日本水処理生物学会誌
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57 巻, 3 号
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報文
  • 惣田 訓, 前川 愛実, 鍛冶 龍馬, 松山 怜愛, 赤木 知裕, 山際 秀誠
    原稿種別: 報文
    2021 年 57 巻 3 号 p. 43-53
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

     パイル担体活性汚泥法による余剰汚泥の削減効果の検証のため、小型の連続式活性汚泥装置を用いた合成下水の連続処理を行った。パイル担体には細菌と貧毛類が定着しやすく、食物連鎖によって汚泥が減少することを期待した。パイル担体(起毛3 cm、密度35本/cm2、7.5 cm×25.5 cm)を設置した曝気槽(5 L)と沈殿槽(2 L)で構成される活性汚泥装置を用い、1台は貧毛類をパイル担体に50 g-wet付着させた試験系とし、もう1台は貧毛類を付着させない対照系とした。物質収支の評価のため、14日間のリアクター運転を13回繰り返した。8回の低負荷条件(140 mgTOC/L・d)の運転では、汚泥量は減少し、正味の汚泥収率は、対照系は-1.50~-0.28 gVS/gTOC、試験系は-2.45~-1.45 gVS/gTOCとなった。5回の高負荷条件(420 mgTOC/L・d)の運転では、余剰汚泥が発生したが、正味の汚泥収率は、対照系は0.31~0.62 gVS/gTOC、試験系は0.07~0.56 gVS/gTOCとなり、理論汚泥収率の典型値1.46 gVS/gTOCのわずか4~42%であった。貧毛類の導入による処理水質への悪影響は認められず、合成下水中の有機物は十分に除去された。優占種であるウスベニイトミミズは、約190日間、パイル担体の中で繁殖力を維持して生存した。担体から回収されたウスベニイトミミズは、平板培地上で卵包を産み、1個当たり幼生が5~9匹孵化し、孵化に9~18日、体長15 mmに達するまでに32~60日を要した。効率的かつ安定な運用方法の解明によって、パイル担体活性汚泥法は下水汚泥の処理問題の解決に貢献することができるものと期待される。

  • 関藤 良子, Le Van Chieu, 立田 真文, 瀧本 裕士
    原稿種別: 報文
    2021 年 57 巻 3 号 p. 55-65
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル フリー

     かさ比重が小さいもみ殻は嵩張るために、その扱い方が極めて制限される。例えば燃料として長距離を運ぶには非常に不利である。そのために、もみ殻は、特に燃料として利用される時には、運搬し易いようにペレット状や棒状に成型される。しかし、成型の工程により、もみ殻に含有されるシリカ(SiO2)の物性が、燃焼灰をシリカ肥料としての利用を考えた場合、どのように影響するのかを研究されたことは今までにない。よって、この実験では、成型の工程がどのようにもみ殻シリカの物性に影響するのかを、もみ殻燃焼灰中のシリカの溶解性と工業分析(固定炭素分、揮発性分、灰分、水分の測定)によって検証した。今回、もみ殻はペレット状と棒状に成型したものと無成型のものを比較した。結果から、家庭用のストーブにこれらを利用する場合、シリカの結晶化の危険性を考慮したとき、ペレット状成型より、棒状成型の方が、成型の形として良いことが判明した。また、無成型のもみ殻を燃料として燃焼させた方が、棒状燃料よりも、肥料としての価値は高くなることも判明し、成型の工程がもみ殻シリカの肥料化には負の影響があることがわかった。今回の実験結果から、もみ殻を燃料として利用し、その燃焼灰をシリカ肥料として利用する場合、成型すべきか、そのままの状態で利用するのかを議論することは、ステイクホルダー(米生産関係者)にとって非常に重要なことであることがわかる。

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