日本水処理生物学会誌
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56 巻, 4 号
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報文
  • 篠田 健太, SUPHATCHAI RUJAKOM, TIPPAWAN SINGHOPON, RAWINTRA EAMRAT, 亀井 樹, ...
    原稿種別: 報文
    2020 年 56 巻 4 号 p. 67-78
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー

     発展途上国において、地下水中の硝酸態窒素除去を目的とした、低コスト・高効率な水素酸化脱窒リアクターの開発が急務である。本研究はスポンジ担体を用いた水素酸化脱窒リアクターを開発し、その充填率(0%、10%、20%、30%)が水素酸化脱窒反応に及ぼす影響を評価した。担体添加により窒素除去率の向上が見られたが、充填率10%、20%、30%の間には優位的な差は見られなかった。硝酸態窒素除去速度は充填率0%、10%、20%、30%において、それぞれ382、470、548、530 g-N/(m3・d)で、担体付着性汚泥が硝酸態窒素除去の増加に重要な役割を果たすことが示唆された。リアクター内では水素酸化脱窒とともに従属脱窒が共存し、担体付着性汚泥量とその従属脱窒活性には強い相関性があったものの、窒素除去量に対す従属脱窒割合は5.1%だった。担体添加型水素酸化脱窒リアクターは高い窒素除去効率を有することから、地下水処理への優位性が示された。

  • 高橋 善人, 荻原 淳
    原稿種別: 報文
    2020 年 56 巻 4 号 p. 79-90
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー

     二次処理水中のBOD、全窒素(TN)、および全リン(TP)を削減する段階的高度処理法(実験系)と標準活性汚泥法(対照系)の両方を14か月間比較した。

     処理性能はスチューデントのt検定により評価した。その結果、実験系のBOD、TN、TPは段階的高度処理の目標水質を満たし、対照系と比べて大幅に低減した。次に、衛生微生物(大腸菌群、大腸菌、糞便性連鎖球菌、腸球菌)の除去効率を比較した。実験系の微生物濃度と除去率は、対照系と比べて大幅に減少および改善した。特に、大腸菌群数は、消毒処理前に排水基準(≤3,000CFU/mL)を満たした。ピアソンの積率相関分析と階層的変数クラスター分析の結果、二次処理過程における衛生微生物の除去率は、MLSS、A-SRT、送風倍率、汚泥日令、DO、および活性汚泥生物相との相関が高いことがわかった。これらの結果から、段階的高度処理法で衛生微生物の除去率を向上させるための操作項目を明らかにした。

ノート
  • 惣田 訓, 朴 起里, 竹内 楓, 池 道彦
    原稿種別: ノート
    2020 年 56 巻 4 号 p. 91-97
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー

     都市下水からの窒素除去方法として、従属栄養脱窒とanammoxを組み合わせたSADプロセスが提案されている。SADプロセスでは、anammox細菌は脱窒槽に導入される。硝酸態窒素が亜硝酸態窒素に従属栄養細菌によって還元され、その亜硝酸態窒素の一部はanammox細菌に利用され、アンモニア態窒素とともに窒素ガスに還元される。本研究では、SADプロセスによる窒素除去を20℃の24時間バッチ試験によって検証することを目的とした。合成下水20mLに、20℃で集積されたanammox汚泥と、下水処理場から採取した活性汚泥をそれぞれ1500mg-MLSS/Lの濃度で懸濁した。硝酸態窒素70mg-N/Lとアンモニア態窒素50mg-N/Lを含み、酢酸ナトリウムを単一炭素源とする合成下水からのSADプロセスによる窒素除去率は、C/N比0.4-1.5において49-80%であり、通常の脱窒反応に比べ、窒素除去率は低C/N比において高かった。しかし、20℃におけるSADプロセスによる窒素除去率は、33℃で得られた以前の実験値よりも非常に低く、従属栄養細菌の活性に大きく依存することが示された。低温において効率的なSADプロセスを開発するには、亜硝酸態窒素を生成する活性の高い従属栄養細菌が必要である。

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