富士五湖 (本栖湖, 西湖, 精進湖, 河口湖, 山中湖) の大腸菌群および糞便性大腸菌群の定量を1975年4月から1977年3月まで月1回の採水で行ない, その数および構成種から各湖を検討した。
1) 本栖湖, 西湖では夏季の一時期に大腸菌群, 糞便性大腸菌群が検出, 増加がみられた。
2) 山中湖では, 大腸菌群は年間を通して検出されるが, その値は大きくなく, 糞便性大腸菌群は春季から秋季に一時的に検出された。
3) 精進湖, 河口湖では年間を通して大腸菌群が検出されその数も多い。糞便性大腸菌群は一時期に検出されない月もあるが, かなりの月に検出された。また河口湖の船津沖では大腸菌群, 糞便性大腸菌群ともに年間を通して検出され, その値も高い値であった。
4) 精進湖, 河口湖とくに船津沖は富栄養化した湖であるが, 大腸菌群, 糞便性大腸菌群の相関は, 精進湖で相関係数0.68, 船津沖では0.81と船津沖において高い相関がみられ, 船津沖での糞便による高い汚染が推定された。
5) 細菌の構成種では, 大腸菌群でのIMViC試験から各湖とも
E.coliより
C.fre.が優占し, 季節変動では夏季には
C.fre.が多数を占め, 春季, 秋季には多種の菌が分離された。
6) EC培地による高温培養法はかならずしも
E.coliのみを分離するとはいえないが, 相対的にみて
E.coliを多く分離するという意味からは有効な方法といえる。
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