廃棄物学会論文誌
Online ISSN : 1883-163X
Print ISSN : 1883-1648
ISSN-L : 1883-1648
17 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論文
  • 中村 一夫, 池上 詢
    2006 年 17 巻 3 号 p. 193-203
    発行日: 2006/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    家庭や事業所から排出される廃食用油の主要組成と不純物の実態を調査し, 個別排出源では性状変動が大きいが, 回収・集積の過程で混合され, 定常的に均質化が図られていることを示した。また, 廃食用油の劣化状況や主要成分などの特性指標である, (1) 酸価と遊離脂肪酸, (2) ヨウ素価と飽和脂肪酸の関連性について解析した。さらに, 原料である廃食用油とその転換燃料の品質の関係について, エステル転換反応および水洗による (1) 引火点の低下および動粘度の向上, (2) 脂肪酸組成比率およびヨウ素価の維持, (3) 遊離脂肪酸および酸価, 金属類, 無機塩素の低減を確認した。また, バイオディーゼル燃料の特性とその要因について, 燃料中の残留グリセリド量 (エステル交換反応率) の違いが動粘度, 目詰まり点, 10%残留炭素に影響を与えていることがわかった。バイオディーゼル燃料化事業推進のため, 廃食用油の受入基準を, 酸価, ヨウ素価, 飽和脂肪酸組成, 水分・夾雑物について定めた。
  • 橋本 征二, 森口 祐一, 田崎 智宏, 柳下 正治
    2006 年 17 巻 3 号 p. 204-218
    発行日: 2006/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    循環型社会に類似する言葉やその英訳などをレビューすることで循環型社会のイメージの幅について予備的な検討を行うとともに, 既存の循環型社会像の違いを3つの視点から比較分析し, 持続可能な発展の概念との関係を整理することなどを試みた。結論は以下のとおりである。1) 循環という言葉には, 経済社会における物質循環や自然の循環のほか, 環境と経済の好循環, 関係性や命の循環などの意味が込められている場合がある。2) 循環型社会の目的としてあげられているものには, 環境保全や環境への負荷の低減と, 天然資源の消費の抑制の大きく2つがある。3) 循環という言葉に込められた意味や, 循環型社会の目的, 目的を達成するための対策分野から考察すると, 既存の循環型社会像は少しずつ異なっている。循環の意味や循環型社会の目的は, 持続可能な発展の概念とも深い関係があり, 対策分野や対策内容に影響を与えることから, 循環型社会について議論するとき, その「循環」の意味するところやその社会の目的を明確にする必要がある。
  • 室 喜子, 森澤 眞輔, 梶原 洋和, 米田 稔
    2006 年 17 巻 3 号 p. 219-229
    発行日: 2006/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物処理システムは, 発生する廃棄物量を適正に処理するために運用されている。廃棄物中には微量ではあるものの種々の有害物質が含まれており, システムを構成するプロセスの各々において付随的にその形態や存在量・濃度を変化させている。本研究では, まず一般廃棄物処理システム内での廃棄物構成元素の動態を包括的に評価する数学モデルを構築した。次いで, 廃棄物の組成別元素組成ならびに焼却灰中元素組成を蛍光X線分析法および中性子放射化分析法により分析した。構築したモデルを京都市一般廃棄物処理システムに適用し, 焼却灰中の元素濃度実測値に照らしてモデルの妥当性を検証するとともに, 廃棄物中に含まれる元素の処理システム内フローとストックを解析した。
  • 北口 かおり, 清水 康利, 豊貞 佳奈子, 坂上 恭助
    2006 年 17 巻 3 号 p. 230-242
    発行日: 2006/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大都市圏の集合住宅を中心として, 専用の排水処理装置と組み合わせたディスポーザシステムが急速に普及しており, 地方都市では, ディスポーザ排水を直接下水道等の既存社会基盤施設で処理するディスポーザ単体設置についても導入検討が始まるなど, ディスポーザの社会認知が確立されつつある。本研究では, ディスポーザ普及時の経済効果について, 都市規模やディスポーザの導入形態の違いによる差異を考察した。その結果, 行政コストの最小性およびユーザーコストの許容性から, 大都市部では集合住宅用ディスポーザシステムの導入が優位であり, 自治体による普及助成によってさらに許容度が高くなると推察された。一方, 小都市部ではディスポーザ単体の導入が優位であるが, 下水道事業者に係るコストの増額分の負担制度構築や, 適正普及を監視・規制する公的仕組みの構築が必要不可欠である。
  • 川喜田 英孝, 井上 勝利, 大渡 啓介, 板山 恭子, パラジューリ ドゥルガ
    2006 年 17 巻 3 号 p. 243-249
    発行日: 2006/05/31
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    新聞紙の古紙に1級アミノ基を化学修飾により固定化することにより, 金属イオンの吸着剤に調製した。元素分析の結果より, このゲルは4.1mol/kgもの高い割合の官能基を有することがわかった。所定のpH領域からの銅 (II) やクロム (VIおよびIII) 等の卑金属の吸着, および塩酸からの金 (III) , パラジウム (II) および白金 (IV) のような貴金属の吸着を調べ, 市販の弱塩基性陰イオン交換樹脂のそれと比較した。pH領域からの卑金属の吸着の選択性の順序は銅 (II) >クロム (VI) >鉄 (III) ≫亜鉛 (II) >クロム (III) の順であった。一方, 塩酸中からは, 金 (III) , 白金 (IV) およびパラジウム (II) は全塩酸濃度範囲において定量的に吸着されたのに対して, 鉄 (III) や亜鉛 (II) は全く吸着されなかった。このゲルの貴金属に対する選択性は陰イオン交換樹脂のそれよりも高いことが明らかとなった。パラジウム (II) , 白金 (IV) および銅 (II) に対する飽和吸着量はそれぞれ1.6, 1.1および0.48mol/kgであった。
feedback
Top