江津事業所は, 国内で唯一の亜硫酸法によるパルプを生産しており, 蒸解排液の濃縮前後の液を利用し, リグニン製品, 酵母・核酸の製造, パルプを原料としたCMC (カルボキシメチルセルロース), セルロースパウダーなどを生産し, 木材資源の完全有効利用を圏指している。
当事業所では, 昭和56年, 国内のパルプ工場として初めてメタン発酵 (嫌気性排水処理) 設備を導入した。しかし設備の運転開始から約20年が経過し, 事業所を取り巻く環境も変化するともに, 環境設備に関しても省エネ, 省資源, 高効率化が求められるようになり, 平成12年1月, 新たに高効率型のメタン発酵設備ICリアクタを導入した。
今回導入した高効率型メタン発酵設備は, 原水量などの排水負荷変動に強く, 安定した処理が可能であった。メタンガス発生量は平成13年度で310万Nm
3, 当事業所のエネルギーの2パーセントに相当し年間数千万円のコストメリットが得られた。また, 本設備導入により大幅な省力化にも繋がった。
今後は難分解性排水の処理についても検討し, パルプ生産能力改善ならびに環境対策に努めたい。
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