廃棄物学会論文誌
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7 巻, 3 号
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論文
  • 竹内 友規, 高橋 敬雄, 守田 康彦, 金 鍾国
    1996 年7 巻3 号 p. 113-122
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    新潟県長岡市宮本町にある安定型産廃処分場 (計画処分量157万m3) の排出水水質19指標と底質重金属7種の調査を92年7月~93年11月に行った。その結果, 排出水はBODが環境基準健康項目類型Eを越え, 全窒素など5項目で農業用水水質基準を越えた。同定された揮発性有機塩素化合物量はTOXの1%に満たず, TOX成分の大半は不揮発性と考えられた。生分解度は, 試験開始時のCOD (Cr) の約3割に留まった。排出水のマイクロトックス毒性は, 無濃縮の試料では認められなかったが, pH2に調整後, 1, 000倍濃縮した試料で顕著に認められた。変異原性は, 試料をpH2に調整後濃縮し, 菌株TA100, S9mix添加の場合にのみ検出された。底質の重金属量は対照値より高かったが, Mn等は経時的に増加傾向を示し, Cr等は減少傾向を示した。調査期間を通じ, 排出水の濃度, 負荷量ともに漸減の傾向にあった。
  • 原田 吉明, 山崎 健一
    1996 年7 巻3 号 p. 123-132
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本論文は, 新規な下水汚泥の処理技術として触媒湿式酸化法の適用性について検討したものである。研究結果の概要は以下の通りである。 (1) 焼却処理等での脱水, 乾燥工程を必要とせず, 濃縮汚泥を直接液相下で処理できる。 (2) 280℃, 9.12MPa, 1.5時間での反応条件により, 汚泥中の有機物, 窒素化合物をほぼ完全に処理できる。 (3) 汚泥は可溶化後低分子化され, カルボン酸類やアルデヒド類を経由して炭酸ガス, 水となる。 (4) 反応初期pH, 送入空気比の変化による有機物, 窒素化合物の処理性に及ぼす影響は小さい。 (5) 汚泥種の違いによる各成分の処理性に大きな差は認められない。 (6) 熱収支試算結果より, 汚泥中の有機物, 窒素化合物の分解による反応熱の約70%程度をエネルギー回収できる見通しを得た。 (7) 汚泥処理の課題としては, 長期連続実験に基く, 金属酸化物の反応系内への一部沈積に対する薬剤洗浄頻度の確認と, 触媒の耐久性評価が必要と考えられる。
  • 王 家兵, 常深 武志, 藤井 岳, 市川 宗春
    1996 年7 巻3 号 p. 133-141
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では, コークス充填層型汚泥溶融炉の効率を向上させるため開発された粉末汚泥溶融プロセスにおけるコークス消費量を推定できるニューラルネットワークモデルを構築し, 溶融炉の安定かっ自動操業への適用を試みた。さまざまな操作条件および測定データをもとに, ネットワークを学習させ, ネットワークパラメータ, たとえばネットワークの層数, 中間層のユニット数, 結合係数, および学習回数などを決定した。複雑な炉内現象を解析できる3次元数学モデルの構築に要する時間に比べてニューラルネットワークモデルの学習・解析にかかる時間はきわめて短く, 簡易かつ迅速に結果が得られる。また, 本研究では開発したネットワークモデルの認識能力を評価するため, ネットワークモデルによる結果は数学的モデルの結果および実際の測定結果とを対比した。その結果, ニューラルネットワークモデルは, 比較的正確にコークスの消費量を予測できるので, 操業条件および各センサーから得られた情報をもとに, 実炉のコークス消費量の推定および供給の自動制御に適用できることがわかった。さらに, 開発したネットワークモデルを用いて炉の溶融効率に強く影響を及ぼす操業条件についても検討した。
  • 細田 英雄, 下川 勝義, 高橋 芳恵, 吉田 豊, 恒川 昌美, 平間 利昌
    1996 年7 巻3 号 p. 142-151
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    北海道を中心に大量に廃棄されるホタテ貝殻は, 投棄場所の確保と臭気対策の問題が次第に顕在化している。カルシウム資源の一つとしての用途拡大は, これらの問題の解決と資源の有効利用の両面からもっとも望ましい方策である。
    本研究ではホタテ貝殻を生石灰として, あるいはそれを再炭酸化しての工業的利用の可能性を探るために, 灯油を燃料とした内熱式の流動層による連続焼成実験を行い焼成条件および装置特性について検討した。原料貝殻を3mm以下に予備粉砕することにより良好な流動化状態が維持でき, 流動層底部から連続的に抜き出した焼成品は温度850℃, 平均滞留時間が80分以上で99%以上の高い焼成率が得られた。焼成品 (生石灰) の反応性と亜硫酸ガスの吸収特性を石灰石の焼成品と比較した結果, ホタテ貝殻からの生石灰は比表面積が小さい一方で細孔径が大きいため, 脱硫反応に対して優れた特性を示すことがわかった。
  • 川本 克也
    1996 年7 巻3 号 p. 152-160
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    超臨界流体抽出法による廃棄物中有害物質の最適な抽出方法の確立を目的として, 主として模擬廃棄物試料中のクロロベンゼン類を対象に抽出効率と操作条件との関連を実験的に検討した。模擬廃棄物試料では, 流体に二酸化炭素を用い, 流速を1ml/minとして, 30分間抽出を行えば抽出はほぼ完了した。一定温度の下で流体の密度を決定する圧力が, 抽出効率に対して大きな影響因子となった。ただし, 臨界点近傍より高圧側で抽出効率は増大するものの, 単純に圧力の増加には依存しない。温度の影響は圧力ほど大きくはないが観察され, 低沸点で熱的に安定な化合物に対しては, 揮発効果による抽出効率の向上が期待できる。極性溶媒をモディファイヤーとして添加すると, 極性化合物の抽出に対して効果の現われる場合がある。実際の飛灰試料からのクロロベンゼン類の超臨界流体抽出は, 溶媒抽出法に比較してまだ不十分であり, 抽出効率を向上させる条件の探索が今後の課題である。
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