紙パ技協誌
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69 巻, 3 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
計装特集
  • ―変革を求められる電装技術―
    自動化委員会
    2015 年 69 巻 3 号 p. 216-227
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
  • 広瀬 茂男
    2015 年 69 巻 3 号 p. 228-234
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    ロボットというと,すぐに思い出されるのは人間を模擬したマシンであるヒューマノイドであるかもしれないが,社会に真に役立つロボットを開発するには,その形は必ずしも人に似せる必要はない。目的を達成するために必要十分な機能を有する特有の形と機構を創造し,それを助ける最適なセンサと制御系の構成を導入することこそが重要である。特にわが国では,福島第一原発の廃炉作業を遂行してゆくため,また老朽化しつつある多くの社会インフラの点検と補修などの,人間では作業し難い,いわゆる3K作業を遂行するため,このような真に実用的なロボットの開発が強く望まれている。そのため,本講演では,講演者がこれまで東工大で開発してきた,また現在東工大発ベンチャーである〓ハイボットにおいて開発中の150台以上のロボットの中から,ヘビ型,歩行型,クローラ型などの移動ロボットの開発事例や,具体的な応用を目指した,地雷探知除去ロボット,レスキュー用ロボット,惑星探査用ローバなどの開発事例を紹介し,今必要とされる人に役立つ実用的なロボットの開発の方法論を論ずる。
  • 亀井 宏和
    2015 年 69 巻 3 号 p. 235-239
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    近年,国内プロセス産業でもHART通信対応の現場計装機器の導入が拡がっている。この動きに伴ってこれらの計装機器のデジタル通信を活用した機器管理システムの導入も進みつつある。
    世界に目を向ければ,全世界で1年間に出荷される圧力トランスミッターの約80%がHART機器であるという報告がある一方で,世界で使用されているHART機器の約85%は4―20mAの計測値のみの伝送で,価値ある情報が有効活用されていない現実がある。しかし,機器が保持する情報をHART通信により有効活用することで,計装保全業務の様々なシーンで劇的な効果を出し始めている。
    本稿では,HART機器と機器管理システムによって,どのようなメリットを享受できるのか,当社の機器管理システムInnovativeField Organizerの事例を交えて紹介する。
  • 酒井 秀昭
    2015 年 69 巻 3 号 p. 240-244
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    他品種小ロット化生産や客先ニーズ対応により紙の要求品質が多様化するに伴い,抄造工程においても,様々な欠陥が発生している。客先への不良品流出を防止する重要計器である欠陥検出器には,優れた検査能力と安定性能が求められる。
    北越紀州製紙(株)紀州工場には,4台の抄紙機が稼働し各々F面検査の欠陥検査装置が設置されているが,うち6号マシンの欠陥検出器は,2009年以降,従来の上質紙,色上質紙に加え他工場からの移抄で特殊紙も検査対象となったため,両面検査及び淡色の色筋欠陥や抄き込み淡欠陥も検出可能な検査能力が不可避となった。またワインダでの欠陥チェック,処理回数も特殊紙抄造により増加し,基準点方式の既設ワインダ支援装置では,マシン減速等操業支障を生じるようになったため,2011年にオムロン社製の省スペース型カラー欠陥検出器導入とワインダ支援装置更新を実施した。本稿では,導入経過と操業経験について紹介する。
  • 増永 順士
    2015 年 69 巻 3 号 p. 245-251
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    弊社は,カレンダを初めとして抄紙機の各種セクションでの油圧シリンダによるニップ圧制御のため,従来の比例弁の問題点を克服するデジタル油圧制御を大学との共同研究により開発し,実用化した。
    製紙機械には油圧で作動させるニップは各所で用いられている。カレンダニップを例にとると,ニップを閉じるとき操作側と駆動側2本のシリンダが非常に高い精度で迅速に設定ニップ圧を達成しなければならない。また,作動速度が速くても加圧力にオーバーシュートがあってはならない。そして,一定ニップ圧で運転されている間は,システムは加圧力制御が行われる。この間は,シリンダ圧力は適正レベルに維持されるのみで仕事は行われない。しかしながら,実際問題として従来の油圧シリンダは比例弁で制御されており,比例弁の内部では油の漏れがあるため,比較的大きな油圧ユニットを常時運転することになる。これは一定ニップ圧を保つための補償動作であり,多大なエネルギーのロスを伴った運転である。
    デジタル油圧制御では,多数のポペット弁,アキュムレータおよびインテリジェント制御アルゴリズムを用いることで,ポンプ作動によるエネルギー消費は最小化される。ポンプ,モータ,タンクなどは小型化でき,配管も少なくて済む。これにより,省エネルギー,省スペースはもとより運転時の紙切れの低減,迅速なプロファイルの安定化が達成される。
    本稿では,従来の油圧制御方法と比較したデジタル油圧制御の利点を紹介する。
  • 山地 邦明
    2015 年 69 巻 3 号 p. 252-256
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    日本製紙株式会社大竹工場は,2012年の当社の事業再編により,それまでの日本大昭和板紙株式会社から日本製紙株式会社の工場となった事で,当社の「ばい煙発生施設における法令順守のためのガイドライン」に則った対応をとる事になり,環境情報管理システムを導入することになった。
    ばい煙発生施設の排ガスは規制値が設けられ,そのデマンド値管理が義務付けられている。通常の管理では,瞬時値の指示や警報のみで操業を行い,デマンド終了後にデマンド値の確認を行うという結果管理に近いものであった。
    今回,環境情報管理システムの構築では,情報の取扱として排ガス分析計から中央操作室への指示表示までの「客観性の確保」から,予測演算システム機能や常時監視モニターの設置といった「管理・監視機能の強化」までを行った。このシステムにより,排ガスの管理は結果管理から常時管理が出来る様になったと考える。
    本稿では,この環境管理システムの構築内容について紹介する。
  • 土居 昭一
    2015 年 69 巻 3 号 p. 257-262
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    世界的なサイバー犯罪が急増しその攻撃手法が高度化・複雑化する中で,生産制御システムのリスクに対する予防と緩和を確実にするためには,お客様が全社的にセキュリティに対する適切な文化を築き,IEC62443を含む国際的なセキュリティスタンダードに基づいたセキュリティ活動を強化する必要がある。しかし,やみくもにセキュリティ技術を導入しておけば良いというわけではない。一般的な情報システムとは異なり,24時間365日での安定稼働や高いリアルタイム性などの可用性が最も重視される制御システム特有の環境を考慮する必要がある。
    EDSA認証やCSMS認証を取得したYOKOGAWAグループでは,可用性を最優先する制御システムにおける独自の対策基準に沿ったリスクアセスメント,リスクをコントロールするセキュリティポリシの策定支援,策定されたポリシに準じた管理運用およびシステム強化の具現化設計と導入支援,そしてセキュリティライフサイクルの堅牢性を検証する監査支援を提供している。これらのアプローチはCSMSとほぼ同様のフレームワークであることから,CSMS認証基準に沿ったセキュリティライフサイクルの構築やCSMS認証取得支援もあわせて提供している。
    YOKOGAWAグループのセキュリティ専門家は,最新のセキュリティ技術と実際の生産制御システムにおけるセキュリティ施策状況を調査・研究し,さまざまな工業分野,アプリケーションおよびシステム構成に最適な対策とソリューションの開発を進めている。システムのライフサイクルにわたり,お客様固有のセキュリティ活動とシステムの健全性の確保をサポートし,安定的な運用を実現するソリューション&サービスの提供に努めている。
  • 阿部 竜太
    2015 年 69 巻 3 号 p. 263-268
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    近年の高灰分抄紙と紙の軽量化,抄速の上昇,またカレンダー設備のソフトニップ化によって接触式キャリパー計による引っ掛け穴は増加傾向にある。
    大王製紙三島工場N5M/Cでは,接触式キャリパー計による引っ掛け穴は接触面エッジ部で多く発生していると仮定し,紙面との接触部材質の再選定,接触面エッジ部テーパー化の改良を進めた結果,引っ掛け穴をおよそ7割削減することに成功した。
    接触式キャリパー計での引っ掛け穴の数は,接触面の加圧圧力に比例し,面精度に反比例すると考えられている。測定精度を維持しつつ加圧圧力を下げるために,耐摩耗性に優れる接触部(サファイアコート)ではなく,測定精度に優れた接触部(ダイアモネックスコート)を選定し,エッジ部の加工を施した。耐摩耗性における懸念があったが,センサーの定期的な点検と調整を実施し連続使用テストを行った結果,引っ掛け穴数を大幅に削減した上で6ヶ月間の使用実績ができ,引っ掛け穴の発生と薬品添加との関係性も得ることができた。
    引っ掛け穴問題は非接触式キャリパー計の導入により解決すると考えられているが,全てのQCSを一斉に更新することは不可能である。この方法は引っ掛け穴発生に対する現実的な緩和策として活用できると考えている。
  • 前畑 典之
    2015 年 69 巻 3 号 p. 269-274
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    プラントにおけるPLC等の制御装置は10年以上の長期にわたって使用される。制御装置を取り巻く温度,湿度,振動,電圧,接地などの設置環境は長期間の運用により様々に変化することがあり,この変化が原因で故障を引き起こし,設置環境を調査することがある。従来の設置環境の調査は,高価な専用の計測器の適用と専門の技術者を現場に派遣して実施するため,期間も費用もかかるものであった。
    このため簡易な装置を使用し,専門性を必要としない調査手法が望まれており,東芝三菱電機産業システム株式会社(TMEIC)は,このようなニーズに答えるべく,小型センサと無線によるデータ収集機能と要因推定機能を備えた小型ワイヤレス・電子装置環境調査システム「TMe2SMART」を開発した。
    TMe2SMARTは拡充開発を実施しつつ10ヶ所以上のプラントにおいてフィールド適用を行ってきた。その結果,最大定格を超えるノイズの観測や,電源の故障検出など貴重なデータが得られ,予防保全に寄与することができた。本論文では,いくつかのプラントにおけるTMe2SMARTの適用事例を紹介する。
    また,インバータ装置や電動機への適用拡大や,診断機能と要因推定機能の性能向上など,フィールド適用を踏まえて製品化したTMe2SMARTに対して今後期待される機能拡充についても述べる。
  • 中村 哲也
    2015 年 69 巻 3 号 p. 275-280
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    恵那工場ではワインダから製品倉庫への搬送工程において,横河電機製のYEWMACとFA500によって構築されたシステムを1994年から20年間利用している。このシステムは搬送設備や計重機,自動印字装置などを統括しているため,工場の仕上工程において大変重要なシステムとなっている。
    しかし近年,機器の故障のみならずソフトウェア上のトラブルも発生し,操業を停止する事態に陥るケースも散発したためシステムの更新を実施した。
    更新に当たり,当初は汎用OSを搭載したサーバ機器とPLCによるシステムを考えていたが,汎用OSや機器には製品のライフサイクルやセキュリティ対策等,多くの問題があり躊躇していた。
    そこへ横河ソリューションサービス(旧横河電機)が,当時開発中であったFAコントローラ(2014年7月に製品化)のプロトタイプを弊社に持ち込み提案を受けたが,これによって以下の事が可能であると判断し採用に踏み切った。
    (1)既設システムもしくは標準システムと同等の機能を実現する事。
    (2)24時間365日の稼働に耐えうることが想定されている事。
    (3)堅牢性があり,もしもの際にも早急な対応が可能な事。
    (4)製品のライフサイクルが長く,保守も容易な事。
    (5)サイバー攻撃やウィルス等,セキュリティ対策が考慮されている事。
    本稿では,このワインダ管理システムの更新について紹介する。
  • 石橋 健二
    2015 年 69 巻 3 号 p. 281-285
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    ハネウェル社は1970年代よりDCSを開発/販売し,最新の技術で今もなおコントロール業界を牽引している。皆様の中には「TDC(S)2000,TDC(S)3000LCN」というDCSの名称を耳にしたことがある方も沢山いることと思うが,Experion PKS(Experion Process knowledge System)というと,知らないな?という方も多いのではないだろうか。
    Experion PKSシステムとは,過去の「TDC(S)2000,TDC(S)3000LCN」を包含した形の完全なシステム統合を可能とし,さらに新しい情報系ネットワークを構築し,QCSや高度制御,情報システム,運転支援システム,安全計装システムと簡単に接続し,時代に応じた最新の技術とコラボレーションを行っている。上記のように,システムの技術革新とともに,DCSでの運転形態も大きく変化しており,さらなる革新が行われている。
    本稿ではDCSとコントロールルームソリューションの革新について述べる。
    具体的には,基本コンセプト「Operation Environment(運転環境)」,「Operation Awareness(運転状況の把握)」,「Control Efficiency(制御の効率化)」を中心に紹介していく。
総説・資料
  • 正田 秀一
    2015 年 69 巻 3 号 p. 286-288
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    コグネックスのエリア・カメラによるモニタリング・システム「SmartAdvisor 5.0」の特長について,新しい検査機能とハードウェア・アーキテクチャを紹介していきたい。
    SmartAdvisor5.0は通常のモニタリング・システムの機能に加え(監視機能),独自の検査・判定機能を加えたソフトウェアとなっている。これは,エリア・カメラの特徴を生かした観点から検査することができるユニークなシステムとして,従来の欠陥検査を補完したり,連携したりすることができる。
    SmartAdvisor5.0では,次のような検査/判定機能を搭載している。
    (1)ピクセル・スレッシュホールド(しきい値)
    (2)フィルター機能(欠陥抽出)
    (3)欠陥判定
    (4)レポート機能
    SmartAdvisor5.0の新しいハードウェア・アーキテクチャは,カメラ1台のシステムの場合,カメラをサポートするユニットは耐環境型(壁掛け型)キャビネット1台(その中にサーバおよびHDD内蔵)のみとなり,モニター用としてデスクトップPCを接続したり,メンテナンス用としてラップトップPCを接続したりすることができる。壁掛け型のキャビネット自体がサーバであるため,これらのPCを接続しなくてもシステムは稼働する。
    カメラを複数接続したい場合には,キャビネット間をLANで接続し,そのネットワーク上にもう1台サーバPCを接続することで,システムとして統合される。このようにシンプルで拡張性の高いハードウェア構成になっている。
    従来型の自立盤(画像処理やHDDを搭載)を用意することも可能であり,ユーザの用途によって,自在なシステム構成を構築できる。
  • 金野 晴男
    2015 年 69 巻 3 号 p. 289-292
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    2014年6月23日~26日にカナダ・バンクーバーで開催された2014TAPPI International Conference on Nanotechnology for Renewable Materialsに参加した。
    本学会の参加者は登録段階で228名,そのうち,カナダ68名,アメリカ63名と北米からの参加者が半分以上を占めていた。日本からの参加者は25名とカナダ,アメリカに次いで多かった。
    発表件数は,KEYNOTE2件,口頭発表80件,ポスター発表34件となっていた。日本からの発表は口頭発表8件,ポスター発表4件と紙パルプ関連の海外の学会としては比較的多かったと思われる。また,本学会には経済産業省からも参加されており,日本は産官学一体での参加となった。ポスター発表では日本の「ナノセルロースフォーラム」についても報告がされており,日本でのナノセルロースの開発が活発であることを海外に示すことができたと思われる。
    本稿では,聴講した中で紙パルプやナノセルロースの製造方法の発表について4件紹介する。また,ナノセルロースの市場調査結果についても1件紹介する。
  • 2015 年 69 巻 3 号 p. 293-300
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    TOSHIBA MITSUBISHI―ELECTRIC INDUSTRIAL SYSTEMS CORPORATION(Brand name:TMEIC)was established in October 2003 through the integration of Toshiba Corporation's and Mitsubishi Electric Corporation's businesses in the industrial field. Our corporate statement“We drive industry”represents our commitment to“contribute to development by becoming a driving force of industry.”
    TMEIC has achieved sustainable growth through contributing to manufacturing and environmental management by leveraging our leading―edge technologies underpinned by rotating machinery, power electronics and world―class engineering. Having marked our 10th anniversary in 2013 and relocated our head office in March 2014, TMEIC has taken a new step forward toward the next decade.
    The business environment surrounding TMEIC is rapidly changing due to various social issues including globalization, energy concerns and environmental issues. In addition to contributing to strengthening the competitiveness of customers by providing products, technologies and services that will respond to these changes along with the ongoing globalization of our conventional businesses, TMEIC also actively invests its management resources into green business with a focus on solutions for reducing environmental impact and energy.
    With regard to markets overseas, including rapidly developing emerging countries, TMEIC globally responds to customer needs by developing bases for sales, engineering, manufacturing and services throughout the world. TMEIC has delivered products to 125 countries worldwide to date and the overseas sales ratio currently exceeds 45%. Going forward, TMEIC will continue to realize the further globalization of our business.
    As the world's leading company in industrial system integration field, TMEIC will advance together with our customers, always seeking to deliver even greater satisfaction.
研究報文
  • Kengo Magara, Tomoko Shimokawa, Tsutomu Ikeda
    2015 年 69 巻 3 号 p. 302-307
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    We investigated the soda―anthraquinone cooking process of bamboo chips and the recovery of hemicellulose precipitated from the resulting black liquor to study how bamboo hemicellulose may be utilized. The cooking efficiency of bamboo chips improved after hot water extraction, probably because a part of the starch that consumes the active alkali during the cooking process was removed by the extraction. After cooking, hemicellulose with higher molar mass value was precipitated from the black liquor. Recovery yield of the precipitate by decantation was approximately 6.5 g from 300 g of dried bamboo chips, and it was increased by adjusting the pH of the black liquor to 11.5.
  • 真柄 謙吾, 下川 知子, 池田 努
    2015 年 69 巻 3 号 p. 308-313
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    竹のバイオマス蓄積量は,16,000,000トンと概算されているにも関わらず,原料としてはほとんど利用されていない。それが,特に西日本で竹の繁茂と周りの植生への浸食の原因となっているので,竹の商業的,工業的用途の開発は,竹林の手入れを改善するかもしれない。これまで,竹を原料に竹酢液,家畜の敷料および堆肥などが製造されてきたが,これらの用途は限定的であった。
    最近,ある製紙工場で竹紙が製造されるようになった。製紙原料としての竹の需要は,おそらく竹林の手入れを改善する大きな力の一つになるだろう。
    しかし,竹のアルカリ蒸解には,含まれるデンプンが失われることにより収率が低いという欠点がある。更なる用途開発のためには,リグニンやアルカリの損失無しに黒液からヘミセルロースを回収すべきであろう。
    本稿では,タケに多量に含まれるヘミセルロースの利用法を開発するために,タケのソーダアントラキノン蒸解法とその黒液中で沈殿するヘミセルロースの回収を検討した。
    タケの蒸解効率は,熱水による前抽出により改善された。これは,蒸解中に活性アルカリを消費するデンプンが除かれたためと考える。蒸解後,高分子量のヘミセルロースが黒液中で沈殿する。デカンテーションで回収し洗浄した沈殿ヘミセルロースの収量は,300gの乾燥タケチップから6.5gであった。また,黒液のpHを11.5に調整することにより,その量は増加した。
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