最近の紙業界のトレンドに嵩高紙がある。各製紙会社のホームページ等からは,書籍用紙を従来の10%から多いものでは20%も嵩高にしましたという宣伝がなされている。また,塗工紙においても10%の嵩高紙が流通してきている。
書籍の世界では,最近の本は文字数が少なくても紙厚みのある嵩高紙の使用で,読者は読後の満足感が得られるとか,厚みがあった方が豪勢にみえるということが嵩高紙利用のニーズと言われている。現在では出版全体の1/3が嵩高紙であり,新刊本では85%までその比率が高まっていると言われている。シューカレンダは,長いニップ通過時間と低いニップ面圧により,嵩高の対応に優れた特徴を有しており,三菱重工(株)もMJカレンダとして開発し,製紙会社のお客様とともに,その性能を確認してきている。操業性も2,000m/minで検証され,用具も開発段階から用具メーカと共同で開発された。
先駆的な導入をしてきたのはスエーデンのコルスナス社で,1994年に初号機を液体包装用板紙に,2000年にはカートンライナーのマシンに設置している。2005年までに,上記2台のほかに板紙4台,特殊紙1台と合計7台が世界で稼動もしくは稼動予定である。これらの工場でのメリットは,嵩高で原料パルプ使用量が少ない,剛度が高い,印刷のグロス変動が少ないなど様々に報告がなされている。
パイロットマシンでは,塗工板紙,液体包装用板紙,ライナー紙,A3塗工紙,A2塗工紙,上質紙,新聞紙など幅広いグレードのトライアルが行われ,MJカレンダの設置場所も各グレードで様々に検証試験が実施されてきた。嵩高紙の割合が高まっていく流れの中で,今まで以上にシューカレンダの活用が注目されてきている。
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