1,4-ジオキサンの新しい生物処理方法として,
Pseudonocardia sp. D17株を包括固定化した担体による排水処理システムを開発している。本研究では,包括固定化する
Pseudonocardia sp. D17株の初期菌体量と1,4-ジオキサン処理性能について検討するため,培養液の固定化濃度を10%~30%とした担体を作成した。1,4-ジオキサン濃度20 mg/
lの合成排水を用い,連続試験を行った結果,固定化濃度30%の系の方が,運転開始直後から高い処理活性を示した。立上げ後の処理水中の平均1,4-ジオキサン濃度は,固定化濃度10%,20%および30%の系で,それぞれ0.18,0.14および0.13 mg/
lとなり,固定化濃度が高いと低濃度まで1,4-ジオキサンが処理できる結果を得た。また,いずれの系においても2週間以内に立上げることができ,排水基準値を満足できることができた。固定化濃度10%と20%の連続処理系において,HRTを短縮して1,4-ジオキサン負荷を上昇させた結果,両系ともHRT4時間,1,4-ジオキサン負荷0.12 kg/m
3/dの条件で,排水基準値0.5 mg/
l以下を満足することができた。
Pseudonocardia sp. D17株の培養液は1ヶ月間保管しても,その培養液で作成した包括固定化担体で1,4-ジオキサンの処理が可能であった。さらに,その担体を1ヶ月間保管した後でも,迅速な1,4-ジオキサン処理性能の立上げが可能であり,実用段階で課題となる菌体培養液の保管および包括固定化担体の保管による大きな活性低下は無いことが示された。
抄録全体を表示