廃棄物学会論文誌
Online ISSN : 1883-163X
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ISSN-L : 1883-1648
4 巻, 1 号
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論文
  • 保坂 正人, 鈴木 次郎, 宮田 真理
    1993 年4 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    触媒燃焼を応用した小型廃棄物焼却装置に関する研究を行った。
    廃棄物処理は現代社会において, ますます大きな社会問題になっている。とくに医療廃棄物による感染の問題解決が強く要望されている。そこで筆者らはこの問題を解決するために, 廃棄物を発生場所で迅速に処理することにより解決できると考え, 廃棄物を衛生的に処理する小型焼却装置に関する研究を行った。廃棄物の熱分解が進んでいく過程で, 分解ガス濃度が広範囲な値となるために, 燃焼方式としては触媒燃焼と火炎燃焼の併用が適していることがわかった。触媒の活性温度と試料の熱分解温度がほぼ一致しており, 試料の熱分解により発生した物質が気相状態を維持することが, 触媒反応そのものを支配することがわかった。本装置により厨芥1kgの焼却実験を行ったところ, 排ガス中に含まれる有害成分は微量であり, 非常に良好な燃焼特性が得られた。
  • 松藤 敏彦, 田中 信寿
    1993 年4 巻1 号 p. 10-18
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    近年のごみ問題の深刻化によって, 単に「発生したごみをいかに処理するか」ということだけではなく, ごみの排出源, 種類, 発生量に応じて適切な方策をとることが求められるようになった。ところが, そのための基礎データが不足している。
    本論文では, 家庭に由来するごみ量に注目し, 現在の廃棄物統計が, 収集・処理形態別の集計が主で, 適正なごみ処理のために必要な家庭系と事業系の区別を念頭に置いていないことを指摘した。ごみ量原単位に関する既往の研究の多くは, このデータを基になされており, そのことが一般的知見を得るに至っていない原因である。発生源の違い, ごみの内容を区別した統計データの集計は, 現在の自治体におけるデータ集計方法からすれば無理なく行え, そうしたデータの整備により都市ごみ管理に有用な情報が得られる可能性がある。以上のような, ごみデータの収集・解釈を行うには, ごみを表わす用語およびその定義を統一し, 「ごみの流れ」を共通概念とすることが必要である。
  • ―紙資源の流動を評価する数学モデルの構築―
    森澤 眞輔, 関口 隆司, 井上 頼輝
    1993 年4 巻1 号 p. 19-28
    発行日: 1993/01/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    近年の紙消費量増加に伴う紙廃棄物の増加が一般廃棄物処理システムを圧迫している。本報では, わが国における紙資源の輸出入・生産・消費・回収再利用・廃棄の諸プロセスを構成要素とした, 紙資源の流動を記述する物質収支型数学モデルを構築し, 過去10年間のわが国における紙資源の流動実績に照らしてモデルの有用性を検討すると共に, 決定したパラメータ値を介して, 紙資源流動の特性を分析した。
    得られた主要な結論は以下の通りである。
    (1) 構築した数学モデルは, 紙資源の種類ごとにそのライフサイクルを評価できる構造を有している。
    (2) 過去の紙資源流動を説明できるように設定したパラメータ値等から, 最近の古紙回収率の低迷, その打開策としての, 事業系消費部門からの上級印刷・情報用紙の回収促進の効果等, 一般的に指摘される紙資源流動特性を, その構造をも含めて量的に確認した。
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