日本水処理生物学会誌
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47 巻, 2 号
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報文
  • 許 春蓮, 宋 乾武, 戴 建坤, 黄 海明, 稲森 隆平, 稲森 悠平, 徐 開欽, 杉浦 則夫
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 2 号 p. 51-58
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    中国において汚染源の特性によって分散型生活排水の原水水質は大きな差を表している。現場モニターリングと比較研究を通じて、分散型生活排水の原水水質は以下の範囲であることが確認された。 CODcr: 200~1000mg/l,BOD5: 100~500mg/l,SS: 100~500mg/l,TN: 20~90mg/l,TP: 3~15mg/l,BOD5/CODcr:0.4~0.6で、高い生物分解性を示している。異なる汚染負荷での生物処理効率を確認するため、嫌気ろ床-生物ろ過方式の高度処理浄化槽を用いて実証試験を行った。これらの研究で、中国の浄化槽性能評価の基本的な方法が確立された。
  • 藤本 尚則, 奥濃 清貴, 溝口 隆, 渡辺 圭太郎, 佐々木 健
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    高速撹拌ミキサーによる物理破砕処理とアルカリ薬剤処理を組み合わせた汚泥の可溶化技術を、製油所の活性汚泥処理に適用した際に、排水の組成の変動により生じた金属イオンと可溶化率の低下について検討した。Ca、Mgイオンの増加で可溶化率が、40%から25%程度に低下した。この低下原因は、原水中の金属イオン濃度(Na、Ca、Mg、Kなど)の変動に起因して、主に汚泥中のCaイオン含有量が増加したことと推測した。そして、汚泥中のCaイオン含有量を低下させる手法として活性汚泥処理でのポリ塩化アルミニウム(PAC )添加を見出し、PACを150 mg/l濃度で連続的に添加することで、可溶化率が20%から45%に大幅に向上することを確認した。PAC添加の効果は、添加を停止した後でも25日間以上保持された。
  • 井坂 和一, 安部 直樹, 木村 裕哉, 渡部 雅智, 大坂 利文, 常田 聡
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    脱窒菌を含む活性汚泥を包括固定化した担体を用い,排水中の亜硝酸および硝酸の除去について検討した。水素供与体としてメタノールを用い,合成排水による連続処理試験を行った。生物毒性のある亜硝酸を基質とした場合でも,脱窒システムは立上げることが可能であり,運転開始46日目には脱窒速度1.4 kg-N m-3 d-1を確認した。硝酸を基質として過負荷試験を行った結果,最大脱窒速度3.6 kg-N m-3 d-1が得られ,高い処理性能を示した。過負荷条件下では,原水中の硝酸が残留するのではなく亜硝酸の蓄積が確認され,亜硝酸還元が律速となる傾向が示された。同時に蓄積した亜硝酸により,脱窒性能が低下させる傾向も確認された。
  • 中木原 江利, 池本 良子, 高野 典礼, 山下 恭広, 熊代 和也, 高井 淑恵, 大月 紳司
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 2 号 p. 75-86
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    農地排水からの窒素除去法として、間伐材を混合した土壌を用いる方法について土壌カラムにて実験的検討を行った。間伐材の混合により、間伐材の分解に伴う窒素除去が進行した。活性汚泥を植種して間伐材を事前培養することにより、脱窒率が向上した。間伐材内部に高い脱窒活性と硫酸塩還元活性が認められた。カラム内の微生物DNAを抽出し16S rRNA遺伝子を標的としたnested PCR-DGGE法を適用した結果、各部位に多様な微生物が検出され、間伐材の事前培養により土壌内の微生物群集が変化することが示された。次に、DSR遺伝子を標的としたnested PCR-DGGE法を適用した結果、間伐材および腐朽木中に多様な硫酸塩還元微生物を検出することができた。微生物叢は、事前培養条件で異なっており、脱窒素条件では不完全酸化型、硫酸塩還元条件では完全酸化型の硫酸塩還元微生物が多く検出された。
  • 高木 啓太, 奥田 正彦, 糸川 浩紀, 中沢 均, 古川 憲治
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    近年,アナモックスプロセスは低コスト・省エネルギーの新しい窒素除去技術として期待されている。本研究では,アナモックスプロセスの実廃水処理に対する適用性を検証するため,実下水処理場の消化汚泥脱水ろ液を処理対象とした実証実験を実施した。実験には,亜硝酸化槽およびアナモックス槽から成る2槽式のアナモックスプロセスを用い,それぞれ槽内に固定化担体を充填した固定床型反応槽とした。アナモックス反応槽の立ち上げは,低負荷条件から処理状況をみながら段階的にHRTを下げて負荷を上昇させることで,窒素除去速度は33日目に1.89kgN・m-3・d-1に,55日目に2.66kgN・m-3・d-1に達した。運転開始以降,流入水のNO2-N/NH4-N比は0.94~1.18と,若干の変動はあったが,窒素除去率は74~87%(平均80%)で安定して維持できた。流入窒素負荷を2.76~3.61kgN・m-3・d-1の範囲で変動させた結果,処理水濃度には原水NH4-N濃度の変動と同様に若干の変動がみられたが,窒素除去率は平均81%と顕著な低下はなかった。高濃度のNH4-Nを含む消化汚泥脱水ろ液から効率的に窒素を除去する方法として,固定床型アナモックス反応槽を用いた窒素除去プロセスの有用性が示された。
  • 閻 峰, 小林 拓朗, 高橋 慎太郎, 李 玉友, 大村 達夫
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    メタノール排水は製紙産業や化学産業から多く排出される.本研究はメタノール廃水のUASB処理性能を把握することを目的として,中温条件のUASBリアクターを用いてメタノールを唯一の炭素源とした人工排水の連続処理実験を行った.連続運転は430日以上の長期に渡って行い,容積負荷を2.5 kgCODCr・m-3・d-1から120 kgCODCr・m-3・d-1まで段階的に上昇させた.容積負荷30kgCODCr・m-3・d-1においてS-COD除去率95%以上を達成するとともに,グラニュールの形成・維持が確認された.グラニュールの粒径は0.1~2mmであり,SEMによって球菌が凝集している様子が観察された.メタン生成活性試験ではメタノールと水素に高い利用活性が見られた.クローン解析とFISH法による解析の結果からグラニュールで優占している古細菌はメタノール資化性のMethanomethylovorans hollandicaであることが示唆された.
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