近年のごみ問題の深刻化によって, 単に「発生したごみをいかに処理するか」ということだけではなく, ごみの排出源, 種類, 発生量に応じて適切な方策をとることが求められるようになった。ところが, そのための基礎データが不足している。
本論文では, 家庭に由来するごみ量に注目し, 現在の廃棄物統計が, 収集・処理形態別の集計が主で, 適正なごみ処理のために必要な家庭系と事業系の区別を念頭に置いていないことを指摘した。ごみ量原単位に関する既往の研究の多くは, このデータを基になされており, そのことが一般的知見を得るに至っていない原因である。発生源の違い, ごみの内容を区別した統計データの集計は, 現在の自治体におけるデータ集計方法からすれば無理なく行え, そうしたデータの整備により都市ごみ管理に有用な情報が得られる可能性がある。以上のような, ごみデータの収集・解釈を行うには, ごみを表わす用語およびその定義を統一し, 「ごみの流れ」を共通概念とすることが必要である。
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