近年, 塗工紙への品質要求は多様化を極めており, 白紙光沢, 印刷光沢, 白色度, 不透明度, 嵩高に特徴のある塗工紙が次々と開発され, 上市されている。特に「印刷光沢」は塗工紙の品質を左右する最も重要な性能であり, 特にA3以上の塗工紙では品質のトレンドとなっている。
塗工紙の印刷光沢は, 印刷時のインキの開裂パターンの「生成」と「レベリング」が非常に重要である。インキ開裂パターンの「生成」には印刷条件である印刷スピード, 印圧, インキ量が影響していると考えられ, 「レベリング」はビヒクル (インキ中の樹脂と液体成分) の塗工層への浸透速度が大きく影響すると考えている。このビヒクルの浸透には, 塗工紙表面の平滑性, 塗工紙の空隙, 塗工層の化学的性質などが相互に影響し合っていると考えている。
我々は, ラテックスの種類を変えて, 得られた塗工紙のインクの浸透を1次浸透 (濡れ) と2次浸透 (吸収) に分け, 印刷光沢との関連について検討を行った。
検討の結果, ビヒクルとの濡れが良好で吸収が少ない塗工紙は, 印刷光沢の発現が良好という結果が得られた。印刷光沢の発現性を高めるためには, ビヒクルとの濡れを充分に考慮する必要がある。
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