廃棄物学会研究発表会講演論文集
第18回廃棄物学会研究発表会
選択された号の論文の365件中1~50を表示しています
平成18年度廃棄物学会賞受賞者記念講演
  • 稲葉 陸太, 橋本 征二, 森口 祐一
    p. 1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    廃棄物管理施策の選択にあたっては,資源消費量および環境負荷量を定量的に比較評価することが求められており,プラスチック製容器包装の管理も例外ではない。インベントリ(LCI)分析結果に影響する要因の一つとして,システム境界の設定がある。特に,既存産業のプロセスを利用したリサイクルに関しては,既存産業側のプロセスを省略したシステム境界を設定した事例があるが,その妥当性は明確でない。 そこで本研究では,プラスチック製容器包装のごみ焼却発電,および鉄鋼産業におけるリサイクルを含む事例について,製鉄所内のプロセスを省略あるいは包含するようなシステム境界を設定し,各々のシステム境界に基づいたLCI分析を実施した。その結果,システム境界の設定によって事例間の相対的評価に明確な相違がみられ,リサイクルに関与する既存産業プロセスを包含した適切なシステム境界の設定が必要であることが示された。
  • 田崎 智宏
    p. 2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    この10年の循環型社会形成・3Rに係る世の中の動きには目を見張るものがある。本稿では、3Rのなかでも特に大きな変化があったリサイクルをとりあげ、その促進方策に関して実施してきた著者の2つの研究を紹介するとともに、今後の展望を述べた。一つは、再生品の環境安全性管理制度の比較研究であり、国内外の再生品に係る環境安全性管理制度の比較を行い、8つの制度設計上の論点を抽出した。もう一つは、リサイクル法の実態評価である。これまでの政策評価の問題点ならびに制度見直しに向けた評価の目的をふまえ、問題指摘着目型の実態評価の枠組みを考案し、家電リサイクル法の実態評価を行った。物質フロー、金銭フロー、行動変化、法制度対象外の事象の4点に着目した結果からは、家電リサイクル法見直しに向けた様々な情報を得ることができた。
  • 山川 肇
    p. 3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    本稿では、有料化のごみ減量効果とリバウンド、不法投棄の増加と抑制対策、費用負担の歴史的経緯と今後のあり方について、筆者のこれまでの研究成果を振り返りつつ、今後の研究課題を簡単に展望した。  減量効果については、有料化後10年以上経過している自治体においても、平均的に見ると持続していると考えられた。  不法投棄対策については、「有料化の手引き」にも対応例が示されたが、まだ十分とは言えない。家電リサイクル法後は、不法投棄のデータも充実してきており、また対策費用の課題も出ている。今後さらなる研究の進展が期待される。  費用負担については、汚物掃除法制定後は、租税負担が基本であったと考えられた。よってその根拠を現代的視点から問い直す必要があると考えられた。またこのような制度史研究は、循環型社会形成に向けて大きく転換しようとしている今こそ、求められているのではないかと考えられた。
A1 住民参加・意識(1)
  • 大沼 進, 角田 芳忠, 松藤 敏彦, 加賀谷 文江
    セッションID: A1-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    人びとの日常生活におけるライフスタイルを把握し,ライフスタイル別環境配慮行動の促進に向けた基礎資料を提供するために,無作為抽出による標本調査を行った。訪問回収により68.4%の有効回答を得た。分析では,まず,弁当や総菜の購入量やラーメンの消費量などを元に消費・購買行動の指標を作成した。この指標に基づきクラスター分析により人びとを類型化した。その結果,5つのクラスターに分類することが妥当と判断され,それぞれ,模範的行動型,割切型,家事手抜き型,うっかり型,プラスチック依存型と命名された。この5タイプの人びとについて,リサイクル時の配慮行動や負担感などの認知を比較したところ,プラスチック依存型のみが低い得点であったが,模範的行動型と他の3つ型の間には顕著な差異は見られなかった。3R促進に向けたタイプ別のアプローチ方略が議論された。
  • 中村 太郎, 永田 勝也, 永井 祐二, 小野田 弘士, 寺島 信義, 吉田 徳久, 金子 正, 福岡 亮美, 松岡 俊和, 重岡 典彰, ...
    セッションID: A1-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    環境問題の深刻化に伴い,持続可能な社会の構築が急がれている.都市の持続可能性という観点では,環境分野のみならず,地域の社会・経済の発展という側面からのアプローチが求められる.これを両立し,実行するための方策のひとつとして,われわれは地域環境通貨を提唱してきた.  本稿では,北九州市で行われている北九州市民環境パスポート事業(以下,環境パスポート)での実証実験をもとに,ポイントの交換履歴を追跡するシステムと市民活動の情報収集および開示を推進する手段として,カンパスサイトの開発について取り上げる.また,市民の環境に対する取り組みの集合体として,都市全体の環境負荷を算出し,環境負荷の変動の要因や削減方法について考察した.
  • 大前 慶和
    セッションID: A1-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    環境教育は,今日的には,持続可能な開発のための教育として展開されることが重要である。本研究では,先ほど開発を終えたダンボールコンポスターを活用した環境教育教材『にじいろタウン』を紹介する。webや印刷媒体を組み合わせた教材になっており,子供達が楽しみながら学習できるように作られたものである。
  • 竹野 大志, 堀田 和彦, 武政 剛弘
    セッションID: P1-A1-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    長崎県諫早市飯盛町では,既存の堆肥センターを活用した生ごみの分別収集・混合堆肥化実証試験を行っている。本研究では,アンケート調査によって参加状況,今後の参加意向,参加理由,参加報酬の必要性を調査した。また,同時に分別収集を実施していない近隣の自治会でも同様に環境全般への関心と環境問題への動機を調査し,生ごみの分別収集の経験の有無や環境問題への関心や問題解決への動機が,生ごみ分別収集への参加意識水準や参加のための報酬水準に与える影響を検討した。調査結果は,CHAID分析(chi-squared automatic interaction detector・決定木分析)を行った。調査の結果,分別収集の参加意識には,生ごみ分別収集の経験が大きな影響を与えるが,参加のための報償水準については経験より,個人の環境問題への動機や関心の方が大きな規定要因であることが示された。
  • 篠木 幹子, 海野 道郎, 阿部 晃士
    セッションID: A1-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    住民のごみ分別行動を抑制する要因の一つとしてコストの問題があげられる。本研究では、特徴の異なるごみ分別制度において、住民がどの程度コストを感じているのか、コストの感じ方は、当該制度のもとで分別を続けることによって変化するのか、などについて実証的に検討する。分析の結果から、(1)分別数が多いと個人の分別時のコスト感が高くなるが、分別数の多い都市ほど分別行動が行われている、(2)分別開始当初からコスト感が低くなければ分別が行われない場合と、分別開始当初はコスト感が高くても次第にコスト感が小さくなり、分別行動を行う場合があり、分別制度の特徴によってその傾向は異なる、(3)はじめはコスト感が高くても、現在コスト感が小さい場合、認知的不協和が低減されている可能性があることが明らかになった。
  • 稲村 光郎
    セッションID: A1-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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     戦時下(1937-1945)における資源回収は、国の主導により、主として日中戦争時には貿易収支上に生じた不足物資の補填策として、太平洋戦争開始以後は軍需産業への金属集中のために行われた。全体としては半強制的な雰囲気下で行われているが、43年に実施された非常回収は「国家総動員法」に基づいた強制的な企業整備と一体的になされたもので、非軍需工場を土地・建物・人員ぐるみ軍需産業へ転用し、設備を金属回収するというものであった。その結果、主対象とされた繊維工業全体では鉄量換算で約百万トンあった設備のうち、約七十万トンがスクラップ化されたと推定されている。他方、一般家庭では金属類に加え、木炭空俵や酒びんなどの引換え回収、さらには末期には生活必需品の不足をもたらすほどのアルミ回収が行われたが、その実施には町内会・隣組が国家組織の末端として再編成、育成され利用された。これらの結果、戦時中の鉄くず回収量は戦前のそれに比べてても高い水準であった。また戦後、町内会の復活とともに古紙回収率が世界レベルまで高まった要因として、一般家庭のこの体験を通じた学習効果が考えられる。
  • 川原 誉史, 小沢 亙
    セッションID: P2-A1-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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     循環型社会構築へ向けてごみの減量や資源の循環的利用が進められる中,住民による資源集団回収が大きな役割を果たしている。本研究では,この資源集団回収に着目し,山形県酒田市を事例とし,アンケート調査を行い,現状と課題および,効果を明らかにした。その結果,現状は回収対象品目であるにも関わらず回収されていない資源があり,また課題として資源集団回収の方法や情報不足,効果は地域の繋がりをつくりながら,ごみの減量を図ることができるということが明らかになった。 以上の結果から,資源集団回収における今後の政策展開として,「説明会の開催や手引きの作成による情報提供」,「報奨金制度の活用による対象品目の拡大や単価増」,「削減費用を住民や回収団体に還元」が必要であると考えられる。これによりごみの減量化と地域活動の活性化を併せた,ごみの減量化政策ができると考える。
A2 住民参加・意識(2)
  • 松井 康弘, 武内 千英, 田中 勝, 宇野 雄二郎, 松田 信也
    セッションID: P1-A2-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    循環型社会構築に向け、市民のリサイクル行動の促進は重要な課題であり、従来の使い捨て型ライフスタイルからリサイクル行動への変容を効果的に促すことが必要である。従来の研究1)において、リサイクル行動については「情報認知(資源収集日・排出場所を知っている)」、「負担感(リサイクルに参加するのが面倒である)」、環境意識等が関連することが示唆されていることから、これらの知見を元に市民に対する啓発・広報を実施することで、その行動変容を促進できるものと期待される。本研究では、津山市在住の住民を対象として試験的に資源分別回収に関する情報提供を実施し、情報提供実施前後2回のアンケートを実施してその行動・情報認知・意識の実態・変化を把握したので、結果を報告する。
  • 伊藝 直哉, 秋山 貴, 大迫 政浩, 阿部 直也
    セッションID: P2-A2-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    一般廃棄物処理事業は、限られた資源の中で適正かつ適切な処理を実現するとともに、施策・事業を受ける住民による、施策・事業に対する重要度(ニーズ)や満足度にも配慮することが重要である。そこで、本研究では住民アンケートを実施し、その結果に基づき、地域特性、施策実施状況、住民属性の違いなどによる、一般廃棄物処理事業に対する住民満足度の形成への影響について分析し、住民満足度のモニタリングに関する手法の構築を検討することを目的とする。住民による施策・事業に対する重要度・満足度は、施策・事業のレベルが異なる都市類型によって異なっている。住民満足度は、都市規模や施策・事業の実施状況、あるいは多様な住民属性に応じた調査手法の設計が必要である。
  • 楠部 孝誠, 佐藤 真行, 植田 和弘, 高月 紘, 新山 陽子
    セッションID: A2-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    本研究では農産物の認証ラベルへの関心を喚起する目的の情報提供を消費者に行い,その意識変化をアンケート調査で観察し,情報提供の役割について検討した。 調査は,コンジョイント分析のための質問を2度行い,1回目と2回目の調査の間に計4回,専門家による科学データや関連する諸問題の情報を提供し,被験者の農産物,環境,ゴミ問題などへの関心を高めた。同時に,毎回アンケートをとり,被験者の問題認識の変化を観察した 分析の結果,情報提供により,ラベルの評価が低下した。中立的な立場での客観的データの提示は,すぐに環境に配慮した農産物の購入を促すには至らなかったが,情報コミュニケーションによって,消費者がラベル情報の意味を理解し,漠然とした環境意識から知識に基づく選択を行ったと考えられる。また,関連する情報提供により,生ごみ問題,農産物と環境問題等の問題群への関心の高まりが観察できた。
  • 秋山 貴, 伊藝 直哉, 大迫 政浩, 阿部 直也
    セッションID: A2-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     ベンチマーキング手法を一般廃棄物処理事業のマネジメントツールとして位置付けるにあたり、新公共経営(NPM)の概念に基づき、廃棄物処理サービスの受け手である住民の視点から一般廃棄物処理事業を構成する評価軸を整理した。その結果、有効性(環境保全性、利便性など)、効率性(経済効率)、公平性(排出者負担など)、公正性(情報透明化、弱者配慮など)の4軸が抽出された。本稿では、それらの軸が、住民からみた評価の判断軸として適当かどうかを確認し、施策の違いにより評価軸の影響の大きさが異なるかどうかを検討するため、「ごみ処理に関する住民アンケート調査」を実施した。  その結果、今回のアンケート調査で取り上げた廃棄物事業(施策)については、(1)有効性、効率性、公平性、公正性の4軸が住民からみた評価の判断軸として妥当であること、(2)廃棄物施策ごとに住民が重視する評価軸が異なることが示唆された。
  • 大橋 平, 渡辺 敦雄
    セッションID: A2-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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     教育の効果と環境行動の相関性を把握することを目的として、第1段階としてアンケートにより環境知識と環境行動の相関性の調査を沼津市民を対象として実施した。  本研究により、一般廃棄物処理の知識と環境行動の相関性が把握され、市民への教育効果が市民の一人当たりのごみ削減に結びつく可能性が高く示唆された。
  • 山成 素子, 磐田 朋子, 島田 荘平
    セッションID: A2-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    近年の循環型社会においては、一般廃棄物排出後の処理システムによる円滑な廃棄物処理が求められている。処理施設建設にあたっては、処理効率や環境に対する影響だけでなく、いわゆる迷惑施設に対する住民感情についても十分に配慮し、行政と住民との意思疎通を円滑に行い、建設計画を進めていく必要がある。行政と住民とが協力して地域性を考慮した処理施設を設置することで、環境問題解決に繋がるだけでなく、両者の協力体制も強めることができる。本研究では、処理施設建設に対する住民の意識を分析し、定量的に評価を行った。
  • 長谷川 善一, 一伊達 稔, 日比野 至, 鈴木 良平, 加藤 誠二
    セッションID: P1-A2-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    陶磁器の使用済み廃食器は通常埋立てごみとして処分される。美濃焼の生産地であると同時に名古屋市のベッドタウンでもある岐阜県多治見市で実施した陶磁器食器リサイクルに対する住民意識調査(アンケート方式、n=596)では92%が「陶磁器食器はリサイクルに適す」と回答し、74%が「実施すれば回収協力する」という結果を得た。本報告では、この調査結果を基に、回答者の居住地域別(旧市街地域、里山地域、陶磁器生産地域、住宅団地地域)にその住民意識を分析し、陶磁器食器のリサイクル実現への対応の検討を行った。その結果、居住地毎における特別な差異は認められず、陶磁器リサイクルが実施されれば廃食器回収や分別に協力するという明確な姿勢が示された。現在多治見市が行う家庭ごみの23区分資源回収システムに1区分を追加する仕組みの改正によって、市全域で陶磁器食器リサイクルの実現が可能であることが示された。
  • 長谷川 善一, 一伊達 稔, 日比野 至, 鈴木 良平, 加藤 誠二
    セッションID: A2-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     陶磁器の使用済み廃食器は通常不燃ごみとして埋立て処分されるのが一般的である。その量は推定15万トン/年であり、埋立地の逼迫や良質な陶磁器原料の枯渇化を背景に、廃食器の有効活用が消費地及び生産地の双方において課題となっている。そのため廃食器の再資源化技術とシステム構築に美濃焼業界が取り組み、一部の使用者との間でリサイクル・ネットワークを形成するが、未だに市民のリサイクル対象としての認識は極めて低いのが現状である。本報告では、陶磁器食器のリサイクルについて、生産地であり且つ名古屋市のベッドタウンとして機能する多治見市の市民意識をアンケート調査(n=596)し、そのリサイクル実現を検討した。結果、91.9%の市民が「陶磁器食器はリサイクルに適す」と考え、廃食器の回収協力並びに再生食器の消費活用について受け入れる素地を有することが判明し、陶磁器食器のリサイクルシステム構築が可能であることが推察された。
  • 岩村 満, 矢澤 一樹
    セッションID: A2-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    平成16年11月に青森・岩手県境産廃の不法投棄に関して田子町民にアンケート調査を実施して以降、情報公開がかなり進展したことをが判る。そこで、平成18年10月19日から21日にかけて、町民の意識の変化を見てみるために、田子町民に聞き取り調査を実施した。この聞き取り調査から、自治体と住民との間の双方向での情報のやり取りという視点から見るとき、そこにはまだ幾つかの課題があること、しかし、その解決の道筋をつけるための方図があることが判った。また、町民は自然の地勢から跡地に自然林を育成することを望んでいることも判明した。更に、聞き取り調査から平成24年までの全量撤去を疑問視する声も聞かれた。
  • 長尾 由加利, 古市 徹, 石井 一英, 谷川 昇
    セッションID: A2-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    近年、不法投棄が多発する中、不法投棄現場やその周辺においては、原状回復のみならず、それに連動する跡地利用計画を検討することが重要である。そこで本研究では、原状回復後の現場の跡地利用計画に対する地域住民のニーズを把握するための手法を提案するとともに、その手法を、現在大きな社会問題となっている青森・岩手県境不法投棄問題に適用した例を示した。 その結果、当該事例においては、半数の人が自然を取り戻すことにニーズを感じ、また7割以上の人が、付加価値として地元産業またはコミュニティーに関連する跡地利用計画にニーズを感じていることが分かった。さらに、上記の付加価値を構成する要因をいくつか設定し、コンジョイント分析を用いて、それら要因に対する評価ウエイトを求めた。評価ウエイトに基づく限界評価額の考察からは、「公園の中に老人ホームと運動施設がある」という要因への評価が高いことが明らかとなった。
A3 ごみ発生・性状/物質フロー解析
  • 水谷 聡, 前田 親良, 貫上 佳則
    セッションID: A3-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    大阪市の建物構造データと床面積データに,床面積当たりの建物量の原単位を乗じ,GISソフトを用いて,大阪市における建物ストック量を推定した。大阪市全体の建物ストック量は約2億3千万tと推定された。また各行政区の面積当たりの建物ストック量(建物ストック密度)は,0.6 t/m2~4.1 t/m2であり,大阪市全体では,1.0 t/m2であった。行政区ごとに人口とストック量を比較した結果,ストック量は夜間人口(常住人口)ではなく,昼間人口と夜間人口の多い方の値(最大活動時人口)に比例すると思われた。大阪市のストック量を北九州市と比較すると,人口当たりのストック量はそれほど大きな違いはなかったが,面積当たりのストック量は大阪市が非常に大きく,大阪市が建物ストック密度の高い都市であることが示された。
  • 井上 武夫, 大久保 伸, 西谷 吉憲, 富田 滋, 加納 芳明, 柳 良夫, 金子 博, 川口 謹二, 石川 和利
    セッションID: A3-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    循環型社会形成推進基本法施行前後で産業系廃プラスチックの再資源化がどのように進んだかを把握するために経年追跡調査をおこなった。 1998年度実績と2004年度および2006年度実績を比較すると、再資源化率の増加と、埋立・単純焼却率の減少が確認された。
  • 茂木 敏, 高橋 昌史, 辰市 祐久, 中浦 久雄
    セッションID: P2-A3-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    廃プラスチック類のリサイクルを促進するためには、高炉原料・RPF 化などの産業用燃料や廃棄物発電燃料としての利用など、幅広いリサイクルを展開していくことが必要であり、そのためには排出元である事業所での分別の徹底が重要である。 東京都内においても、廃プラスチック類を「きれいなプラスチック」と「その他プラスチック」に分別し「きれいなプラスチック」をRPF 化する取り組みが開始されており、都内の高層オフィスビルでの廃プラスチック分別事例について廃棄物組成調査を行った結果、以下のことがわかった。 (1)「きれいなプラスチック」は、排出量としては「きれいなプラスチック」ごみよりも「その他プラスチック」ごみに多く含まれており、「きれいなプラスチック」ごみとして資源化されている量は1,154kg であり、「きれいなプラスチック」合計量6,323kg の18.2%であった。 (2)プラスチックごみの合計量(34,941 kg)に占める「きれいなプラスチック」合計量(6,323kg)の割合は18.1%であった。
  • 辰市 祐久, 高橋 昌史, 中浦 久雄
    セッションID: A3-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    東京都から排出される産業廃棄物の廃プラスチックについてアンケートによりデパート、スーパー、ショッピングセンター、専門店、事務所の排出実態を調査した。1店舗あたりではデパート、大型スーパー、ショッピングセンターの廃プラスチック量が多く、床面積あたりでは小型スーパーが多く、事務所が少なかった。運搬方法は、プラスチック類単独か、他のプラスチックと混載されているところが多かった。
  • 酒井 護, 西谷 隆司, 山本 攻
    セッションID: P1-A3-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    ごみの性状分析を行う際には、各回ごとのデータのばらつきに関連する問題が付随する。大阪市では現在10工場において搬入されたごみについて季節ごとに試料を採取し性状を分析している。過去4年間のこれらのデータについて(n=160)統計的に検討した結果、ばらつきの発生する要因としては、季節的な変動や経年的な変動よりも、単純に各工場に搬入されるごみの由来(家庭系/事業系の比率)の変動が大きいことに起因することが明らかとなった。また、各組成別の発熱量については、表面加工材や素材の元素組成などに夜ものが主要因であった。これらの結果より、工場新設時に必要とされる計画ごみ質の算出のためには、施策の変化に伴う組成別の発生量などの発生源の情報を組み入れる必要のあることを課題として提案した。
  • 都築 淳, 佐藤 弘泰, 味埜 俊, 小貫 元治
    セッションID: A3-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では三つの地方自治体を対象としてMFAを行い、対象地域のリンの流れを定量的に把握した。消費地では排出量に対して需要量が少ないことなどから、市場での流通を視野に入れた高付加価値の製品として回収することが必要であると考えられた。堆肥供給型の地域では、域内の畜産業から供給される堆肥を有効利用するために、耕種農家と畜産農家との連携、さらに、近隣地域との地域間連携が必要となると考えられた。堆肥需要型の地域では、域内の未利用資源の活用と、周辺地域からの堆肥原料の確保などが必要となると考えられた。 今回の研究から、地域の特徴によってリン資源の適正管理のためにとるべき対応が異なることが示された。このとこから、地域のリンフローの特徴を定量的に把握し、それに応じた資源管理戦略を構築することが、国内のリン資源の適正管理を進める上で重要であると考えられた。
  • 浅利 美鈴, 佐藤 直巳, 酒井 伸一, 山田 一男, 瀬川 道信
    セッションID: A3-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    使用済みプラスチック製手さげ袋(レジ袋)の家庭からの排出実態調査及びそこに含まれる鉛の濃度の測定を行った。色別の袋の排出割合やそこに含まれる鉛濃度を明らかにした。 また、それらの結果を用いて、家庭製品に焦点をあてた鉛の国内物質フローの解析を行い、手提げレジ袋等の寄与の把握を試みた。
  • 宮島 章, 浅利 美鈴, 平井 康宏, 酒井 伸一
    セッションID: A3-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    カドミウム(Cd)と鉛(Pb)のSFAを通じCdとPbの用途が二次電池(ニカド電池・鉛蓄電池)に集中し、これらの二次電池が物質フローにおいて大きな割合を占めており、これらの二次電池の適正な管理が環境リスクの低減の観点から不可欠と考えられた。 本研究では、今後の二次電池の循環システム構築に向けたフロー推定の為、小形二次電池を内蔵する代表的な3種の小型家電製品を対象とし、小形二次電池の廃棄行動等についてのアンケート調査を行った。 その結果、小形二次電池の取り外し行動を行う人の割合では製品による大きな違い見られなかったが、取り外し可能率は製品により異なり、製品によっては取り外しやすさを向上させる必要性があることが示唆された。また、小形二次電池の回収箱の存在の認識と取り外した後の処分方法の関係や、回収率向上の為に必要だと思うことについての回答から、適正な回収の為の啓発が必要だと考えられた。
  • 吉田 綾, 田崎 智宏, 寺園 淳
    セッションID: P1-A3-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    使用済みパソコンについて、日本における家庭用パソコンのリサイクル制度の施行前と施行後のマテリアルフローを、マテリアルフローデータにおける誤差を最小化することによって推定した。また、日本でリユース(再使用)されるパソコンと中古品として輸出されるパソコンの台数についても推定した。推計結果から、デスクトップパソコンに比べてノートパソコンの方が国内でリユースされやすいこと、2001年から2004年にかけて増加した排出台数2590千台はほとんど国内廃棄物処理ではなくリユースされており、リユース分も多くが輸出されていることが明らかになった。家庭やリース・レンタル会社から古物商へ引き取られる量が増えており、それが輸出台数増加につながっていると考えられた。
  • 寺園 淳, 吉田 綾, 森口 祐一
    セッションID: P2-A3-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    家電リサイクル法改正に向けた議論において、法の枠内で把握されていないフローは「見えないフロー」と称され、その大きさや取扱いが議論となっていた。本発表では、同法改正のためのみならず、今後の使用済み電気電子機器管理のあり方を議論するための基礎情報提供を目的として、国内における使用済み家電製品のフローを推定した。経産省・環境省による推定の課題を議論し、再計算した結果、リユース目的の海外輸出台数を460万台などと推定した。今後の課題としては、主に輸出量の把握と、中古品取扱業者等の国内取引の把握、が挙げられる。
A4 発生・排出抑制/有料化・経済的手法
  • 二又 裕文, 兼子 洋幸, 吉田 貴奈, 永田 勝也, 小野田 弘士
    セッションID: A4-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    環境負荷の低減は環境配慮設計により実現されるが、環境に配慮した製品とは3R(Reduce、Reuse、Recycle)に配慮することであり、資源の有効活用や有害物質の適正処理等がその方策として考えられる。Reuse、Recycleに着目すると、工業製品は分離/解体と破砕/選別により環境負荷低減され、そのためには易解体性の向上が求められる。そこで、解体性を定量的に評価する手法として分解性評価指数を、環境負荷を定量的に評価する手法として環境効用ポテンシャル評価手法を開発し、製品の解体性の向上と環境負荷低減の最適化を図ることを目的としている。本報では、ハイブリッド自動車用バッテリー(以下、HEVバッテリーという)を例とした評価事例を示し、その活用方法について提案する。
  • 楊 新泌, 仁木 圭三, 岡城 孝雄, 高野 輝幸, 高橋 俊夫, 阿部 清一
    セッションID: A4-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    M市にある人口15世帯65人の農業集落に試験的にディスポーザーを導入し、集落の可燃ごみの量と性状の調査を実施した。その結果、(1)ディスポーザー使用前と使用後の可燃ごみ収集量から、使用後のごみ量が35.6%減少した。(2)使用後の可燃ごみの性状は、通常の収集可燃ごみに比べて、生ごみの割合は十分の一以下に、かさ密度は約9割に、水分は約半分に、可燃分は約1.9倍に、低位発熱量は約2.4倍になった。(3)粉砕生ごみの量は季節や世帯人口、自家処理の状況などに左右され、その原単位は集落の平均では127 g/人・日(非超過確率75%値は140 g/人・日)であった。(4)ディスポーザーによるごみ減量化率は25%~39%の範囲で、平均して31%であった。
  • 村岡 陽, 中島 琢自, 竹下 哲史, 田平 泰広, 江口 博, 今川 和幸, 高良 真也, 武政 剛弘
    セッションID: A4-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では微生物を用いた油脂阻集器内含油排水の浄化システムを検討している。システム開発に必要な微生物を確保するため、環境試料を60検体採取した。油脂を含む液体基質を用い試料に含まれる微生物を培養し、ヘキサン抽出物質量を測定することで油脂分解能を評価した。その結果、試料番号N-001が油脂分解率18.6%と最も高い値を示した。この微生物群の油脂分解活性は前培養を2日間行った場合が最も高く,この培養液を固定化して現場に投入したところ,時間の経過とともに排水中に含まれるヘキサン抽出物質量が減少した。一方,微生物群の添加作業を中断したところ排水中に含まれるヘキサン抽出物質量が急激に増加することを確認した。この結果より環境微生物群N-001は油脂阻集器内の含油排水を浄化していることが確認できる。今後は生物相遷移と油脂成分変化の双方を考慮して食用油脂分解過程の解析を行う所存である。
  • 西井 和浩, 阿部 桃子, 河合 満智子, 山川 肇, 渡辺 浩平
    セッションID: P1-A4-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、ごみの発生抑制行動に注目し、ごみ有料化が行われた自治体の直前直後、有料化が行われていない自治体、一部有料化3年後の自治体といった制度特性、地域特性の異なる5つの地域で、質問紙調査を行い、個別品目の具体的な発生抑制行動の実態を明らかにすることを目的とした。また、清掃車の収集区域を単位として、施設への搬入量と発生抑制行動の多寡についても調査した。その結果、発生抑制行動には品目により地域でばらつきの見られるものとそうでないものがあること、同じ品目の中でも発生抑制行動によって同様のことがいえることが確認された。今後、これらの地域による発生抑制行動のばらつきや、原単位に見られた傾向が何に起因するものなのか詳細な分析を行っていく必要がある。
  • 松野 正太郎, 竹内 恒夫, 河本 広大
    セッションID: A4-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    大幅なごみ減量を達成した名古屋における次なる方策として、飲料容器のリユースを目指し、エコマネーを活用したリユースびんの利用促進について、その実施可能性調査及び実証実験を行い、リユースびん定着のための方向性と課題を明らかにした。実証実験の結果は、対象品目の種類、回収拠点が少なかったこと、実証実験期間が短かったこと、また、エコマネーだけでは消費者のリユースびんの返却を促すインセンティブとして不十分だったと考えられることにより、回収率は販売本数の1割に止まった。しかし、意識調査によればリユースの仕組みや理念、エコマネーの取組そのものについては積極的な見解を市民は有しているので、より負担の少ないシステムを構築できれば返却率を上げることは可能だと考えられる。また同時に、様々な事業者の努力も不可欠だが、リユースびんの使用を促す税制面での措置などの社会的なサポートが必要であることも明らかになった。
  • 渡辺 浩平
    セッションID: A4-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    従来行われてきた市町村単位のデータを用いた地域特性と排出原単位に関する分析では、様々な地域特性を持つ地区の平均を用いることになるため、あまり明確な結果が得られなかった。福岡市は小学校区単位の排出原単位データを公表している。これを用いて分析を行った。あわせて従量制有料化の効果の地域的な差についても分析した。 排出原単位に関しては世帯人員が少ない、人口あたり事業所数の多い地区で高いことが示された。この2つの特性は同時に出現することが多いため、どちらがより大きな効果を持つのかは判別できなかった。 有料化の効果には地区によって大きな差があることが示されたが、今回準備された社会経済指標からは説明できなかった。有料化がどのような条件の下で効果があるのかを明らかにするのは今後重要である。
  • 森安 洋平, 池松 達人, 平井 康宏, 酒井 伸一
    セッションID: A4-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    京都市での家庭ごみ有料化(平成18年10月)に際し、その効果を住民行動とごみ量・質について記録、分析した。その結果、有料化により住民のごみ発生抑制行動と分別リサイクル行動が促進されたことが明らかとなった。また、ごみの減量、ごみ組成の変化が観察され、それには住民行動の変化が影響していると考えられた。 一方、広瀬の「環境配慮行動の規定因モデル」を参考に、有料化前後での住民行動の変化とその心理的要因の連関モデルを構築し、パス解析を用いた検討を行った。その結果、有料化による経済的インセンティブの導入とごみ減量をすべきとの社会規範の形成・強化がごみ減量行動を高めていることがわかった。
  • 山川 肇, 船越 進吾
    セッションID: P2-A4-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     本研究では、資源ごみとしてその他プラスチック製容器包装(以下、プラごみと略す)を取り上げて、その分別・有料化がごみ排出量に及ぼす影響を分析した。地域特性を考慮して、プラごみの分別・有料化、および、可燃・不燃ごみ有料化の存在する組み合わせの影響を重回帰分析により分析したところ、いずれも導入しない自治体と比較すると、いずれかの組み合わせを導入している自治体では資源ごみの量も含めた生活系ごみ排出量の平均値は有意に少ないことが示された。しかし、Bonferroni の方法による多重比較を行ったところ、プラごみ有料化の単独の効果は有意とはならなかった。またプラごみ分別の効果は、有料化していない自治体では有意となったが、有料化している自治体では有意とはならなかった。ただし実施自治体数が増えた段階でさらに検討が必要である。
  • 島根 由華, 山田 芳幸, 上田 康裕, 井山 利秋, 山根 洋一
    セッションID: P1-A4-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    杉並区では平成19年1月15日~3月31日に_(株)_サミットストア成田東店においてレジ袋を1枚5円で販売するレジ袋有料化実証実験を行い、実証実験前の有料化認知度調査(インタビュー調査)、実証実験前後のマイバッグ等持参率調査(目視調査)と売上推移調査(POSのデータ分析)を行った。 その結果、実施店舗の有料化認知度は9割を超え、マイバッグ等持参率は有料化前後で43%から85%に上昇、1人当たり平均レジ袋使用枚数は1.5枚から1.1枚に減少、総量枚数は約19%減少した。客単価については実施店舗で93.4%、売上が同等の比較店舗で95.3%に減少した。事業者の有料化実施コストは、ポイント付与費用(レジ袋1枚断る毎に2円相当のポイント還元を行うサービス)、資材購入費、容器包装リサイクル法委託料といった直接的な費用低減で約116万円/年の効果が見込まれた。
  • 福岡 雅子, 小泉 春洋
    セッションID: A4-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     集団資源回収に対する助成制度は、地方自治体の財政状況の悪化で、廃止事業の候補となっている場合が少なくない。  奈良市では、平成11年度以降、集団資源回収の助成制度を廃止したが、平成17年に市内の自治会等の古紙回収の実態を調査した結果、平成17年度時点でも大半の集団資源回収活動が継続されていることが明らかになった。ただし、調査結果から推計した平成16年度の回収量は、平成10年度の回収量に比べて、やや少ない値となっていた。  家庭ごみの用途別組成調査結果から推計した家庭系可燃ごみ中の古紙類の排出量からは、助成制度廃止直後は集団資源回収が継続されるが、古紙価格の下落や地域活動の低下などをきっかけに、集団資源回収活動が中止される可能性が想定された。
  • 高橋 一彰, 鈴木 あや子, 松澤 裕
    セッションID: A4-11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物・リサイクル行政及び市町村の一般廃棄物処理事業の目的は、これまでの公衆衛生の向上や公害問題の解決という段階をさらに進め、循環型社会の形成を目指すものとなってきている。 このような背景のもと、平成17年2月に中央環境審議会は「循環型社会の形成に向けた市町村による一般廃棄物処理の在り方について」を意見具申し、これを踏まえ、環境省において、平成17年5月に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第百三十七号。以下「法」という。)第5条の2第1項の規定に基づく「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)が改正された。 基本方針では、市町村の役割として、下記のような事項が明記されている。 ・一般廃棄物の処理に関する事業に係るコストの分析及び情報提供を行い、分析の結果を様々な角度から検討すること等により、社会経済的に効率的な事業となるよう努めるものとする。 ・経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再生利用の推進、排出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の推進を図るべきである。 ・分別収集区分や処理方法といった一般廃棄物処理システムの変更や新規導入を図る際に、変更や新規導入の必要性と環境負荷面、経済面等に係る利点を、住民や事業者に対して明確に説明するよう努めるものとする。 一方、国の役割としては、市町村及び都道府県が行う、その区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理の確保のための取組が円滑に実施できるよう、一般廃棄物の処理に関する事業のコスト分析手法や有料化の進め方並びに一般廃棄物の標準的な分別収集区分及び適正な循環的利用や適正処分の考え方を示すことなどを通じて技術的な支援に努めることとされている。 一般廃棄物会計基準等は、基本方針の規定に基づき、市町村等が行う廃棄物の減量その他その適正な処理の確保のための取組が円滑に実施できるよう、技術的な支援を行うことを目的として策定したものである。
A5 廃棄物管理・計画
  • 植木 祥治, 立尾 浩一, 山田 正人, 遠藤 和人, 吉津 澄人
    セッションID: A5-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    産業廃棄物の品目は、廃掃法に基づく約19種類で区分されることが一般的であり、品目は当時と殆ど同じである。今日、再資源化が進むにつれ、資源物の再利用先が多様化したため、中間処理及び最終処分の現場では、市場を制御するために処理プロセスに応じた物性や性状による詳細な品目で取り扱われている。しかし、これらの資源循環に即した廃棄物品目または組成情報は極めて限られており、本来リサイクル可能な廃棄物が市場化されずに最終処分されている。 そこで、産業廃棄物の排出・処理時の品目の整理を行い、分離・選別等の再資源化技術の適用性や、再資源化または最終処分へ向かう物を把握することで、産業廃棄物詳細品目の類型化を図ることを目的とした。 第1報では、ガラス陶磁器くずと廃プラスチック類の2品目について排出事業者及び産業廃棄物処理業者へのアンケート調査で得られた詳細品目別の排出状況および処理状況について報告する。
  • 田崎 智宏, 橋本 征二, 森口 祐一
    セッションID: A5-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、一般廃棄物実態調査で把握されている費用データを収集運搬、中間処理、最終処分の3つの活動に按分するとともに、得られた結果の考察を通じて、活動別の費用情報が廃棄物マネジメントにおいて重要であることを示した。対象期間は平成8年度から平成16年までの隔年とし、各活動別費用とともに、処理等の量あたりの活動別費用単価を算出した。その結果、中間処理に約半分、収集運搬に4割程度、最終処分に1割程度の費用がかけられていること、総費用が平成8年度から平成16年度にかけて減少しているのは、中間処理費用の減少によるものであること、最終処分場の建設・改良費単価は平成16年度には4万6千円/トンと高騰し、近年の処分場立地が困難になっていることなどが示された。その他、活動別の費用を建設費、人件費、処理費などの内訳ごとに考察した。
  • 竹中 康倫, 古市  徹, 石井 一英, 谷川 昇
    セッションID: A5-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、廃棄物系バイオマスの中でも、生ごみと家畜ふん尿の発生量が多く、実際に利活用の事業化の検討を行っているX支庁管内を例として、自治体が生ごみと家畜ふん尿を有効活用し,かつ適正処理するリサイクルシステムを、5名の専門家へヒアリング調査を基にANP手法を用いて評価した。特に、(1)5名の評価者の評価の特徴の違い、(2)AHP手法との比較によるANP手法の有効性、(3)5名の評価者が選択した代替案を明らかにすることを目的とした。
  • 石坂 薫, 田中 勝
    セッションID: A5-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    公募による一般廃棄物処理施設の適地選定手続きについてまとめ、また今回のケースの委員構成、公募要件、適地選定について評価できる点と改善すべき課題について選定委員会委員へのヒアリング調査によってまとめた。評価すべき点としては、公募要件および応募の条件にまちづくり構想や地元町内会の総会決議を含めたこと、現地調査を行ったこと、選定項目の重みづけが委員総意で決めることが出来たこと等が挙げられた。改善すべき点としては、公募要件の設定で土地取得の確実性や予算等の条件をある程度厳しくする、適地選定の際で費用はトータルコストの比較によって評価するなどが指摘された。
  • 戸敷 浩介, 劉 庭秀, セロナ ケビン ロイ
    セッションID: P2-A5-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    近年アジアの開発途上国の大都市において経済成長や都市化による廃棄物問題が顕在化しており、一般廃棄物の適正処理の制度設計が求められている。本研究では、モンゴル国ウランバートル市を事例として挙げて検討する。ウランバートル市ではJICAの協力による廃棄物管理計画の中で紙類やプラスチック類のRDF化を検討しているが、本研究では廃棄物の排出量や組成などの特性を把握し、焼却処理や埋め立て処理などを行った場合の環境影響や潜在的なエネルギー回収量などのシナリオ分析を行った。その結果、開発途上国で安定的に運営できるか不確かなRDF製造技術を導入するのではなく、廃棄物発電やメタンガス発電を組み合わせた廃棄物管理計画を考えることが妥当だろうとの結論を得た。
  • 濱本 淳平, 和田 安彦, 尾崎 平
    セッションID: A5-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     平成9年に河川法が改正されて以来,河川の水環境・景観等の保全が重要視され始めた.そのような中,河川におけるゴミの不法投棄問題が重要視されている.河川には,人目につかない場所が多く点在し,不法投棄が増加する要因となっている.この河川への不法投棄は有害物質の河川への流出や住民の河川に対するイメージの低下など,自然環境や景観を損ねる原因ともなっている.  本研究では,行政が管理している河川へのゴミの不法投棄のデータをGIS(Geographic Information System)を用い,効率的かつ有効的な不法投棄対策へ向けた一元型管理システムを構築するための基礎研究を目的としている.そのための足がかりとして,GISを用い,現状やその場所の地域特性,河川整備形態を考慮した河川へのゴミの不法投棄問題に対する現状把握,及び対策の検討を行った.
  • 堀尾 正靭, 重藤 さわ子, 小林 久, 岡田 久典, 志賀 光洋, 日高 正人
    セッションID: A5-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではDRY・WET系廃棄物の分別を徹底し、WET系の代表である下水も含めた横断的な廃棄物処理システムを提案し、そのエネルギー回収・CO2排出削減へのポテンシャル評価を行った。その結果、現行の集約化シナリオをどれだけ進めていったとしても、その限界は明瞭であるが、DRY系を高効率発電に有効利用すれば、約2000万トン/年という大幅なCO2排出量削減が達成できることが明らかになった。その実現のためには、具体的には、現在の廃棄物焼却施設を廃棄物分別中継施設として運用し、品質管理された高品質な可燃物を沿海部の高効率発電設備に付設したガス化設備によりガス化し、高効率発電を行うといった社会システムの実現が必要である。閉塞感のある現在の廃棄物処理行政を見直し、大幅なエネルギー回収・CO2削減を目標として、産業間連携・省庁連携に基づいた新たな大型公共投資の方向付けを行うことは急務と考えられる。
A6 廃棄物処理システム評価
  • 志賀 光洋, 堀尾 正靱, 小林 久, 岡田 久典, 重藤 さわ子, 日高 正人, 桑原 洋享, 米田 理津子
    セッションID: A6-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    現在のごみ処理プロセスは、可燃性廃棄物の焼却処理による減容化、安定化処理が主であり、資源循環機能としては、スラグ化金属回収等のマテリアルリサイクル、焼却時における熱回収及びそれを利用した発電などがあげられる。しかし、それらは、従来の安全・衛生処理の副次的な循環機能となっており、施設機能、施設規模、搬入物質の性状等による制約から、十分に効率化・最適化されたものとなっていない。そこで、著者ら(PEGASUS研究会)は、平成19年1月に全国のごみ焼却処理施設を対象に、循環型地域システムの構築に向けた課題の把握を目的に、施設の運転状況や資源循環等に関する実態についてのアンケート調査を実施した。本研究では、このアンケート調査結果を総括し、それに基づいてごみ焼却プロセスにおける課題についての検討を行ったものである。
  • 北村 知規, 和田 安彦, 尾崎 平
    セッションID: A6-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     近年の我が国では,高度経済成長期からの大量生産,大量消費,大量廃棄型の社会経済活動に伴い廃棄物処理における環境負荷の増大,資源の枯渇化,最終処分場残余量の逼迫が問題となっている.今後,循環型社会への転換にあたり最終処分量の削減や資源化率の向上を図るため,プラスチック類の分別収集や,新たな焼却処理方式として,従来のストーカ炉に焼却残渣を再資源化する灰溶融炉を併設したもの,あるいは従来のストーカ炉よりも最終処分量の削減及び再資源化が可能なガス化溶融炉が注目されている.  本研究では,循環型社会の構築に最適な廃棄物収集・処理システムの検討において,中間処理方法の違いとして,(1)_ストーカ+灰溶融方式とガス化溶融方式の2方式による環境負荷,(2)ストーカ+灰溶融方式とガス化溶融方式の2方式による資源化量について,国内のストーカ+灰溶融方式,ガス化溶融方式の複数の施設に対してヒアリング調査を行った.評価の指標として環境影響評価(LCA),パフォーマンス評価を用いて,地域特性として年間焼却量による環境負荷の一般化を行った上で,ストーカ+灰溶融方式とガス化溶融方式の現状処理能力の比較・検討を行った.
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