廃棄物学会論文誌
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13 巻, 3 号
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展望論文
  • 森 浩二, 高見澤 一裕
    2002 年13 巻3 号 p. 113-123
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    廃棄物埋立地における廃棄物の分解と安定化のメカニズムを知ることは, 廃棄物埋立地を正しく評価するために極めて重要である。ここでは, 分解・安定化に大きな役割を果たしていると考えられている硫酸塩還元菌とメタン生成菌に焦点を絞り, これらの分布と構造について分子生物学的手法を用いて研究した結果を述べる。これまで, その微生物学的知見は培養法によるものが大半であったが, 1990年代より様々な環境を理解するために分子生物学的手法が適用され, 多くの知見が得られはじめた。主な方法としては定量的PCR, クローニング解析, DGGE, RFLP, TRFLP, スロットプロットDNA (RNA) ハイブリダイゼーション, FISHがある。これらを概説し, 定量的PCRとクローニング解析の応用例を示した。その結果, 硫酸塩還元菌の存在量は全細菌の約15-30%であること, メタン生成菌は約2-3%であることがわかった。さらに, クロルベンゼン等の有機塩素化合物を脱塩素化することで知られているDesulfomonile属が多数検出され, 廃棄物埋立地における有機塩素化合物の分解を説明できる結果を得た。
論文
  • 青井 健太郎, 小野 芳朗, 並木 健二, 山田 亜矢
    2002 年13 巻3 号 p. 124-130
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では, 一般廃棄物焼却施設から採取した飛灰および主灰について各種の溶出試験と化学物質のリスクに関わる優先度を決定するスコアリングを組み合わせることにより, 焼却灰中に含有されるCr, Cd, Pb, Sbの『溶出されやすく, 生体内に曝露されやすく, しかも有害な影響をおこしやすさ』を浸出水へ与えるインパクトの強さとして定量的に評価した。その結果, 焼却灰の浸出水への影響を評価するためには, 二段階バッチ試験とアベイラビリティー試験を組み合わせる必要があることと, 埋立て初期のCd, 長期間にわたるPb溶出によるインパクトが強いという結論を得た。
  • 佐野 奨, 市川 牧彦, 玉重 宇幹, 松藤 敏彦, 田中 信壽
    2002 年13 巻3 号 p. 131-140
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究は, 都市ごみ焼却灰の処理・有効利用技術の環境負荷を, 地球温暖化および最終処分場枯渇の面から定量化したものである。また, 分別収集された廃プラスチックのリサイクル技術についても同時に評価した。灰水洗技術を用いて都市ごみ焼却灰をセメント原料として利用することで, 地球温暖化防止および最終処分場延命に極めて有効であることが明らかとなった。現在のセメント製造システムは廃プラスチックを極めて高い効率で有効利用することが可能であり, 地球温暖化防止や天然エネルギー資源の延命に極めて効果的であった。
  • 田嶋 直樹, 今 雅夫, 西澤 克志, 渡辺 敦雄
    2002 年13 巻3 号 p. 141-150
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    アルカリ性アルコール中にpoly chlorinated biphenyls (PCBs) を溶解し紫外線で照射すると, PCBsはビフェニルに還元され, PCBs中の塩素 (Cl) は塩 (NaCl) として回収することができる。この原理を実用装置に展開するには, 現実的なパラメータ範囲を設定し, その中で効果があると推定される外部パラメータを適正な値に設定することが必要となる。本報告ではPCBs脱塩素化反応の影響因子として光強度依存性, 波長依存性, 溶液温度依存性, アルカリ濃度依存性, 水分濃度依存性, trichlorobenzens (TCBz) の添加 (KC1000に含有されている) , を取り上げた。
    TCBzをPCBsに順次添加して分解傾向を把握する試験を実施したところ, 等重量添加しても分解傾向に変化はみられずPCBsの処理基準値 (0.5ppm) 以下の分解を達成できた。また, その他のパラメータについての特性も把握することができた。
  • 野馬 幸生, 松藤 康司, 八木 美雄, 高田 光康, 宮地 和夫, 酒井 伸一
    2002 年13 巻3 号 p. 151-160
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    浸出水処理施設におけるダイオキシン類の挙動の解明を目的に, 処理工程の異なる4施設において各処理工程ごとのダイオキシン類の濃度を調べ, 処理工程ごとのダイオキシン類の除去特性および一般水質項目とダイオキシン類濃度との関係について考察した。
    原水のダイオキシン類濃度190pg/L~8, 500pg/L (2.0pg-TEQ/L~130pg-TEQ/L) に対して, 処理水の濃度は5pg/L~120pg/L (0.0067pg-TEQ/L~1.1pg-TEQ/L) となり, 96.6%~99.1% (97.1%~99.7%) の除去率であった。凝集沈殿工程での除去率が高く, SS除去に伴いダイオキシン類も除去され, SSとともにダイオキシン類も凝集沈殿汚泥中に濃縮されたものと考えられた。ダイオキシン類の代替となる指標を日常的な分析項目から探したところ, いずれの施設でも各処理工程でSSとダイオキシン類は類似した挙動を示しながら減少した。特に同一施設ではSSとダイオキシン類の間に弱い正の相関が認められた。個々の施設においてSSとの相関性を把握していくことにより, SSがダイオキシン類除去の指標となると考えられた。
  • 宮腰 和忠, 三浦 崇, 小松 俊哉, 姫野 修司, 桃井 清至
    2002 年13 巻3 号 p. 161-168
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物のガス化溶融処理では, 熱分解工程から燃焼・溶融工程までを最適に行うために, 投入する廃棄物をどの程度まで熱分解させるかが重要になってくる。
    本研究では, 実験試料に模擬ごみを仮定したRDF (廃棄物固形燃料) を用い, 一般廃棄物のガス化溶融処理における熱分解工程の処理条件の違いが, 熱分解残渣, タール, 熱分解ガスの生成に対し, どの程度影響を及ぼすのかを明らかにするとともに, 各熱分解条件で生成した熱分解残渣の熱重量分析および着火温度を測定することで, 燃焼・溶融工程での着火のしやすさを評価した。そして, 燃焼・溶融工程を通して適した熱分解条件を明らかにするために, 各熱分解条件での (1) 熱分解残渣の低位発熱量, (2) 熱分解ガスの低位発熱量, (3) 熱分解残渣の生成割合, (4) 熱分解残渣の燃料比を基に評価を行った。
    その結果, 熱分解温度450~500℃, 熱分解時間60分程度の条件が適することが明らかになった。
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