シート欠陥検査システムは, 1960年代に抄紙機, コータなど製紙工程で発生する穴, 汚れなどの欠陥を検査するために開発された。その後, 生産ラインの高速化, 大型化による生産性向上, 製品高品質要求に対応するため, 検査性能の向上, 機能の強化が継続しておこなわれてきている。
シート欠陥検査システムの推移は, 機能などから大きく4世代に分類でき, 第2慢代においてCCDの出現により現在使用されているカメラ方式, μCPUの出現によりデータ処理機能と操作性改善などが実現し, 現在の原型が確立した。さらに第3世代では, 欠陥録画システムによる欠陥のビジュアル化へと発展し, 現在システムとして欠陥情報と録画画像の一体化が実現し, 第4世代へと進化してきている。シート欠陥検査システムは, 人間と機械との調和を考慮しながら時代に適合した性能・機能と利用可能技術を積極的に取り込みながら進化してきた。また, 製紙工程での使われ方も欠陥の検査だけでなく, 欠陥録画画像により発生源への対応, 後工程での事前準備など生産性改善のツールとしてその重要性が高まってきている。
今後の動向としては
1) センシングにおいては, 人間による目視検査同様, モノクロ検査からカラー検査への発展。
2) 欠陥録画データの利用として, 人間の頭脳に相当する判断をおこなう欠陥種類覇別システムの実用化。
3) 急速に普及してきているIT革命のリモートメンテナンスなどへの活用
4) 映像信号の欠陥検査以外への利用などが予想され, 今後とも機械にできることは機械に任せ, 人間はより創造的な仕事ができるような形態で進化していくと予測される。
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