廃棄物学会論文誌
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ISSN-L : 1883-1648
5 巻, 3 号
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論文
  • 高見澤 一裕, 社本 博司, 堀津 浩章, 河合 啓一, 鈴木 徹, 森 智子, 福永 勲, 飯田 博
    1994 年5 巻3 号 p. 89-97
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    廃棄物埋立地における硫酸還元菌の役割を明らかにするため, 浸出水中の硫酸還元菌の分布調査と硫酸還元菌による各種重金属の不溶化実験を行った。調査場所として海面廃棄物処分場を選び, 内水面およびポーリング孔内水の硫酸還元菌数を測定したところ, 硫酸還元菌は地点, 水温や季節を問わず普遍的に存在することが示された。硫酸還元菌を集積培養して合成培地を用いた重金属の不溶化実験を行ったところ, カドミウムと銅は24時間で, 鉄と亜鉛は48時間で不溶化したが, クロムは48時間後でも16.1%しか不溶化しなかった。カドミウムを用いた不溶化実験で生成された沈澱物をSEMおよびEDXで解析すると, 硫化カドミウムであることが証明できた。これらから, 硫酸還元菌は廃棄物埋立地における重金属の不溶化に関与していることが示唆された。
  • 谷川 昇, 武本 敏男, 今井 俊多, 浦野 紘平
    1994 年5 巻3 号 p. 98-107
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却施設において, 排ガス中のアンモニア自動計測器 (NH3自動計測器) の測定値とインドフェノール吸光光度法によるNH3濃度の測定値 (化学分析値) を比較したところ差がみられたので, 差の原因について詳細に検討した。
    触媒変換方式のNH3自動計測器の測定値と化学分析値に差がみられた原因は, 排ガス中のNOx, NH3およびCO2濃度に変動があることが考えられた。イオン電極方式のNH3自動計測器の測定値と化学分析値に差がみられた原因は, NH3自動計測器においては排ガスの吸引流量と吸収液流量が変動すること, 排ガス中のH2Oの凝縮により吸収液量が増加することが考えられた。紫外線吸収方式のNH3自動計測器の測定値と化学分析値に差がみられた原因は, NH3自動計測器の測定値はNOとSO2による影響を受けることが考えられた。これらをもとに各NH3自動計測器の精度を向上させるための方法を提案するとともに, 各NH3自動計測器の応答性や維持管理上の注意事項を明らかにした。
  • 安田 憲二, 高橋 通正, 吉野 秀吉
    1994 年5 巻3 号 p. 108-117
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    家庭から排出される粗大ごみ・不燃ごみは, 分別収集されたのちに粗大ごみ処理施設に運ばれ, 破砕施設により破砕, 圧縮処理がなされている。しかし粗大ごみには有害物質を含むものもあるため, これらが破砕, 圧縮処理される過程で有害物質が排出される可能性がある。
    そこで, 有害物質の排出を抑制し, 処理施設を適正に管理する方法を検討するため, 排出される粉じんおよびガス中の有害物質の挙動を調査検討した。その結果, 以下の事柄が判明した。
    (1) 粗大ごみ施設から排出されるHgは, 大部分がガス状であった。
    (2) Hg排出の主原因は, 処理施設で破砕される蛍光管であると考えられる。
    (3) 乾電池類の混入率が増加すると, 排出される粉じん中のMn, Zn濃度がより高くなった。
  • 福井 博, 淡路 宣男, 伊東 富晴
    1994 年5 巻3 号 p. 118-125
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    埋立地から排出される浸出水の有機物による水質汚濁を表す指標には, BOD, COD等の総括的な指標が用いられており, 個々の物質の詳細な確認は行われていない。そこで, 混合収集ごみから流れ出る水 (ごみピット水) と, 混合収集ごみを焼却等の中間処理をすることなく廃棄した埋立地の浸出水に含まれている有機化合物の成分を明らかにする手がかりとして, 脂肪酸, アミノ酸等数種の有機化合物の存在について検討を行った。
    その結果, ごみピット水にはアミノ酸等の動植物に含まれる成分が確認されたものの, 埋立地から排出される浸出水中にはほとんど認められず, このような物質は埋立地の内部で分解されていることが示唆された。そこで, 浸出水中の不明な成分に着目し, GC/MSを用いて検索を行い, 得られたマススペクトルの検討から, フタル酸エステル類のDEHP, DBPの存在を確認した。
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