紙パ技協誌
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50 巻, 7 号
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  • 亀田 利昭
    1996 年 50 巻 7 号 p. 967-991
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    平成8年2月15日, 16日の2日間, 北とぴあにおいて紙パルプ技術協会主催で開催された若手技術者を対象とした「パルプ基礎講座一クラフトパルプ」セミナーで, パルプ技術委員会委員により, 「日本のパルプ工場の課題」と題してパネルディスカッションが行われた。
    我が国のパルプ製造工場の現状~将来を展望した場合, 環境問題, 資源問題の技術的戦略課題から, 一方暴落, 急騰に見られるパルプ価格の不安定さ, 途上国の低コストパルプの急追に対するコスト競争力強化等, 技術者の果たすべき役割は大きい。
    各パネラーより, 環境問題に関する海外動向, パルプ製造技術の動向, 古紙処理技術, 海外原料戦略, パルプコスト比較, パルプ, チップ, エネルギーの需給動向, 等について各種資料に基づき説明があり, その後各論について討議を進め, 以下の課題が提起された。
    (1) 高収率化を目指した独自の技術開発への取組が必要。 (2) インドネシアの近代的設備, コスト競争力に対抗するための品質を含めた技術力強化。 (3) 植林への積極的参画と原料チップの樹種, 産地の多様化への対応。 (4) 非塩素漂白, 用水節減への取組 (ミニマム・インパクト・ミル) (5) 環境問題について外への情報発信。 (6) リサイクルを考慮した新製品の開発。
  • デポジット問題の基礎知識とスライムコントロール剤
    江草 清行
    1996 年 50 巻 7 号 p. 992-1005
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    最近の抄紙工程では生産性の向上, 取水性制限, 廃水規制, 省エネルギー等, を達成するために, クローズドシステムが導入されてきている。
    白水循環系では, クローズド化が進んでくると, デポジットの生成因子が濃縮され, デポジット問題が発生してくる。すなわち, 紙, パルプ産業をとりまく環境から, 今後もクローズド化は益々進むことにより, デポジット生成因子は複雑に絡みあってくる。
    しかしながら, このように多様化したデポジットの生成因子ではあるが, 分析機器の発達に伴って精度の高いデポジットの診断技術が確立されるようになってきた。また, この様な背景のもとに処理剤が開発され, デポジットの処理対策ができるようになってきた。
    そこで今回抄紙工程で多様化するデポジット問題の総合的処理の基礎とその処理技術の動向を解説してゆく。
    第1報はデポジットの基礎とデポジットの主原因であるスライム形成微生物とスライム問題処理対策について報告する。
  • 制御性向上のためのバルブ・ポジション・コントローラ
    本間 忠一
    1996 年 50 巻 7 号 p. 1006-1013
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    プロセス制御の向上について, 最近では直接プロセスに働きかけるコントロール弁の動きに目が向けられつつある。本誌は「より早く, より正確に」応じるマイコン搭載型のバルブ・ポジション・コントローラについて紹介する。
  • ピイター バイケマ
    1996 年 50 巻 7 号 p. 1014-1018
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    コンピューターなどの電子機器が, その爆発的な速度で普及している中, 紙を媒体にしない通信伝達手段が一般化し, 紙を使わない時代の到来を予言するものがあったが, 実際には, その印刷用紙の需要は国際的にも成長をし続けている。
    世界中の製紙工場は, この市場の拡大に合わせて, その生産能力の増強に努めている。このことは, 日本の製紙業界においても同様である。そして, 機械的な改造, 増設などを含め, その生産力の向上に努力しているようである。
    しかし, 日本の抄造工程においては, その生産性の一つのカギである, ウエットエンドケミストリーに関し, 十分な配慮が払われていないことが指摘できそうである。これは単純にその歩留まりや濾水性といったことに対応するだけでなく, 本質的なデポジット (汚れ) 対策や品質の向上, 総合的な生産性といった, 製紙抄造の根幹に係わる内容となるものである。
    本論では, このウエットエンドケミストリーの中で, 特に重要な工程内の電荷について, その原理, 測定方法, 工程管理への応用, 実例などに言及することで, 日本の製紙工場での, この分野の理解を高め, その生産力の増強に助力することを目的としている。
  • 超高圧ケーブル用絶縁紙の開発
    武 祐一郎
    1996 年 50 巻 7 号 p. 1019-1026
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    電気絶縁紙の誘電特性の改善が最初の大きなテーマであった。各種イオンの影響や水質, 酸洗浄などの研究により, イオン伝導に起因する高温部誘電正接改善の要因を把握し, さらに低温部の改善のため, ヘミセルロースやリグニンの影響などについて研究した。そして, 前加水分解法による脱ヘミセルロースパルプの製造とその抄紙技術を確立して目的を達成した。
    1958年頃, 154kV OFケーブルが大量に敷設されることになったが, 最初, 乾燥状態での機械特性で予期しないトラブルに直面したが, 誘電特性改善の目的で研究して失敗した青森トドマツパルプが危機を救った。
    275kVケーブル用絶縁紙は, このための専用機と純水装置を莫大な費用をかけて設置した。そして脱ヘミセルロースパルプを使用し, 低密度, 高気密度, 脱イオン水洗紙の製造に成功した。
    500kV用としては, 275kV用の紙の技術をさらにおし進め, 製紙技術の粋を集めて完成させた。 しかし, 木材パルプだけの紙では, これが限度であり, これ以上の要求には半合成絶縁紙で応えた。
    住友電工との共同研究で, 絶縁紙を良質のPPで押し出しラミネートする方法により, PPLPと称する半合成絶縁紙の開発に成功した。これは1,000kV用にも十分使用可能な材料である。PPに少量 PEを混入させてラミネートする技術は, 同じ頃, 英米でもケーブルのジョイント用として開発されていたが, 本絶縁を目的とし, 油浸の誘電特性の優れたPPだけを使用した半合成絶縁紙は世界で最初であり, 内外で注目されている。
    電気絶縁紙の技術開発の32年問の歩みをふりかえり, 成功の要因を挙げると次のようになる。
    (1) 優れた指導者との出会い (2) 良い協力者との出会い (3) 良い顧客 (会社, 公社) との出会い (4) 使命観 (5) 反骨精神と権威主義の否定 (6) 技術史観, 哲学, これによる先見性。
  • 伊藤 通弘
    1996 年 50 巻 7 号 p. 1027
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 中性条件での過マンガン酸カリウム漂白
    小島 康夫, 三浦 清, 寺沢 実, 横山 勉, 奥山 寛
    1996 年 50 巻 7 号 p. 1028-1035
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    過マンガン酸カリウム処理で得られるパルプの粘度低下を極力抑制する目的で, 過マンガン酸カリウム漂白を中性条件下で行い, 得られたパルプの化学的, 物理的性質を酸性条件で得られたパルプと比較した。
    過マンガン酸カリウム添加量で比較すれば, 中性条件での処理の方が酸性条件の処理よりも粘度の低下は抑制されたが, 同時にK価の減少も阻害された。K価と粘度の関係については, 中性条件と酸性条件で同じ関係曲線上に位置するパルプを与え, この点に関しては中性条件の利点は認められなかった。
    シート強度の比較では, 同一K価で比較しても中性条件の方が高い強度のパルプを与えた。また, 白色度の比較でも中性条件で得られたパルプの方が高い白色度を示した。
    中性条件で得られたパルプの漂白性を検討するため, 過マンガン酸カリウム処理後のパルプを, オゾン, 二酸化塩素, オゾン-二酸化塩素のシーケンスで漂白を行った。その結果, 過マンガン酸カリウム処理パルプはオゾン漂白で容易に白色度が増加し, 漂白性が優れていることを示した。二酸化塩素漂白でも高い白色度を与えるがオゾン漂白ほどではない。
  • 井上 浩朗, 井上 信一
    1996 年 50 巻 7 号 p. 1036-1041
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    一般的に紙の「つぶれ」 (厚さ方向の残留歪み) について, 非塗工紙 (新聞用紙等) の場合, 紙の含有水分が多くなると紙の圧縮率が高くなり, 逆に弾性回復率が小さくなると報告されている。一方, 圧縮には「つぶれ」の発生しない, すなわち低圧かつ短時間の圧縮もある。
    このような低圧かつ短時間の圧縮条件において, 塗工紙の圧縮試験を行った結果, 圧縮時と応力解放時の曲線がヒステリシスの挙動を示した.このヒステリシスが示す面積は, 含有水分量が変化すると同様に変化した。本研究では, 「つぶれ」の発生しない領域における塗工紙の含有水分と圧縮挙動について, ヒステリシスの面積に着目して検討を行った。ヒステリシスの面積の代表指標として, 「ヒステリシス歪み」を新たに定義し, 圧縮試験の結果を比較した。
    今回の実験範囲において, (1) 含有水分量の増加による塗工紙のヒステリシス歪みは直線的に増大し, 原紙のみの挙動とほぼ一致すること, (2) 塗工層での圧縮がほとんどおきていないこと, (3) 原紙層と比べると塗工層にほとんど水分が含有していないことを確認した。
    したがって, 塗工紙の含有水分とヒステリシス歪みに対して塗工層の影響がほとんどなく, 原紙層の影響下にあると考えられる。
  • 濱田 忠平, 宮原 利浩, 川崎 秀一
    1996 年 50 巻 7 号 p. 1042-1050
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    プリント配線板に用いられている紙フェノール積層板のフェノール樹脂の分布状態の分析法について検討を行った。紙フェノール積層板中のフェノール樹脂の分布は, 標識となる元素が含まれていないため分析が困難であった。
    今回は, 前報で報告した, 木材及びパルプ中のりグニンにオスミウムを付加して, その分布状態をEPMA で観察する方法を応用して, フェノール樹脂の分布状態を観察する方法について検討した。
    オスミウム酸は, フェノール樹脂に付加する処理時間は, プリプレグ (フェノール樹脂を紙に含浸して一次硬化させたもの) では48時間以上, 紙フェノール積層板では72時間以上を要した。この処理によって, オスミウムはプリプレグ及び紙フェノール積層板中のフェノール樹脂に選択的に付加することが示された。
    この方法により紙フェノール積層板断面のWDSカラーマップを低倍率で観察すると, 各層間でのフェノール樹脂の分布が明らかになった。更に, これを高倍率で観察すると, フェノール樹脂がパルプ繊維の周囲及びルーメン内で高く分布していることが明らかになった。
    また, 積層板製造時にフェノール樹脂と同時に含浸される難燃剤中の臭素原子を同時に検出することにより, それぞれの浸透挙動が異なっていることが明らかになった。
    今後は, プリプレグ及び紙フェノール積層板中のフェノール樹脂の分布状態が紙フェノール積層板の各種特性にどの様な影響を及ぼすかについて検討を行う予定である。
  • 1996 年 50 巻 7 号 p. 1051-1058
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 裕之, 田尻 公明
    1996 年 50 巻 7 号 p. 1059-1063
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
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