第1回で,紙パルプ産業の歴史,テーマ選定の背景及び基礎技術を簡単に解説し,第2回では,新聞用紙製造60年の変遷とその原料開発の歴史を紹介,第3回は抄紙機に見られる技術開発の歴史を述べた。第4回は,日本の製紙産業の技術開発の特徴を考察し,他国の製紙産業と比較した。
1960年に当時世界最大クラスの新聞用紙抄紙機が日本製紙釧路工場に建設された。その抄紙機は,大型化の進んだ現在でも中型・中速の抄紙機として,世界で最高水準の操業効率と最高水準の製品を生産している。第5回は,この抄紙機のほぼ50年の操業の記録をまとめることで,新聞用紙の技術開発を具体的な事実で示すことを試みる。さらに,この抄紙機の操業にかかわってきた元従業員の方々に集まっていただき座談会を持ち,技術開発の側面を紹介する。
最後に,このシリーズのまとめとして,新聞用紙製造技術の系統化を,図および年表にて示す。さらに,資料として技術年表(新聞用紙製造に関連ある技術が何年に日本製紙産業へ提供されたか)およびニュース年表(新聞用紙製造に関連あるニュースをニュース年表(紙パルプ技術協会作成)より抜粋)を掲載する。
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