日本水処理生物学会誌
Online ISSN : 1881-0438
Print ISSN : 0910-6758
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報文
  • 永田 貴丸, 廣瀬 佳則, 岡本 高弘, 早川 和秀
    原稿種別: 報文
    2018 年 54 巻 3 号 p. 73-82
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究では、ミジンコ類の生産性への従属栄養性鞭毛虫の餌としての影響を評価するため、鞭毛虫キネトプラスト類を餌にした場合のDaphnia pulicaria(プリカリア)の生存、成長、再生産を調べた。また、同時に、細菌と緑藻のクロレラでもプリカリアの生存、成長や再生産を調べ、キネトプラスト類の結果と比較した。実験の結果、キネトプラスト類を添加した餌処理系では、細菌のみを餌にした処理系(細菌100%)と同じく、プリカリアは成熟に至らず、8日以内に死亡した。成熟、あるいは死亡(成熟まで達せず、死亡した場合)するまでの1日あたりのプリカリアの体成長を各餌処理系で比較した結果、クロレラのみを餌にした処理系(クロレラ100%)に比べ、キネトプラスト類を添加した餌処理系では、体長増加率(mm ind.-1 day-1)が非常に低かった。これらの結果から、キネトプラスト類は、ミジンコ類のプリカリアの生産に、餌として必ずしも大きく貢献しているとは限らない可能性が示された。従属栄養性の鞭毛虫については、ミジンコ類の生産性にとっての質にかかわる知見が少ないため、本結果は1つの貴重な情報となると考える。本研究から、透明度改善を目的とした生物操作(Biomanipulation)では、Daphnia属のミジンコ類がよく扱われるが、彼らは細菌や鞭毛虫からの微生物食物連鎖のエネルギーを効率的に利用できないケースもあるため、生物操作の対象現場に適したミジンコ類の種類を検討する必要があると考えられた。

  • 田中 仁志, 木本 達也, 木持 謙, 須藤 隆一
    原稿種別: 報文
    2018 年 54 巻 3 号 p. 83-94
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/15
    ジャーナル フリー

    樹木のリター(落葉や落枝など)は、森林や水圏生態系の物質循環に重要な役割を担っている。池沼中に落ちた落葉広葉樹(クヌギ)および常緑針葉樹(スギ)の落葉から溶出した物質の水質へ及ぼす影響について、屋外実験池を用いて調べた。実験池水量1m3あたり乾燥葉1kgを100%クヌギ、100%スギおよび各50%の割合で添加し、2008年4月に実験を開始し、10月まで調査を行った。葉に起因するCODMn、TP、TNの溶出速度およびそれらの溶出量は、スギよりクヌギの葉の方が大きく、水質に及ぼす影響は大きかった。クヌギとスギが50%ずつの場合は中間的な特徴を示した。一方、クヌギとスギの葉は、ともに水生生物の生息場所として好ましくない貧酸素状態(DO:<2mg・L-1)を引き起こし、とくにクヌギの葉は、その状態が1週間以上継続した。したがって、落葉による湖沼の水質悪化を防止するためには、落葉が水塊に入らないように管理する必要がある。水塊に落下した落葉を除去する際は、即日行うことにより溶出量を減らす効果がある。

  • MYAT THWE MYINT AUNG, QINTONG LI, 高橋 聖弥, 内海 真生
    原稿種別: 報文
    2018 年 54 巻 3 号 p. 95-104
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究では、石油炭化水素の生物学的除去に対する温度の影響に関する検討を行った。季節毎に東京湾の湾央、湾奥の2地点から表層海水を採取し、実験室内で一定濃度のn-アルカン混合物を添加して石油汚染海水試料を作成した。その後28日間のバイオレメディエーションイン培養実験を栄養塩添加系と無添加系のそれぞれで実施し、培養期間中の残留炭化水素濃度をGC-MSで測定した。培養試料中の細菌細胞数およびアルカン分解を担う機能的遺伝子であるalkB遺伝子についても測定した。その結果、石油炭化水素のバイオレメディエーション効率は高水温である夏季に最も高く、春、秋、冬の順に低下することが示された。炭素原子数34個までのアルカンは、夏季には28日間の培養で著しく分解された。一方、低水温の冬季は炭素原子の数にかかわらず明らかな分解は認められなかった。また、n-アルカン分解率とalkB遺伝子コピー数との間に関連があることは認められたが、必ずしも相関しなかった。

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