王子製紙富士工場は白板紙抄紙機N-2M/Cを建設し, 2001年10月より営業運転を開始した。
プロセス監視にDCSが採用されるようになって四半世紀, それは幾たびかの変遷を遂げてきたとは言え, 今なおプラントの運転監視システムの中核であることに変わりはない。しかしながら, 今やDCSはメーカによる性能の差異を述べることは極めて困難で, 個別の機能を比較してその優劣を論じることはもはや無意味である。
一方では, 中核をなすDCSに対し, 周辺に位置するQCS, 欠陥検出器等の特殊機器やPLCが統括するサブシステムもそれぞれに発展をとげ, それらが提供する情報は増える一方である。このことは, 省力化とあいまって一人のオペレータが把握すべき情報量が飛躍的に増大することを意味している。
このような認識のもと, 我々は従来の殻を破る一歩進んだ計装システムとして,
(1) DCSと種々のシステムをシームレスに結合, 協調させ, システム全体としての付加価値を高めること
(2) 多様かつ莫大な情報を, より効果的にストレスなくオペレータに提供すること
(3) 操業実績情報, 品質情報等を系内にとどめることなく, 後工程である仕上げシステムや上位の管理系システムへ提供し, 操業支援, 生産管理に役立てることをシステム・コンセプトとして具体的な検討に入った。
本稿ではN-2M/C及び周辺設備の運転監視システム構築にあたってのコンセプトをはじめとして, IT関連技術の適用を中心にN-2M/C計装システムの全体像を紹介する。
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