TAPPIの年次大会 ('94年2月28日~3月2日) に出席する機会を得たので, その概要を紹介する。
アトランタは歴史的に交通の要衝として発展してきた。南北戦争の際にも, 南軍の輸送の要であったため北軍の総攻撃を受け炎上した。その後も経済の交流の中心として発展を続けている。
会場のGeorgia World Congress Centreはダウン・タウンから歩けるくらいの距離で, そこに巨大な会議・展示場をもっている。そこで大きな会議が年間をとおして絶え間なく行われておりアトランタの繁栄の基にもなっている。
TAPPIの年次大会は2年毎に開催される。以前は技術的な発表も行われたが, それらが別の技術会議 (Pulping Conference, Papermakers Conference, Coating Conference等) に引き継がれたので, 年次大会は経営的・経済的な問題を中心に講演が行われるとともに, 経営者・管理職の交流をはかるのが目的になっている。併せてサプライヤーの大展示会が開かれ, 製品・技術の紹介が行われる。このため, 大勢の入々が集まり2年に1度のお祭となっている。今回の展示の大きさは, 晴海の展示場2つを併せたくらいの規模で, 各サプライヤーが大きなブースを構え熱心に説明を行っていた。
今回の講演の主要テーマの1つが “Gaining the Competitive Edge in a Global Marketplace” で, 国際競争力が大きな関心となっている。北欧と日本がその対象との認識で, 今後の対日圧力が予想される。State of the Industry (Part 1) で新王子製紙 (株) の河毛会長がアジアの現状を紹介され聴衆の関心を集められた。
もう1つのテーマが環境問題で, 漂白技術及び低排水工場 (The Low Effluent Mill) であった。
アメリカ製紙産業の目下の最大の関心がこの2つのテーマと言ってよい。
TAPPIの年次大会には主要各国の技術協会からも参加があり, 国際交流の成果をあげている。今回もカナダ, スウェーデン, フインランド, ドイツ, イギリス, メキシコ及び日本から集まり交流を深めた。
以下, 講演の要旨を紹介するが, 国際問題及び政府の政策に関する部分を第1部に, 環境に関する部分を第2部にまとめる。
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