本稿は3月16日, 紙パルプ会館において日本ユーエスマシナリー (株) のもとに行なわれたナッシュインターナショナル社 (ドイツ) 販売部長J.D.フレゲル氏の講演及び質疑の内容を集録したものである。
従来, 抄紙機用真空装置の採用に当って, 所要真空度と所要風量 (経験値) に基き, 単に消費動力, 据付面積などが主たる採用基準となっており, 常時変動する抄造上の諸々の条件などは顧みられず, また現場操業面では運転真空度の安定のみが配慮されているのが現実のようである。
本稿では, このような抄造上の変動要因をとらえ, 研究資料を交えながら, これらの条件変化に対して真空装置としてどう対応していくべきか, またどのような真空装置が最も順応性に富んでいるか説明している。
まず, 典型的なナッシュ真空装置の例をあげ, 復数の真空ポンプを採用した設備がいかに柔軟性に富み, 且つ信頼性を備えているかを説明する。
二番目には坪量, 叩解度, ストック温度及び抄速などの変動要因それぞれに対し, 主として定真空型真空装置と定容積可変真空装置の違いを説明し, 更にこれらの変動要因によりもたらされる脱水性向の変化を補正するのに定容積可変真空装置が理想的であることを併せ説明する。
三番目にはフェルトの使用経過に応じて変化する通気度に触れ, 真空が自動的に順応して上昇することでプレスやピックアップの運転を一定に保つことが出来ることを説明する。
所要動力については理論的風量でなく, 現実の飽和空気の風量 (m
3/min) 当りの消費動力につき三種の真空装置を比較している。
最後に騒音につき実用的なヒントを示しながら説明している。
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