紙パ技協誌
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50 巻, 12 号
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  • 大庭 諭
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1685-1686
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 西岡 利恭
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1687-1701
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    高速ブレード塗工に用いられる塗工液に関して概説した。
    本報の前半部分では, これから塗料配合の開発に従事されようとしている方々やレオロジーにあまりなじみのない方々のために, 塗工液の流動特性を考える上で必要と思われるレオロジー基礎概念, ニュートン流動と粘性係数, 非ニュートン流動の見掛け粘度と典型的な流動曲線, チキソトロピーとダイラタンシーの定義, 動的粘弾性などについて定性的にできるだけわかりやすく解説した。また, 粘性係数や流動曲線の測定についてもごく簡単に解説した。
    また, 後半部分では, 塗工紙の製造現場で日々ご活躍されている方々やこれまで塗料配合の開発に従事されてきた方々にも参考にして頂けるべく, 最近の実験データを中心に, 塗工液の基本的な配合処方, 塗工液を構成する各要素の流動特性, 一般的な塗工液の流動特性とその解釈, 塗工液の流動特性, 保水性, 機械的安定性, 動的粘弾性などに影響する配合処方上の要因について解説した。
  • 若年 弘人, 三甫 洋司
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1702-1707
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ブレードコータは高品質の塗工紙を高速度で生産できるため, これまでに目覚しい発展をとげてきた。しかし近年近隣国の塗工紙生産技術の追い上げも厳しく, 我国の塗工紙生産の技術動向としてはブレードコータの高速 (1,500m/min以上) および広幅 (5,000mm以上) 化による量産化と高生産効率化が急務となっている。しかし一方では, 量産化 (高速化) が進むにつれて従来の塗工紙品質を維持していくことは益々困難となることは避けられず, 生産及びマシン運転技術の向上と塗工設備の高性能化が重要な課題となってきた。
    本報は, 代表的なブレードコーターの種類, 塗工量制御の機構とパラメーターを示しつつ, ブレードコータの高速広幅化に対応する塗工設備と技術について紹介するものである。
  • 給液システムの種類と特徴, ブレード計量の原理と機能
    森田 博文
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1708-1714
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    近年ブレードコータは高速, 広幅化が進みコータヘッドには数々の改良が加えられてきた。ブレードコータは塗料を塗工する給液システムと塗料をかき落とすブレード計量システムに分けられ, それぞれが塗工品質に大きな影響を与える。給液システムは, 塗料を流れ方向, 幅方向に均一に塗工することが重要であり, 高速塗工用としてはジェットファウンテン方式が多く採用されている。ブレード計量システムは, ブレードの押圧を広範囲に精度良く調整でき, さらに紙に対する接触角度を一定に保つことが重要である。また, 幅方向の塗工プロファイルも安定させることも重要である。
    本報文では,
    (1) ジェットファウンテン方式, チャンバー方式, ロール方式の各給液システムを紹介し, その特徴についてまとめた。
    (2) 塗工中にブレードに作用する力を理論的に解析し, 高速塗工時にブレード計量システムに求められる機能について多方面から考察した。
  • ジョージ ケナード, 大塚 進司
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1715-1721
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    コーターマシーン運転速度の高速化に伴い, ガス赤外線ドライヤーの必要性が認識され, また実際に近年の高速コーターには, ほとんど全てガス赤外線ドライヤーが使用されている。従来のエアードライヤー及びシリンダードライヤーのみでは, コーターの高速化に伴い, 全体長も必然的に長くなってくる。ガス赤外線ドライヤーは, エアードライヤー, シリンダードライヤーに比べ高いエネルギー密度を持つため, 全長を押さえることができる。塗料の乾燥を全てガス赤外線ドライヤーで行っている例もある。
    また, バインダーマイグレーションによって生じるモットリングを防ぐ効果もある。バインダーマイグレーションは, 塗料が原紙に塗布された瞬間から始まる。これは, 塗料濃度がゲルポイント (約76%固形分濃度) に達するまで続く。高いエネルギー密度を持つガス赤外線ドライヤーをコーターヘッド直後に使用し, 出来るだけ早くゲルポイントに達することにより, モットリングの問題を防ぐことができる。
    また, 高速メータリングサイズプレス後でのガス赤外線ドライヤーとエアーターンの組合せによって, シリンダードライヤー上への塗料の付着を防ぐ方法がポピュラーになってきている。やはり, ガス赤外線ドライヤーが高い乾燥能力を持つが故に, 有効な手段といえる。
    今後, 高速コーター, 高速メータリングサイズプレス後のガス赤外線ドライヤーの使用が増えていくと思われる。
  • 石塚 克己
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1722-1724
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    コーターヘッドと同様にドライヤーは製品の品質に大きな影響を与える。
    近年の塗工設備の高速化, 広幅化に対応して乾燥部は, 赤外線ドライヤー, エアドライヤー, シリンダードライヤーの組み合わせにより乾燥部の最適化を目指している。
    エアドライヤーについて考えてみると, 幅方向の均一乾燥および塗工紙の安定搬送のために, エアノズルは幅方向に均一で安定したエアの吹きだし方向を得られる形状のものの採用, またドライヤー内のヘッダおよび戻りダクトの形状, 大きさ, 配置の考慮が必要である。
    乾燥能力は, 熱風の風速, 風温をあげることで増加させられるが, 製品によってまた他のドライヤーとの組合わせにより, エアドライヤーの風温を高くすることができる場合に風温を高くする対策として, ガス, 熱媒等の採用を検討してはいかがであろうか。
    設備の大型化にともない, 乾燥効率を良くする (省エネ) ためには, 従来以上のきめの細かさで排気風量をコントロールすることが効果的である。
  • 若年 弘人, 三浦 洋司
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1725-1730
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    一般に, 印刷用塗工紙の乾燥は各種の特色をもつ設備 (赤外線ドライヤ, エアドライヤー及びシリンダードライヤ等) が組み合され, 乾燥品質と乾燥効率の最適化をめざしたシステムで構成されている。
    塗工紙の乾燥工程は, 水の移動時に生じる力とその方向が, バインダーマイグレーションに強く影響し, バインダー分布は塗工紙の品質を支配する重要な因子であることから, コータの各プロセスの中でも塗工に匹敵する重要な工程の一つである。
    本報は塗工紙の乾燥プロセスの中で, 通常大半の水を脱水するために供しているエアドライヤ (三菱ーサーモエレクトロンフロータドライヤ) の構造と特長について紹介する。
  • 住友-バルメットのソフトカレンダ
    結城 幸一
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1731-1737
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    カレンダリングは, 紙の仕上げ工程において印刷適性の向上を図るため, 紙に平滑性及び光沢を与えることを目的としているが, 従来は一般的にスーパーカレンダまたはマシンカレンダで行われてきた。しかし近年の抄紙機及び塗工ラインの高速化, 効率化及び紙の品質の高級化に伴い, ソフトカレンダによるカレンダリングが採用されつつある。この方式では, 紙がニップ点を通過する際に, ソフトカバーが変形するため, 紙の緊度を一定にする。これにより紙の繊維を破断することが少なく紙の強度を低下させない。また, ホットロールによって紙表面のソフト化が実現でき, 必要な平滑および光沢を得ることが出来る。さらにソフトカレンダは, オンマシンに適用できることから, その運転効率についても注目されている。
    本報文では, 生産する紙の品種に対する機械的コンセプトの違いとその適用について, またソフトカレンダの機械的設計上のポイントに焦点を当て, その構造と機能についてまとめてみた。
  • スベンカ ピーター (博士), 小野 豪臣
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1738-1747
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    最近, 抄紙機オンラインでのソフトカレンダーは, 塗工紙を初め, 新聞用紙, 板紙等種々の品質管理に適用され, 大きな広がりを見せている。
    このソフトカレンダーの普及には, 弾性カバー材, 及び機械エンジニアリング, とりわけクラウン可変ロールとその制御システム分野の発展が大いに寄与しており, 現在その使用範囲はロール表面温度200℃, ニップ圧 350kg/ cm まで可能になっている。この高温, 高ニップソフトカレンダーの効果としては, 紙の印刷適性が向上するだけでなく, 少数ニップ (2~4Nip) で従来スーパーカレンダーでのみにしか達成できなかった品質水準まで到達してるといえる。
    高温, 高ニップソフトカレンダーを安定的に稼働するには, その装置を構成する各要素に次のような細心の設計的配慮が必要となる。
    (1) 振動の出ないフレーム構造。
    (2) ロール表面温度が均一でしかも精度を確保されたヒートロール材質, 及び構造。
    (3) 弾性カバー材を保護し, 再研磨同期を延す為の各装置と制御。
    また, ソフトカレンダーには製品の均一性, いわゆる, グロス, キャリパープロファイルを均一にする機能も要求され, 従来のロール表面温度を変化させ, プロファイル修正を行うアクチューターに代り, ロール本体にキャリパープロファイル機能を付加した新型ゾーンコントロール (マルチハイドロバリオ) 等, 最新のソフトカレンダー装置について紹介する。
  • 神宮路 正
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1748-1756
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    抄紙機, 塗工機の高速化の流れの中で, 従来型スーパーカレンダーの省力化, 操業効率の改善にポイントをおいて具体的な解決策を紹介する。
    一般にスーパーカレンダーの操業効率は65~70%と低い状態にある。
    生産能力を拡大させるためには, 弾性ロールの寿命に大きく影響を与える操業速度を最高に上げることよりも操業効率を改善することが正しい解決法である。スーパーカレンダーの操業を低下させている要因を具体的に抽出するため, 生産現場において1ケ月間にわたりデータ収集を行った。
    その結果, 阻害要因の改善 (自動化) により, 約20%の効率アップが可能であることが判明した。具体的な方策としては, アンワインダーおよびワインダーでの自動スプライス装置の装備, 弾性ロールのトレーニングおよび交換作業の自動化である。
    この改善と平行して, 省力化対策のポイントとしてレイアウトがある。国内に設備されているスーパーカレンダーは, 大部分がC型であるが問題が有る。最近開発されすでに実機に採用されている U 型については, 設備上の制約がなければ検討に値するものである。
    今後のスーパーカレンダーとしては弾性ロールの材質を樹脂系材に替え, 金属ロールの加熱温度も100℃以上に上げることでスピードアップをはかる方法も選択肢の1つとして考えられる。この場合, ロールの段数を自由に選択できるシステムと合わせて対応することで応用範囲がさらに拡大する。
  • 高岸 久和, 中山 恵次
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1757-1762
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    長寿命化を目的とし, 先端にクロムめっきを施し硬度を上げたブレードは, 耐摩耗性がよいために初期においてバッキングロールとの馴染みが悪く, 塗工ムラやストリークを呈していた。したがって, これらブレードをいかに早くバッキングロールに馴染ませることが最重要項目となる。当社はブレード加圧の際それによって自然に形成されるバッキングロールセルのたわみに着眼し, 初期馴染みが早期に解決される様な形状を確保したマイクロキャンバー型クロムめっき被覆ブレードの開発を行った。それはバッキングロールに関する諸条件及びそのコーターでの加圧機構の特異特性を調査し, そのコーターに特有なたわみ, すなわちキャンバーをミクロン単位で解析し, その形状に沿ってクロムめっきを被覆させることである。これにより, 初期馴染みがよく, 歩留りが著しく改善され, かつ従来のSK材と比べ長寿命なコーターブレードが完成された。また, 被覆したクロムめっき皮膜の高硬度, 緻密性にともない, 従来のブレードでは得られなかった高塗工品質も期待できる。
  • YCRの基本性能および今後の高速マシンへの対応
    中山 健次郎, 渡辺 篤雄
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1763-1768
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    当社YCRロールは, ソフトカレンダーおよびスーパーカレンダー用の樹脂ロールとして開発された。開発当初は, 材質の耐熱, 耐圧走行性等の不足によるロール破損も発生したが, 今日ではこれらの問題はほとんど解決した。現在すでにソフトニップカレンダーは勿論のこと, スーパーカレンダーに於いても全段にYCRロールを適用する動きが出てくる状況になっている。また, ソフトニップカンレダーの今後の動向としては, ソフトニップカレンダーとスーパーカレンダーの各々の長所を合わせ持つと言われるJANUS-conceptおよびOPTI LOAD-conceptがでてきている。これらは, 従来のマシンに比較して, より高速, 高温, 高荷重での稼動を行う設計になっている。これらの動きに対して, 当社は新材質の開発・改良により, YCR6000を準備した。また, YCR6000は, JANUS-conceptおよびOPTILOAD-conceptのみではなく, 高温・高荷重のポジションを有する可能性のある従来のスーパーカレンダーに対しても適用は可能である。
  • 将来を展望した素材の設計について
    山田 和夫
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1769-1774
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    日本国内ではすでに30台以上のソフトニップカレンダーが運転されている。ここ2, 3年以内に5台以上のソフトカンレダーの新設が予定されており, 今後急速に増加すると予測されている。
    カバー材質の開発も進められており, 初期, 硬質ゴムを使用していたが, 現在では樹脂製ロールが使用されている。初期には, 使用中にかなり問題が発生していたが, 現在ではほぼ満足されて使用されている。
    しかし, 今後, より高級紙でのソフトカレンダー処理が始まると, カレンダー処理条件は過酷になり (例 使用温度200℃, スピード1,800m/min), カレンダー一も大型化すると, 現在のカバー材質では使用できない場合も予測される。
    ここでは, 現在ソフトカレンダーに使用されている材質の紹介と同時に, 今後開発される耐熱・耐高速回転・耐圧新ロールの開発現況について報告する。
  • コーターにおける塗工量制御とソフトカレンダにおけるキャリパ制御
    朝賀 眞
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1775-1782
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    大型塗工マシンが増加している昨今, 塗工プロセスでの製品品質向上と原価削減への取り組みが進んでおり, 人手による調節操作では, 品質的にも生産効率でも限界となってきている。コータ・ブレードの自動制御, ソフトニップ・カレンダでのキャリパ制御, スーパーカレンダでのグロスの向上等, 新たな制御の導入が進んでいる。
    塗工量の幅方向制御では, 塗工量の変動を早く正しく測定することが重要であり, そのため, 塗工量センサが開発されている。塗工量計を使用したブレード制御の実績も多くなっている。ソフトニップカレンダのキャリパ幅方向制御は, 冷熱風方式のアクチュエーターによるキャリパ制御導入が増加しており, その制御性や保守性で高い評価を得ている。スーパーカレンダでは, グロスの向上を目的に蒸気噴霧アクチュエータの取付けが増えており, 紙品質に問題を与えない安全性の高いものが実用化している。これら塗工紙関係の測定/制御について, 塗工量測定と制御, ソフトニップ・カレンダでのキャリパ制御, グロス制御アクチュエータの概要, および幅方向制御信号の処理技術について紹介する。
  • 塗工・仕上げ工程における計測と制御の新技術紹介
    中村 哲
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1783-1793
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    近年, 塗工及び仕上げ工程の生産設備は, 高速・効率化に加え, 高品質に応えるべく新技術が紹介されており, 各ユーザーにおいては, 生産する製品に適した特色ある設備の新設及び改造を行っている。この塗工仕上げ工程の多様化に伴い, 計測制御に対しても従来の塗工量の計測に加え, 新方式の塗工量計測法や, 厚み, 光沢度, 表面性 (平滑) の計測の要求が増加したばかりでなく, 制御も, 塗工量, 厚み, 光沢度等, 幅方向制御の実施を多くのユーザーが検討している。
    そこで, 本報では最近の塗工と仕上げ工程における計測と制御技術と題し, 次の項目について紹介する。
    (1) 先進の塗工技術-ACT (アドバンスド・コーティング・テクノロジー)
    ・赤外線塗工量センサの有用性
    ・幅方向塗工量制御の効果及びアクチュエータ/プロコート
    ・乾燥最適化制御
    (2) 先進の仕上げ技術-AFT (アドバンスド・フィニッシング・テクノロジー)
    ・仕上げ工程のセンサ, 光沢度センサ/表面性センサ
    ・ソフトカレンダの制御アクチュエータ (高出力誘導加熱方式/キャルコイル)
    ・スーパーカレンダの制御アクチュエータ, グロストロール
  • 伊藤 通弘
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1794-1795
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 山田 まゆみ, 中野 準三, 種田 英孝
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1796-1805
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    前報 [本誌49 (12), 114 (1995)] では23種類のフェノールカルボン酸を選択し, その化学構造が抗菌活性に及ぼす影響を調べた。
    本報では, 種々の条件下でアルカリ処理した改質チオリグニンの抗菌活性を検討した。結果を以下に総括する。なお, 未処理のチオリグニンは抗菌活性を示さない。
    (1) 改質チオリグニンの抗菌活性は, 微生物の種類によって著しく異なる。
    (2) 改質チオリグニンのエタノール可溶部は抗菌活性を示す。しかし, Aspegilluss nigerに対しては不活性である。
    (3) 実験範囲内では, アルカリ溶融したチオリグニンの活性が最も高い。
    (4) 抗菌活性は改質チオリグニンの添加量を増すと一定量までは増加するが, その後は増加しない。
    (5) アルカリ処理によって, チオリグニンのカルボキシル基は増加する。C-13NMR法により, アルカリ処理によってフェノールカルボン酸型構造が生成することを結論した。
  • 木材腐朽菌によるバイオレメディエーション (I)
    橘 燦郎, 大川 浩樹, 伊藤 和貴, 沖 妙, 平林 達也
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1806-1815
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    色素, Remazol brilliant blue R を指標として, 天然からこの色素を脱色できる能力 (リグニン分解能) を有する菌をスクリーニングした。その結果, 195種の試料から色素の脱色能を有する23種の菌を選抜できた。それらの菌の中でも, 563菌, V1 菌と V2 菌の3種類の菌は高い色素脱色能を有していた。スクリーニングにより得た色素脱色能の強い3種の菌 (563, V1, V2) とリグニン分解能を有する3種の木材腐朽菌 (P. chrysosporium C.uersicolor F.solani) を用いて, 2, 7-ジクロロジベンゾーp-ダイオキシン (2, 7-DCDD) の微生物分解を行った。 6 種の菌は 24.1%~ 83.1% の2, 7-DCDDを分解した。2, 7-DCDD を 1.25mM 添加した場合, 最高の分解率は15日培養では V2 の61.8% であり, 30日培養では P. chrysosprium の65.8%であった。また, 0.25mM の2, 7-DCDD を添加した場合, 最高の分解率は15日培養では V2 の 83.1% であり, 30日培養では V2の 79.7% であった。また, 2, 7-DCDD は培養中に一部菌体に取り込まれた。 2, 7-DCDD の分解率は6種の菌からの菌体外粗酵素液中のリグニンペルオキシダーゼ活性が高くなる程高くなった。
  • 抄紙機のプレスパートにおけるプレスロール洗浄装置
    大地 義雄
    1996 年 50 巻 12 号 p. 1816-1819
    発行日: 1996/12/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
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