ブレード走行性の観点から, 特に双方の塗工時間間隔 (遅延時間) が極めて短い間に1次ウェットコート上に塗工される2次コートに関して, ウェットオンウェットのダブルブレードコートが研究された。加えて, ウェットオンウェットのダブルコート紙の物性, 繊維被覆性, コート層の平滑度と光沢度が研究された。パドルタイプとインバーテッドタイプの二つが装着されたパッキングロールを使用して, ウェットオンウェットのダブルブレードコートがパイロットコータで研究された。
[訳注 : パドル (ポンド) タイプのブレードコータでは, その機構上ブレードはパッキングロールの原紙入口側に下向きに装着される。一方, フラデッドニップ, ファウンテン, ショートドウェエルタイプでは, 原紙出口側に上向きに (逆転して, inverted) 装着される。]
約0.1秒レンジの短時間の塗工時間間隔のもとにおいてもブレード走行性は正常であることが判明した。ウェットオンウェットのダブルコート紙の物性は, その対照物であるシングルコート紙よりもかなり良く, ウェットオンドライコート紙に近いものであった。
[訳注 : 通常のダブルコート紙は, ウェットオンドライコート紙であり, アンダーコートの後, 一旦乾燥され改めてトップコートされる。ダブルコートの方式はその塗工設備によっても分類され, アンダーコートがゲートロールコートでトップコートがブレードコートの場合はブレードオンゲートロールコートであり, アンダーおよびトップコートの両者がブレードコートの場合はブレードオンブレードである。本稿の場合はブレードオンブレード (ダブルブレード) のウェットオンウェットコート方式となる。本稿では一部, ウェットオンウェットのエアナイフオンブレードコートについても述べられている。]
ウェットオンウェットのダブルブレードコート紙のユニークな特徴は, 1次コート塗料のブレード先端での脱水と, その結果引き起こされる急速な不動化によるものである。その不動化は, 原紙の表面不均一性と細孔を充填することにより表面粗さを最少にし, より吸水性が低く, より平滑な表面を引き続く二次コートに対し提供する。本稿ではダブルコートに対する動機と背景を本研究の結果とともに報告する。また, 今後の研究のための将来の計画についても述べられている。
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