日本水処理生物学会誌
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51 巻, 4 号
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報文
  • 武井 彩夏, 木村 勇貴, 田畑 良祐, 大木 亮, 北澤 卓也, 角野 立夫, 富田 順子, 藤井 弘明
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 4 号 p. 75-82
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    PVA担体に活性汚泥由来の生物膜を形成させ,この担体を用いたNH4-N 400 mg/lを含有する無機合成廃水の硝化連続処理運転を行い,硝化速度に及ぼす負荷と水温の影響について検討した。負荷0.56―1.20 kg-N/m3/dayで亜硝酸型の硝化反応を示し処理水NH4-N 1.0 mg/l以下を得た。その後,負荷を増大させた結果,亜硝酸型と硝酸型が混在する硝化が継続し最大硝化速度1.95 kg-N/m3/dayを得,高速処理運転を達成した。この担体の温度特性を回分実験で検討した結果,アンモニア酸化反応における活性化エネルギーとして77.9 kJ/molを得た。この値は包括固定化法とほぼ同等であった。この担体についてアンモニア酸化細菌遺伝子amoANitrobacter属遺伝子norBを標的としたリアルタイムPCR解析を行った。硝化速度1.61 kg-N/m3/dayのとき,amoAのコピー数は2.08×1011コピー/g-担体,norBは6.04×1010コピー/g-担体を得た。また次世代アンプリコンシーケンス解析の結果,リード数23,848のうち25%がNitrosomonadaceae科である事を明らかにできた。
  • 井坂 和一, 宇田川 万規子, 木村 裕哉, 清 和成, 池 道彦
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 4 号 p. 83-93
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    1,4-ジオキサンの新しい生物処理方法として,Pseudonocardia sp. D17株を包括固定化した担体による排水処理システムを開発している。本研究では,包括固定化するPseudonocardia sp. D17株の初期菌体量と1,4-ジオキサン処理性能について検討するため,培養液の固定化濃度を10%~30%とした担体を作成した。1,4-ジオキサン濃度20 mg/lの合成排水を用い,連続試験を行った結果,固定化濃度30%の系の方が,運転開始直後から高い処理活性を示した。立上げ後の処理水中の平均1,4-ジオキサン濃度は,固定化濃度10%,20%および30%の系で,それぞれ0.18,0.14および0.13 mg/lとなり,固定化濃度が高いと低濃度まで1,4-ジオキサンが処理できる結果を得た。また,いずれの系においても2週間以内に立上げることができ,排水基準値を満足できることができた。固定化濃度10%と20%の連続処理系において,HRTを短縮して1,4-ジオキサン負荷を上昇させた結果,両系ともHRT4時間,1,4-ジオキサン負荷0.12 kg/m3/dの条件で,排水基準値0.5 mg/l以下を満足することができた。Pseudonocardia sp. D17株の培養液は1ヶ月間保管しても,その培養液で作成した包括固定化担体で1,4-ジオキサンの処理が可能であった。さらに,その担体を1ヶ月間保管した後でも,迅速な1,4-ジオキサン処理性能の立上げが可能であり,実用段階で課題となる菌体培養液の保管および包括固定化担体の保管による大きな活性低下は無いことが示された。
  • 武田 文彦, 真野 浩行, 北村 友一, 小森 行也, 岡本 誠一郎
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 4 号 p. 95-103
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では流入下水および標準活性汚泥法で処理した二次処理水、塩素消毒した放流水の生物影響を評価した。生物応答試験は生物応答を用いた排水試験法(検討案)を参考に、緑藻ムレミカヅキモ、オオミジンコ、ゼブラフィッシュを用いて行った。試験回数はオオミジンコは2回、それ以外は3回とした。本試験の結果として、流入下水では生物影響が見られる場合があったが、二次処理水および放流水では影響がなかった。よって下水の生物影響は活性汚泥処理によって改善できることが明らかになった。総残留塩素濃度はムレミカヅキモで0.87 mg/l、オオミジンコで0.37 mg/l、ゼブラフィッシュで0.55 mg/lでも影響しないことが分かった。
  • 早川 和秀, 廣瀬 佳則, 一瀬 諭, 岡本 高弘, 古田 世子, 田中 稔, 藤嶽 暢英, 田中 仁志
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 4 号 p. 105-114
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    琵琶湖では水中の難分解性有機物の増加が懸念されている。我々は、湖水から抽出されたフルボ酸を難分解性有機物の代表として、化学物質の生態影響試験法である藻類生長阻害試験と甲殻類の遊泳阻害試験、繁殖阻害試験を行った。試験の結果、現状の琵琶湖の水中フルボ酸(FA)の濃度では、Pseudokirchneriella subcapitataの生長、2種のミジンコ属の遊泳、Ceriodaphnia dubiaの繁殖のいずれも阻害を示さなかった。
  • 山岸 知彦, 鈴木 章, 西村 修, 須藤 隆一
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 4 号 p. 115-126
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本稿では、富栄養化した都市公園池における水質の季節変化とアオコ発生の環境要因について報告する。水質調査に関しては、2009年5月から2014年9月まで毎月1回実施した。また、動植物プランクトンの現存量と種組成に関しては、2011年5月から2014年9月まで水質調査に追加して実施した。2014年の夏季に、水温躍層が形成され、表層と底層の温度差が約4℃になった。さらに、Microcystis属がアオコを形成する藍藻類の優占種となり、7月又は9月に現存量が最大値となった。一方、初夏に競争者(珪藻類、緑藻類)が温度上昇に伴い増殖する傾向を示し、5~6月に優占種となった。さらに、初夏に捕食者(小型のミジンコ類、カイアシ類、ワムシ類)が温度上昇に伴い増殖する傾向を示し、7~8月にそれらの現存量が最大値となった。このことから、富栄養化した公園池において植物プランクトンの種間競争と動物プランクトンによる摂食によりMicrocystis属の増殖が抑制されている可能性が示唆された。
  • Md. Mahmudur Rahman, 中島 淳
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 4 号 p. 127-140
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    簡易セラミックフィルター(SCF)を用いたろ過器によるバングラデシュ農村部における溜池水からの懸濁物質(SS)、大腸菌群数(TC)、大腸菌(E. coli)の除去を検討した。SCFはバングラデシュの粘土土壌と米糠から作成し、15 l容の植木鉢に接着させてろ過器を製作した。模擬溜池水を用いた日本国内での実験室試験の後、バングラデシュにおいて実際の溜池水を用いた現場試験を行った。TCおよびE. coliの除去率は、実験室試験で2log~3log以上、雨期の現場試験で2log以上、乾期の現場試験で約1.5 logであった。ろ過器は藻類を主とする懸濁物質も良好に除去した。鉄網、燻炭、固定化燻炭などの追加による効果は明らかではなかったが、鉄網は溶存態リンを減少させた。本ろ過器は、実際の溜池水に適用可能な処理方法であることが示された。
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