紙パ技協誌
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67 巻, 9 号
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製紙技術特集 I
  • 小関 良樹
    2013 年 67 巻 9 号 p. 961
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
  • 中野 賢治
    2013 年 67 巻 9 号 p. 962-965
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    当工場においては,ビロマティック製の平判カッター(1990年製P1185DD―S,P1085DD―S)2台で上質紙,印刷用紙の平判断裁を行っている。クロスカット後のシートオーバーラップ部でのジャミング防止対策として,寸法替え時と直交替時にサクションボックスのシート吸着タイミングの調整を行っており,調整時の良品リジェクトに伴う歩留低下,製品山のシート飛出し部を除去するための選別作業費を要していた。そこで,画像処理装置を設置してロス軽減に取り組んだ。
    ジャミングを防止するために,今までは強制リジェクト操作にて一旦コンベアを停止してサクションタイミングを確認していたが,画像処理装置を設置したことにより,機械を停止せずに確認できるようになった。経緯と取り組み内容は本稿にて図表とともに説明している。
    結果として,リジェクト時に発生していた損紙ロスが解消し歩留向上につながった。
    また,強制リジェクト後に発生していたシート飛び出しの選別作業も解消することができた。
    1)強制リジェクト回数減少による歩留まり0.16%向上効果     6,160千円/年
    2)シート飛び出し選別作業費ゼロによる請負作業費減        3,820千円/年
                              効果合計  9,980千円/年
    本装置は特許を取得し,王子エンジニアリング(株)を製造元として他社への販売も展開し,現在,紙・パルプ業界の2社にて操業支援に役立てていただいている。
    システム構成がシンプルであり,既設システムとの信号の取り合いもないことから,比較的簡単に設置することができる。即効果も期待できることから,今後も積極的に展開していきたい。
  • ―カッター・平判自動包装機・スキッド包装機―
    筒井 重義
    2013 年 67 巻 9 号 p. 966-969
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    日本の製紙業界は国内需要の減退に伴い,国際競争力をつけて輸出に舵をとることが必須条件となってきている。北越紙精選でも北越紀州製紙の輸出増量戦略に呼応して,設備対応を図ってきた。中でも需要の多い輸出平判の処理設備強化を課題としている。
    本報では,輸出仕様に対応した最新平判処理設備の操業経験を報告する。
    輸出平判は,寸法が比較的小さな物が多く,断才効率が低下する。加えて海上輸送に耐える強固な包装形態が要求されるため,これらに対応する設備を選定している。
    具体的には,平成25年春に稼動したパサバン社製カッター2台,平成24年秋の丸石製作所製平判自動包装機および平成24年春のジェイテック社のスキッド包装機である。既存設備に比較して最新設備の進化した点を紹介する。
    また,各カッターメーカーのナイフローターの設計思想にかなり特徴があるので,これを比較して紹介する。尚,掲載図の開示は,各カッターメーカーより了解を得ている。
  • 戸張 勇
    2013 年 67 巻 9 号 p. 970-976
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    1913年以来,ディーネス社は,産業のスリッティング技術の分野で顕著な質,専門知識および突破口となる革新を示した。ディーネス社は,すべての関連業務のための有能なパートナーと同様にサーキュラーナイフ,ストレートナイフ,ナイフホルダーおよびスリッティングシステムの世界的な主要サプライヤーである。標準ナイフホルダーはしばしば変わる顧客必要条件を満たさず,特別な適用となる。
    ディーネス社のスリッティング研究所は,異なる種類のホルダーとナイフデザインで材料をテストカットし,長期性能,機能性およびユーザのための最良の解決策を決定する。
    現行の多くのスリッターについては,コスト削減と効率改善に関して大きな可能性があり最新の技術を最大限に用いることで実現可能である。ディーネス社は,新規のマシンやプラントと同様に既存マシンやプラントでも実施可能な総合的コンセプトのソリューションを提供する。
    本稿では,大きくシアカットナイフホルダーとポジショニングシステムの2項目に分けて詳しく説明する。
    最新のスリッティングシステムSIMU―FLASHを今後のディーネス社の主力商品として育てていくとともに顧客のニーズに適合した新しい商品,次々と開発される新しい素材を精度,品質良く,且つ効率的に切断するための研究と技術開発が望まれる。
  • 三沢 悦也, クリス ナットビーム
    2013 年 67 巻 9 号 p. 977-986
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    本稿では,2007年のピーク以降の世界およびアジアの紙市場の変化,ならびに顔料の需要および消費傾向やカラー配合への影響について調査を行い,また,近年のカラー配合にて減少傾向にあるカオリンが,如何に付加価値を与えることが可能であるかを検討した。
    過去5年間,製紙産業において根本的な顔料使用の変化によって,我々は欧米および日本といった成熟マーケットと中国をはじめとする新興国との間において,大きな分極化が進行していることを確認している。成熟マーケットでは需要が減少し,大規模な生産能力の削減が継続的に実施されている。反して,中国では新たな生産能力への投資が続いているため,供給過剰になることが考えられる。何れの場合も,製紙メーカーは最終的にコスト重視の政策へとシフトするであろう。
    上記の状況は,顔料の使用方法や研究開発に対して多大な影響を与えてきた。1990年から2000年にかけて急速に顔料開発が行われた後,今日ではそのスピードは鈍化し,一般的な顔料が選択されるようになった。ローカルな顔料のシェアが伸びるなか,原材料のみでなく紙製品の品質要求も低下した。よって,炭酸カルシウムの消費量は世界的に増加したのに対して,短期的なコスト削減の理由からカオリンは大きく減少した。
    しかし,カオリンは経済的なデメリットはあるが,製紙メーカーに対して付加価値を供与できる可能がある。炭酸カルシウムとは異なる粒子形状を持つカオリンは,紙・板紙において有効だと考える。高アスペクト比のカオリンを中心に多くの事例があり,主に光学的および物理的な被覆性の改善効果が上げられ,原紙設計に自由度を与えるものである。付加価値の追求は,単なるカオリンの置き換えでは測ることは無理であり,全般的な製紙工程において評価されるものであるため,成果を得るためには顔料メーカーと製紙メーカーとのコラボレーションが必要と考えている。
  • 中山 慎太郎, Patrik Simonson, Joakim Carlén, Michael Persson
    2013 年 67 巻 9 号 p. 987-990
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    パルプ価格が高騰するなか,製紙会社各社は紙中の填料レベルを上げることによりコスト削減を図るように日々検討している。
    紙中灰分率が上昇すると,隠ぺい性等の光学的性質に対してメリットが出ることが多いが,逆に紙力等の機械的性質は低下したり,また歩留まり維持が難しくなることがある。高填料紙のシートの強度低下の原因として,紙の単位体積あたりの繊維数の減少,および繊維間結合の形成に対する填料粒子による干渉と阻害,加えて紙面に欠点を生じるというリスクの存在が挙げられる。
    繊維原料コストの上昇以外にも,原料の品質低下は紙力向上剤の必要性を急速に増加させた。再生利用される紙・板紙の数量は増加しており,それゆえ急速にバージンパルプの使用が減少した。また紙・板紙両方の坪量低減が紙力低下を招くもう一つの要因となっており,効果の高い紙力剤の開発が強く求められている。紙・板紙産業のニーズに応えるために,弊社は引っ張り強度,Z軸強度でそれぞれに20%,30%の向上あるいは包装資材で10―15%の坪量低減を目標に定めている。
    紙中灰分率を上げて紙の品質の維持または向上を図るために,EcoFill™という新しいコンセプトが提案されている。EcoFillTMとは,填料改質システムで,電荷調整剤と特殊処理されたセルロース添加剤(ECA)を使用するオンラインの填料処理システムである。この特殊処理されたセルロース添加剤(ECA)によって,シート中の填料粒子間および填料粒子と繊維間の結合性が向上する。その結果,インターナルボンドが大幅に向上する。電荷調整剤は填料粒子と特殊処理されたセルロース添加剤(ECA)の結合を強化し,他のウェットエンド添加剤(サイズ剤など)の性能が最適化されるようにウェットエンドの状態を安定化する。
総説・資料
  • 北川 伸一
    2013 年 67 巻 9 号 p. 991-994
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    紙やフィルムの塗工層中に含まれる微量水分を測定する方法として,赤外線方式が一般的であるが,熱源などの外乱の影響もあり,1%以下の微量水分を精度良く測定することは難しい。また着色されている試料については,色の影響を受けて測定できない場合もある。
    このような問題に対応するために,独自のマイクロ波共振器を使用し,水と紙・フィルムなどとの誘電損失率の差を利用する全く新しい微量水分計を開発した。
    高精度微量水分計は,「僅かな水分でも測定可能」「高精度,長期安定性を実現」「色のついたサンプルも対応可能」などの特長を備えており,これらの特長を生かすことで次のような分野への応用が見込まれる。
    1)フィルム塗工(水系塗工)時の水分測定
    2)フィルム塗工(水系塗工)時の塗工層管理
    3)インクジェット印刷後の残留水分測定
    本稿では,微量水分計の測定原理を説明し,いくつかの測定データや応用が見込まれる上記分野を具体的に紹介する。
  • 池内 淳
    2013 年 67 巻 9 号 p. 995-999
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    今日,紙パルプ製品の出荷品質を担う欠陥検査装置(WIS)には,「高い出荷品質」と「高い生産性」の両立という大きな変革が求められている。オムロンは1992年から約20年に渡り,カラー検査の技術開発を推進してきた結果,現在はより多様な紙種へカラー検査の適用が可能になった。
    本稿ではカラー検査のWISがもたらす製造現場への価値(流出防止,歩留まり向上,不良原因の早期特定)を「品質コスト」という概念を用いて整理することで,改めてカラー検査の有用性を示す。
    さらにこれまでカラー検査の導入にあたり技術的課題であった,高速ラインへの適用,加・減速ラインへの適用,省スペース・多フレーム検査への適用についてそれらの解決事例を紹介する。
    最後にWISの将来展望として,カラー検査の要素であるRGBの3波長に加え,赤外線,紫外線,X線など第4の波長を統合処理する検査手法,および出荷品質の変化に応じた柔軟な検査システムの構築について提言する。
  • 大草 優子, 鈴木 裕之, 田口 千草
    2013 年 67 巻 9 号 p. 1000-1003
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    板紙では,省資源化やCO2削減の観点から軽量化(=薄物化)が進められているが,紙力強度を維持するために紙力剤などの薬品コストが増大する問題が生じている。
    板紙の主原料である段古紙には数%オーダーで澱粉が含まれており,段古紙とともに抄紙工程に持ち込まれた澱粉は,通常,微生物によって分解され排水処理工程へと流出している。これらの澱粉は新しい微生物コントロールの適用により分解を抑制することができても,水中に溶存した澱粉を製品に留めることができず活用されないままであった。
    本稿では,新たに開発した澱粉定着剤を用い,新微生物コントロールシステムとの併用効果について検証した。
    実機試験の結果,段古紙由来の澱粉分解を抑制し繊維に定着させることで,製品紙力が向上し,排水CODも低減できることが明らかとなった。
  • 小西 正彦
    2013 年 67 巻 9 号 p. 1004-1007
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    近年,多くの製紙工場は,有害生物対策の一環として工場内における昆虫類の発生量とその分布をモニタリングしている。粘着式ライトトラップは昆虫類のモニタリングにしばしば用いられている。一般的に,その捕虫紙は約1カ月ごとに交換され,捕獲された昆虫類は検査員によって計数および同定される。Pest Control Operator(PCO,有害生物制御事業者)は,このモニタリング結果に基づいて昆虫類を防除し,生産現場の衛生管理の維持,向上に取組んでいる。しかし,年々高まる消費者意識「安心・安全」を担保するために,PCOはより迅速で環境負荷の低い防除対策が必要となっている。今回,ニーズの高まりつつある迅速で環境負荷の低い防除対策の手法をいくつか紹介する。
    オンライン環境衛生システム「CXシステム」は,飛翔性昆虫や鼠族の捕獲状況を監視する機器を用いたシステムであり,問題発生をリアルタイムに把握できることから,問題改善の即対応と問題の最小限化の実現につながる。
    「生物危害リスク調査」は,複数の調査手法を用いることで建屋の持つ有害生物に対する防御力の診断につながる。建屋の有害生物に対する防御力を的確に把握することで,取組むべき防除活動の方向性について適切な設計を行うことができる。
    「ムースエコ防虫システム」は,省・少殺虫剤使用による有害生物防除手法を求められるケースから開発された。殺虫剤を含んでいなくても効果が上がる手法であり,環境にも配慮したシステムである。
    今回紹介する有害生物防除手法は,製紙工場を含む様々な製造工場で取組んでいるイカリ消毒オリジナルの手法である。
  • 2013 年 67 巻 9 号 p. 1008-1009
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
  • 山崎 利直, 川俣 洋史, 竹下 敦也
    2013 年 67 巻 9 号 p. 1010-1017
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    欧州において,一元的な特許制度の創設は,EUの歴史において最も困難な課題の一つとされ,40年以上に渡って議論が行われてきたが,2013年2月,欧州単一効特許(単一特許)を創設する2つの規則案と統一特許裁判所を創設する協定から構成される単一特許パッケージが最終的に成立した。
    2013年7月10日現在,28のEU加盟国のうち,単一特許の参加加盟国は,イタリア,スペイン,クロアチア(2013年7月にEU新規加盟)を除く25カ国,統一特許裁判所の協定署名国は,スペイン,ポーランド,クロアチアを除く25カ国であり,欧州各国は,早期の運用開始を目指して,国内批准手続等を進めている。
    単一特許は,国内特許の権利の束とも称される既存の「欧州特許」と同様に,欧州特許庁において出願から審査の手続を行うものであるが,単一特許参加国において単一的保護を与える点において大きく異なり,出願人の翻訳負担の軽減も期待されている。
    統一特許裁判所は,新たな条約に基づいて創設される特許訴訟専門の裁判所であり,既存の欧州特許と単一特許の両方について,侵害訴訟や特許取消訴訟を管轄する。第一審裁判所と控訴裁判所の二審制により構成され,第一審裁判所は,主に侵害訴訟を取扱う地方部/地域部,及び,主に特許取消訴訟を取扱う中央部からなる。
    単一特許と統一特許裁判所の実現によって,一元的な権利取得と権利行使が可能となり,手続や費用の緩和が期待される一方,欧州においては,各国への個別出願,既存の欧州特許,単一特許という3つの出願ルートが併存することとなるため,欧州でビジネスを展開する上で,目的に応じてこれらの出願ルートを選択することが必要となる。
  • 2013 年 67 巻 9 号 p. 1018-1024
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    Nomurashoji was established in 1962, and have been chiefly handling the various testing equipment and tools, to be used for the quality improvement for the pulp and paper industry in Japan over half a century.
    Our basic business strategy has been to provide not only the equipment itself but also extend the technical assistance including follow up service after the delivery is completed.
    As the market environment of pulp and paper industry in Japan has been dramatically changed for the past decade, we endeavored to identify the market needs and made the necessary information available in the overseas countries for our customers.
    We now would like to introduce ourselves with the brief company history and the current products line as below.
研究報文
  • Kengo Magara, Tsutomu Ikeda
    2013 年 67 巻 9 号 p. 1026-1031
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    Mannitol is a well-known radical trapping reagent, though the trapping effect is difficult to confirm in a Fenton reaction. Under acidic conditions, mannitol was consumed during the Fenton reaction, as well as other substrates, such as vanillyl alcohol, veratryl alcohol and Methyl-β-D-glucopyranoside. Under alkaline conditions, however, only mannitol was consumed during the reaction.
    When we investigated the solubility of iron (II) and (III), which work as catalysts to initiate the Fenton reaction, the addition of mannitol was found to help dissolve the iron compounds in alkaline solution, especially those exceeding pH 10, though iron compounds are not soluble under such alkaline conditions. Based on this result, mannitol is considered to form a complex with iron (II) and (III) ions under these conditions and the hydroxyl radical (HO•) generated by the reaction between hydrogen peroxide and iron (II) and (III) complex of mannitol will attack the mannitol because it is the compound nearest the site where the HO• is generated.
  • 真柄 謙吾, 池田 名前
    2013 年 67 巻 9 号 p. 1032-1036
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/22
    ジャーナル フリー
    マンニトールは,ラジカルトラップ剤として良く知られているが,フェントン反応の中でその効果を確認することは難しい。酸性条件下で,マンニトールはバニリルアルコール,ベラトリルアルコールおよびメチル―β―D―グルコピラノシドといった他の基質と同様に消費される。
    しかし,アルカリ性条件下ではマンニトール以外は消費されない。フェントン反応の開始触媒として働く二価や三価の鉄化合物の溶解度を検討したところ,マンニトールの添加はアルカリ性条件下,とりわけpH10以上で本来アルカリ性下では溶けない鉄化合物の溶解を補助していることが見出された。
    この結果から,マンニトールはこれらアルカリ性条件下で二価および三価の鉄化合物と錯体を形成しているものと考える。そして,マンニトールと錯体を形成した鉄(II)および(III)化合物と過酸化水素との反応から発生したヒドロキシルラジカルはマンニトールを攻撃する。なぜなら,マンニトールはヒドロキシルラジカルが発生する場所に最も近い化合物だからである。
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