川水質調査に対して移動平均法を用いて中長期変動を除いて短期変動を抽出し, 雨量データ等を併せて解析を行うことで出水時の栄養塩等の流出特性を解析した。懸濁物質の降雨時出水に伴う影響は2日間続いたが, イオン類では3日間, 栄養塩では1日という結果となった。懸濁物質は降雨に伴う濁水の流入で濃度が増加したが, 栄養塩を除くCl-やCa+等のイオンは雨水による希釈効果で濃度は低下した。栄養塩では水質項目毎に挙動が異なっていた。これらは出水時調査の実データによっても裏付けられた。栄養塩の挙動について更に検討したところ, 流域サイズが小さいと希釈による出水の影響が見えやすいが, 流域サイズが大きいと流下過程での生物等による栄養塩吸収を含む生態系内プロセスにより, 希釈効果が見えにくくなったと推察した。これにより採水の難しさから評価しにくかった降雨時出水の解析が, 定期観測データを用いて評価できる可能性が示された。
  • 野本 直樹, Tyagi Vinay Kumar, Ali Muntjeer, Jayaswal Komal, Maharjan Namit ...
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 40 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/10
    ジャーナル フリー
    UASB (Up-flow Anaerobic Sludge Blanket) -DHS (Down-flow Hanging Sponge) システムの実規模下水処理プラントをインド国に建設し, 実証試験を行った。運転開始3か月目に, DHSリアクターのCODCr除去率は月平均60%に達した。その後リアクター停止, 流入水量変動等種々の影響を受けながら9か月目に定常状態になった。9~12か月目は, DHS処理水は平均CODCr 92 (±20) mg L-1を示した。定常状態後も, 有機物負荷は2.59~12.59 kg-CODCr m-3 day-1と変動し, かつ高負荷であったが, CODCr負荷と除去量は比例関係を示し, 高有機物負荷流入時も有機物処理性能を維持することが明示された。また, 本リアクターは開発途上国で生じ得る様々な問題に遭遇しながらも特別な維持管理を行わずにスタートアップに成功し, 開発途上国における適性が示された。
  • 霜鳥 孝一, 今井 章雄, 高津 文人, 小松 一弘, 佐藤 貴之, 冨岡 典子, 篠原 隆一郎, 三浦 真吾, 奥居 紳也, 桐山 徳也, ...
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 40 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/10
    ジャーナル フリー
    本研究では, 湖沼における新環境基準項目となる底層溶存酸素 (DO) の変動と密接に関係する底泥の酸素消費量 (SOD) の新規測定手法を開発した。本手法は, 表層構造を保った底泥のSOD測定が可能, 既存手法に比べ測定が短時間, 現地測定が可能という利点を有する。本手法を用いて, 霞ヶ浦, 琵琶湖北湖と南湖において, 各湖のSODの差や季節変動を明らかにした。琵琶湖南湖の水生植物繁茂水域では, SOD測定開始から急激なDO消費が観測され, 嫌気的環境下で底泥溶出する還元型の鉄やマンガンによるDO消費が推察された。しかし, 各湖の底泥中の鉄, マンガン含量とSODに有意な相関は見られなかった。一方, SOD測定後の直上水の分析から, 底泥溶出する鉄・リン量とSODの有意な相関が明らかとなった。本手法はSOD測定の改善に加え, 還元型金属イオンのSODへの影響評価も見込めるため, 湖沼環境研究の進展に貢献することが期待される。
ノート
  • 清水 康生, 原口 公子
    原稿種別: ノート
    2017 年 40 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/10
    ジャーナル フリー
    水環境健全性指標の活用方法として, 小学校教育の総合学習へ適用することが考えられる。しかし, 適用の有効性については指摘されているが, その効果を具体的に検証している事例はない。本稿では同指標を活用した授業の有効性について同じ児童を4年時と5年時の二カ年に亘り調査し検証を試み, さらに, 三カ年目に新5年生の児童にも検証のための調査を行った。内容としては, 同指標の調査を行うと同時にアンケート意識調査と感想文の記述を行ってもらい, 指標の回答内容の変化と意識内容の変化を比較し, 回答に関係する意識の広がりや深まりなどの変化が学習効果を表していると考えた。分析の結果, 水環境健全性指標による調査経験は, 児童の水環境に関する知識の取得だけでなく意識の変化とも関連し, 生物のような分かり易い事項からゴミや汚れという環境問題へと関心が広がっている学習効果を確認した。
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