ロータリプレスフィルタが日本に導入され, 巴工業株式会社で製造・販売を開始してから数年が経過し, 様々な処理物の実験データからその高い脱水性能が証明されている。また, 脱水性能の他に構造が簡単, 省スペース, 低動力, 洗浄水量が少ないなど, これまでの脱水機に比べて優れた特徴を有している。採用件数は年々増加し, 日本国内だけで製紙工場排水向けに8台, その他各種処理物向けには27台納入されており (2002年, 同誌投稿時の採用件数は14台), 今後も更に増加する見込みである。
今回, A製紙会社で稼動中のロータリプレスフィルタの処理性能を約1ヵ月間調査した。また, うち2日間で供給汚泥の性状とケーキ含水率の変動についても調査した。結果, ロータリプレスフィルタに以下に示すような優位性が確認できた。尚, 製紙排水汚泥の脱水データで, 実設備のものを公表するのは今回が初めてである。
1) ロータリプレスフィルタ, ベルトプレス及びスクリュープレスのケーキ含水率を約1ヵ月間測定した結果, ロータリプレスフィルタのケーキ含水率はその2機種に比べて常に低い値となり, 良好な処理が可能であることが判明した。また, ケーキ含水率の変動はロータリプレスフィルタが最も少ないということも判明した。
2) 約1ヵ月間の連続運転の中で2日間についてケーキ含水率測定の頻度を高くして時間による変動を調査した。また, 汚泥性状についても調査した。汚泥性状は調査した2日のうちで2日目の方が悪いと推定できる。ケーキ含水率の前日比はロータリプレスフィルタで2.2%, ベルトプレス脱水機で4.1%, スクリュープレス脱水機で3.5%と汚泥性状の悪化によるケーキ含水率の上昇はロータリプレスフィルタがもっとも小さいことが確認できた。
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