当工場においては,ビロマティック製の平判カッター(1990年製P1185DD―S,P1085DD―S)2台で上質紙,印刷用紙の平判断裁を行っている。クロスカット後のシートオーバーラップ部でのジャミング防止対策として,寸法替え時と直交替時にサクションボックスのシート吸着タイミングの調整を行っており,調整時の良品リジェクトに伴う歩留低下,製品山のシート飛出し部を除去するための選別作業費を要していた。そこで,画像処理装置を設置してロス軽減に取り組んだ。
ジャミングを防止するために,今までは強制リジェクト操作にて一旦コンベアを停止してサクションタイミングを確認していたが,画像処理装置を設置したことにより,機械を停止せずに確認できるようになった。経緯と取り組み内容は本稿にて図表とともに説明している。
結果として,リジェクト時に発生していた損紙ロスが解消し歩留向上につながった。
また,強制リジェクト後に発生していたシート飛び出しの選別作業も解消することができた。
1)強制リジェクト回数減少による歩留まり0.16%向上効果 6,160千円/年
2)シート飛び出し選別作業費ゼロによる請負作業費減 3,820千円/年
効果合計 9,980千円/年
本装置は特許を取得し,王子エンジニアリング(株)を製造元として他社への販売も展開し,現在,紙・パルプ業界の2社にて操業支援に役立てていただいている。
システム構成がシンプルであり,既設システムとの信号の取り合いもないことから,比較的簡単に設置することができる。即効果も期待できることから,今後も積極的に展開していきたい。
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