廃棄物学会論文誌
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11 巻, 6 号
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論文
  • 野馬 幸生, 松藤 康司, 高田 光康, 友田 啓二郎
    2000 年11 巻6 号 p. 297-306
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    最終処分場におけるダイオキシン類の収支の把握を目的として, 一般廃棄物の焼却残渣主体の処分場内とその周辺で調査を行った。焼却灰, 飛灰および覆土に含まれるダイオキシン類濃度を測定することにより処分場へ持ち込まれるダイオキシン類の総量を, また浸出水と発生ガスから処分場より排出されるダイオキシン類の総量を, そしてボーリングコアから処分場内に残存しているダイオキシン類の総量を概算した。それらの結果から処分場内でのダイオキシン類の収支を試算した。
    処分場へ搬入されたダイオキシン類は8年間で2, 900g (46g-TEQ) であり, 99%以上が飛灰由来であった。また, 環境中へ排出されたダイオキシン類は0.001g (0.000001g-TEQ) であり, 浸出水経由であった。搬入されたダイオキシン類の0.0009% (0.0007%, TEQ) である0.02g (0.0003g-TEQ) が浸出水へ移行し, 水処理後0.00005% (0.000002%, TEQ) が放流水として環境中に排出されていた。浸出水中のダイオキシン類のほとんどが, 水処理過程において汚泥として回収され, 再び処分場内へ返送されていた。
    今回の調査は限られたデータによる推算であるため不確実性は残るものの, ダイオキシン類が水へ溶解して処分場から排出される量は極めて少なく, また処分場内では容易には分解されず長期にわたり貯留, 保管されていると推察した。
  • 二宮 一朗, 上田 一恵, 田中 一正, 地下 正伸, 網本 博孝, 田井 和夫
    2000 年11 巻6 号 p. 307-313
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    近年, 環境への排出が問題になっている焼却排ガス中のダイオキシン類 (DXNs) の除去を触媒法により検討した。DXNsのモデル化合物としてモノクロロベンゼン (MCB) を用いて本触媒の特性を確認した。MCBの分解反応はMCB濃度の一次反応であり, 200℃における反応速度定数は170℃の時に比べ1.4倍であった。本触媒にて実稼働中の全連続燃焼式ストーカ炉焼却排ガスの一部を用いて, DXNsの分解挙動の解析と触媒の耐久性評価試験を行った。その結果, ガス流通初期からDXNsに対して高い分解活性を示し, 16, 500時間経過後においてもTEQ換算で95%以上の分解率を示した。また, 排ガスの処理条件を検討した結果, 170~240℃の温度領域では高効率に分解が行え, さらに, 本研究における触媒分解反応は混合拡散モデルによる計算結果でよく説明でき, 反応温度および線速度の影響を明らかにすることができた。
  • 寺園 淳, 乙間 末広, 森 保文
    2000 年11 巻6 号 p. 314-323
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    飲料用を主とする容器に関しては, 消費段階以降のマテリアルフローが明らかでなく, 排出量あたりのリサイクル率は十分把握されていない。そこで, 容器の排出量あたりのリサイクル率を把握することを目的として, マテリアルフロー調査を実施した。首都圏のY市におけるスチール缶・アルミ缶・ガラスびん (ワンウェイびん) の収集・回収量を調査して積み上げた結果, 消費量の81~110%のフローを把握することができた。また, 業者内の歩留りを把握しながら, 消費後の排出量のうち実際に再生メーカーに搬入された量を試算し, 排出量あたりのリサイクル率を得ることができた。本調査によるマテリアルフローに基づく排出量あたりのリサイクル率は, 一般に報告されているリサイクル率とは定義が異なり, 品目によっては50%以下という低い値となることがわかった。これらの試算を通じて, リサイクル率の定義について検討し, マテリアルフローの重要性を指摘した。
  • 青木 利幸, 岡田 祐子, 林 政克, 田鎖 功治, 高木 武夫
    2000 年11 巻6 号 p. 324-332
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    リサイクルシステムにおける仕分け工程での処理能力の向上および処理コストの削減を目的として, エアコン, 冷蔵庫, テレビおよび洗濯機を対象に使用済み家庭電化製品 (家電品) の自動識別の方法を検討した。その結果, 形状, 外形寸法, 質量, デザイン, 色および銘板情報を用いて家電品を識別する方法のうち, 外形寸法を特徴量とした識別と, 外形寸法および質量を特徴量とした識別がよいことを明らかにした。これらの2つの識別に関して, 家電品メーカ4社を対象にカタログの値をもとに識別を行い, 外形寸法をもとにした識別では, 識別率97.2%, 処理時間0.5×10-3秒/個 (486DX4, 100MHzのCPUを有するパソコン使用) を, 外形寸法および質量をもとにした識別では, 識別率99.5%, 処理時間0.5×10-3秒/個 (同上パソコン使用) を得て, リサイクルシステムに実用化できる見通しを示した。
  • 高岡 昌輝, 中塚 大輔, 武田 信生, 藤原 健史
    2000 年11 巻6 号 p. 333-342
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    焼却飛灰の中間処理の効果や処理物が環境にもたらすリスクの程度を議論するには, 特定の元素に注目するだけでなく, 含有される多くの元素の濃度を把握し, 総合的に検討することが必要である。したがって, 焼却飛灰に含有される各元素を正確かっ迅速に分析定量することが重要である。そこでごみ焼却飛灰中元素の定量に関する蛍光X線分析法の適用性を, 蛍光X線分析法, ICP発光分析法, 中性子放射化分析法の3つの分析法からの測定値を比較することにより評価した。比較的含有量の多い元素については, 蛍光X線分析法によりICP発光分析法や中性子放射化分析法と同等の分析値が得られた。飛灰中の各元素のうちCo, As, Se, Hg以外の元素についてはICP発光分析法と蛍光X線分析法とで互いに補完しあうことにより正確に分析できることがわかった。
  • 土手 裕, 丸山 俊朗, 岡田 久美子
    2000 年11 巻6 号 p. 343-350
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    建設構造物には大量の資材が使用されていることから, それから発生する廃棄物量を予測することは廃棄物処理計画を作成する上で重要である。本研究では宮崎県の道路橋を調査し, 橋由来の廃コンクリート発生量を予測し, 長寿命化の発生量抑制効果を評価した。
    解体数の経年変化を表す寿命分布関数として正規分布およびワイブル分布が有効であったが, 寿命の大きいところのデータが不足しているため, どちらの分布に従うかは決定できなかった。平均寿命は正規分布では61年, ワイブル分布では69年であった。また, この寿命分布関数は解体数から求められたものにも関わらず, 廃コンクリート発生量の予測に用いることが可能であった。発生量は累積量で比較すると予測量と実測量はおおむね良好な一致が得られた。2100年度までの予測では, 発生量はほぼ直線的に増加することがわかった。累積発生量は平均寿命を10年延ばすごとに10~20%削減され, 長寿命化の効果を定量的に評価できた。
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