日本水処理生物学会誌
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51 巻, 3 号
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報文
  • 三村 和久, 出口 浩, 劉 明星
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 3 号 p. 49-59
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    我々は標準的な活性汚泥系について、その流入下水中有機物の酸素消費と、活性汚泥のOURの挙動を精査することで、その有機物除去メカニズムを明らかにした。すなわち、曝気槽においては、有機物は下水液相中から約8時間で除去されるが、これは有機物の液相中から汚泥(フロック)への移行によるものと考えられる。これは以下の2つの調査結果に因る。第一に、その有機物が好気性生物によって分解されるに必要な時間と、有機物を保持した活性汚泥がその内生呼吸期に移行するに要する時間とが、双方とも10日程度とほぼ同じであること。第二に活性汚泥中の従属栄養細菌数が、下水中とほぼ同じである107/mlであったことから、8時間の滞留時間では液相中の有機物は分解され尽くされ無いと考えられるからである。また、この移行については、液相中有機物、活性汚泥それぞれの酸素消費速度がほぼ等しいことを定量的に解析できたことからも裏付けられた。また、酸素消費速度係数を求めることで、移行した活性汚泥中有機物がその除去過程において、より高い被酸化分解活性となった可能性を確認した。
  • 木持 謙, 城野 晃志, 山崎 宏史, 徐 開欽, 稲森 悠平
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 3 号 p. 61-68
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,生活排水処理を想定した浄化槽の,省エネルギー運転下における温室効果ガス発生の抑制と水質浄化性能の維持について実験的検討を行った。嫌気1槽,好気4槽および沈殿槽から構成されるベンチスケール浄化槽実験装置を20度の温度条件下で運転し,濃度調整をした実生活排水を流入させた。実験条件はばっ気用エアポンプの運転時間とし,エアポンプのオン/オフ即ちばっ気:非ばっ気の時間配分を1:1にした場合の時間の長さとした。また,対照系として連続ばっ気の実験系を設定した。その結果,ばっ気:非ばっ気を2時間:2時間程度の短いサイクルで繰り返しても,好気槽のDO濃度は常時維持可能であった。また,連続ばっ気運転と比較してBODの除去性能に悪影響が見られなかっただけでなく,窒素除去性能は向上する結果となった。温室効果ガス発生抑制の観点からは,短いサイクルでの間欠運転は,CO2換算での温室効果ガス発生量を連続ばっ気運転の20%以下に削減可能であった。今後は,水温等も考慮しつつ,スケールアップしてのさらなる検討が必要と考えられた。
ノート
  • 峯村 淳, 北村 龍一, 佐野 元昭, 大澤 敏
    原稿種別: ノート
    2015 年 51 巻 3 号 p. 69-73
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    有害物質であるホルムアルデヒドを浄化させるために、安全性が高く、食品分野に使用されている麹菌に着目した。YPD培地により培養した麹菌の菌糸塊は、40 mlのCzapek-Dox培地中で、100 mgl-1のホルムアルデヒドを48時間で完全に浄化した。ホルムアルデヒド濃度を50, 100, 200, 300 mgl-1に調整したCzapek-Dox培地中にて浄化試験を行った結果、ホルムアルデヒド濃度50, 100 mgl-1の条件下では、完全にホルムアルデヒドが浄化され、浄化後の菌糸を再度100 mgl-1のホルムアルデヒドに浸漬する操作を8回繰り返しても浄化能力は低下しなかった。これらの結果より、麹菌の菌糸塊には、高いホルムアルデヒド浄化能があることが認められ、ホルムアルデヒド排水の浄化に有用であることがわかった。
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