この研究は、モルトセラミックス(MC)を生物担体として活用した嫌気性アンモニウム酸化(anammox)リアクタの処理性能について検討したものである。直径3~5mmのMC担体を適用した固定床リアクタ(リアクタ1)は368日間、直径10~15mmのMC担体を適用したリアクタ(リアクタ2)は280日間それぞれ連続運転した。リアクタ1においては、水理学的滞留時間(HRT)を3時間に設定し、流入水のNH
4-NとNO
2-Nの濃度を階段的に150~225mg N/
lに高めて運転した。この時のNH
4-NとNO
2-N除去率はそれぞれ81%、90%だった。その後、NH
4-NとNO
2-Nの濃度を階段的に250~275mg N/
lまで高めて運転を継続した結果、NH
4-NとNO
2-N除去率はそれぞれ75%、85%に低下した。リアクタ1のT-N除去速度は187から315日目において、0.6 kgN/m
3/dayから3.1kgN/m
3/dayに徐々に上昇した。リアクタ1におけるNH
4-N除去量に対する、T-N除去量、NO
2-N除去量、NO
3-N生成量の比率はそれぞれ1.98:1.15:0.17だった。リアクタ2も、HRTを3時間に設定し、流入水のNH
4-NとNO
2-Nの濃度を階段的に100~225mg N/
lに高めて運転した。この時のNH
4-NとNO
2-N除去率はそれぞれ80%、93%だった。しかし、その後、流入水のNH
4-NとNO
2-Nの濃度を階段的に250mg/
l~275mg N/
lに高めて運転を継続した結果、NH
4-NとNO
2-N除去率はそれぞれ72%、84%に低下した。リアクタ2のT-N除去速度は、運転開始146から230日目において、0.7~3.1kgN/m
3/dayでリアクタ1と同程度だった。リアクタ1において、NH
4-N除去量に対するT-N除去量、NO
2-N除去量、NO
3-N生成量の比率はそれぞれ2.03:1.2:0.17だった。特有の赤色を呈するanammox汚泥のグラニュールは、両リアクタの運転において、リアクタ底部で旺盛に成長した。リアクタ2のanammox汚泥のDNA解析の結果、anammox汚泥中にはKSU-1株とKU-2株の2種のanammox菌が存在し、KSU-1菌株が優占するanammox細菌であることが明らかになった。
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