日本経済の進展と共に過去四半世紀において包装資材・容器の出荷量は約倍増, 出荷金額においては約5倍増となっている。平成4年の出荷金額は6兆7,200億円で紙・板紙製資材・容器はその44% を占め段ボールが24%, 紙器が12%ついで包装紙、製袋原紙5%となっている。
包装の形態としては, プラスチックの利用増, バリヤー性樹脂の利用, 紙とフィルムの複合化, そして各種高機能化が図られ商品の保護機能, 便利性に関する諸機能, 販売促進機能は大きく伸展した。
しかし, 一方では包装資材・容器の環境に与える影響がクローズアップされ, 包装材料の減量化及び減容化, リサイクル性, 焼却性, 自然崩壊性等が商品設計の大きな要因として注目され, さらには包装資材が製造され, 使用され, 廃棄処理された後までの一連のライフサイクル環境に与える負荷も考慮され始めている。
紙・板紙容器素材の開発動向を特許出願から分析すると, 耐水性, 耐油性, 防湿性, 蒸着, ヒートシール性, ガスバリヤー性, 易開封性, 易滅菌性等は継続して研究されているテーマと言える。平成 3 年以降に出願の多い特性は, 防湿性, ヒートシール性のような物理的特性の他, 匂いの移行防止・保香性・味, 美粧性等の感性に関する機能, また易廃棄性, リサイクル性, 自然崩壊性, 脱アルミ等環境に関する特性があげられる。
今後, 容器・包装リサイクル法また消費者保護の立場に立つPL法などの法律がこれまで以上に包装設計に影響を与えるであろう。また各種の規制緩和と国際化が進む中, 物流形態は流動的で予想しきれない面が有るため柔軟な対応が求められよう。
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