近年, 古紙再生技術は, パルパー, ファイバーフローなどの離解機, フィルターなど精選機, ディスパーザー, フローテーター, など設備面での進歩には目を見張るものがある。また, 各製紙工場では, これらの設備をより効率よく使うことに努力しており, 古紙の再生技術はめまぐるしく進歩している。
古紙再生薬剤のメーカーとして弊社は, 設備面の進歩に併せて, 開発, 改良を行い細かい技術を提供することで, 各製紙工場に対応してきた。今後もさらなる努力が必要である。
現在, 環境問題, パルプの不足, 高騰の懸念から, さらに古紙の利用率を上げる努力がされている。しかしながら, 最近の古紙事情は極めて厳しく, 古紙の供給に不安がある。そのため, 雑誌古紙などの再生に支障をきたす恐れのある古紙を原料として使用するケースが増加している。このような古紙の対応には, 極めて浸透性が高く, 離解性, ピッチ分散性の良好な脱墨剤が必要である。この問題に対応するため, 起泡作用, 浸透作用, 凝集作用 (吸着作用) など, 活性剤の作用をハイブリッド化することが有効な手段と考えられる。今回この脱墨剤について報告する。
さらに, インクなどの再付着防止, ピッチ凝集の抑制, 及び温度の変化など操業状況の変化による, 脱墨剤の活性剤としての機能への影響を緩和する効果を有する特殊なアニオン活性剤を開発するに至った。この脱墨助剤について報告する。
一般に, 古紙再生における過酸化水素漂白において, 過酸化水素安定剤として, 珪酸ソーダが使用されている。しかしながら, この珪酸ソーダは不溶化して堆積し, 漂白系内の設備汚れ, 配管の詰まり, 製品の異物付着など珪酸塩障害を発生させる。このような問題のない非珪酸系過酸化水素安定剤として特殊高分子化合物を使用することにより, 珪酸ソーダ以上に過酸化水素の安定効果が得られ, 漂白効果を向上し, 白色度の高い再生古紙が得られる。この非珪酸系過酸化水素安定剤についても報告する。
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