日本水処理生物学会誌
Online ISSN : 1881-0438
Print ISSN : 0910-6758
ISSN-L : 0910-6758
56 巻, 2 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
報文
  • 山戸 芽依, JUNQIN PANG, 惣田 訓, 池 道彦
    原稿種別: 報文
    2020 年 56 巻 2 号 p. 17-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    大阪湾に流れる淀川の十三干潟(汽水域)と城北ワンド(淡水域)の底泥試料を2014~2015年に採取し、底泥微生物の群集構造と代謝機能に関する基礎データを得た。微生物の遺伝子型を真正細菌の16S rRNA遺伝子のT-RFLP解析によって、表現型を95種類の炭素源を搭載するBiolog GN2プレートによって解析した。汽水域の微生物の群集構造と炭素源資化能は、淡水域のものと大きく異なった。正準相関分析によって、電気伝導率(塩分)と水温によって河口域微生物群は特徴づけられた。硫酸還元菌が属するデルタプロテオバクテリアが汽水域の底泥に多いことが示され、海水中の硫酸イオンが微生物群集に影響していることが示唆された。汽水域と淡水域の両者において、夏と秋における植生域底泥の従属栄養微生物数とT-RFLP解析と炭素源資化能の多様性は、非植生域よりも高く、河川植生がその根圏微生物に影響を与えていることが示された。

ノート
  • 中野 和典, 野村 陸, 遠藤 直宏, 佐藤 佑太
    原稿種別: ノート
    2020 年 56 巻 2 号 p. 27-32
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー

    本研究では、塩素を使用せず電力や光も不要な消毒処理システムを開発することを目指し、光に依存せずに活性酸素を介した消毒作用の発揮が可能な銀ナノ粒子を付加したろ床を考案した。7種類のろ材にナノ銀を付加し、回分消毒試験により消毒作用を比較した結果、高い消毒作用を示した上位3種のろ材は、軽石、活性炭及びゼオライトであり、その共通点が多孔質であることから、ナノ銀の消毒作用を発揮させるろ材として多孔質ろ材が適していることが明らかになった。最も消毒作用に優れていたナノ銀付加軽石をカラムに充填してろ床を作製し、大腸菌群を含む試験水の流入と排出を間欠的に行うタイダルフロー条件で連続消毒試験を行い、タイダルフロー条件が消毒作用に及ぼす効果と消毒作用の持続性について検証した結果、ナノ銀付加ろ床と試験水の接触時間よりもろ床が大気に晒される干水時間が重要であり、干水時間が長い程、高い消毒作用が得られることが明らかとなった。消毒処理回数の積算値が100回を超えても消毒作用を維持できたことから、軽石に付加したナノ銀の消毒作用の持続性を確認することができた。これらの結果より、ナノ銀付加ろ床により塩素や電力に依存せずに消毒処理が行えるシステムが構築できる可能性を示すことができた。

feedback
Top