日本において, ホテイアオイは主要な水生の雑草として, その被害が報告されている。
このホテイアオイを河川, 湖沼などの富栄養化の防止に利用するという目的で, 無機元素の代謝に関する基礎的実験と無機元素の貯蔵量を算出するための実験を行なった。
ホテイアオイを家畜の飼料として利用する際には, 高いN含有濃度が要求されるが, ホテイアオイ中のN含有濃度は栽培液中のN濃度が高くなるに従って2.95倍まで高くなり, 葉中濃度は15500ppmから45800ppmとなった。ホテイアオイの生長率の季節変化および無機元素の含有濃度を求め, それらの結果から無機元素の貯蔵量を算出した。河川 (用水路を含む) では5月1日に乾重で1gのホテイアオイは12月15日までに49kgに生長し, その間にN: 1.8, P: 0.25, K: 3.3, Ca: 0.61, Mg: 0.24, Fe: 0.067, Mn: 0.094 (単位はkg) を貯蔵するという結果が得られた。また, この貯蔵量を河川水の水量に換算するとN: 5800, P: 36000, K: 2800, Ca: 69, Mg: 130, Fe: 280 (単位はm
3) に相当した。
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