近年,古紙配合率,ブローク配合率の増大,中性紙化の進展,用水原単位の減少などにより,抄紙系内では炭酸カルシウムなどの無機物,ピッチやスライムなどの有機物が益々付着堆積しやすい環境となってきている。また,抄紙機の高速化,オンコーター化,製品の軽量化などにより,僅かな異物の混入や落下によっても欠点,断紙が発生しやすくなってきており,抄紙系内を清浄に維持する処理技術が求められている。
また,抄紙機の大型高速化,連続操業期間の延長に伴い,白水一次処理水やブローク貯留タンク内での無機物や有機物汚れの堆積が進行し,抄紙機の生産効率を向上させるためには,抄紙系だけでなく原料系,調成系,抄紙系,回収系を含めた全体の清浄化技術が必要とされている。
このような状況において,弊社は無機系スライムコントロール剤「ファジサイド®」の系内清浄化作用と,系内全体の清浄化度を把握するモニタリング技術とを組合せた清浄化処理技術を完成させた。その結果,連続操業期間中において系内全域を清浄に維持し,欠点や断紙を低減するだけでなく,操業期間を延長することを実現できた。
本報では,このファジサイド®の系内清浄化作用を用いた生産性向上の詳細について紹介する。
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