製紙業界では, 抄紙機の大型化, 品質の多様化により, 幅方向のプロファイルに対する要求が一段と厳しく, 大切になってきた。坪量の幅方向制御に関しては, 近年, ヘッドボックス濃度希釈方式が開発され, 目覚しい発展を遂げている。片や, コーターマシンにおける塗工量幅方向制御システムは, 古くから手動による幅方向の調整は行われていたものの, なかなか自動化にいたっていなかった。坪量の幅方向プロファイル制御のアクチュエーターを応用してやっと開発され, その後実機による操業が始まったのが1990年代の初期の頃である。坪量の幅方向制御システムと比べると, その技術革新の歴史はまだ浅いといえる。
コーターブレードの機能は, 紙面上に塗布された塗工液をMD (流れ), CD3 (幅) 方向に均一に分散, 保持させながら, より滑らかで安定した塗工層 (塗工膜) を紙面上に形成することにある。このために, 安定した応力をブレード上(あるいはブレード先端) に発生させ, また, 制御することが塗工量幅方向制御システムに必要とされるプロセスになる。しかし, 従来のブレード塗工ではブレードをしならせて (以後, ベンディングと称します) 使用するため, ブレード先端の角度が安定せず, 種々の問題を生じていた。
今回, 従来の方式とはまったく異なり, ブレードをベンディングさせない塗工量制御装置 (ABCホルダー) を導入したので, その概要と操業経験について報告する。
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