紙パ技協誌
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71 巻 , 12 号
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環境特集
  • 環境技術委員会
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1371-1372
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり
  • 小川 尊夫
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1373-1387
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    「極低DO制御」は曝気槽内のDOをほとんど0mg/lに維持する制御方法で,曝気槽内の活性汚泥混合液を「強曝気→曝気停止」する操作を行い,そのときのDO変化から,曝気による酸素供給能力が汚泥の酸素消費速度と等しい曝気風量を計算で求め,その曝気風量で曝気することにより,曝気槽内のDOをほとんど0mg/lに制御する。グルコース-ペプトン排水とメタノール主体の排水について,この制御法をつかったDO≒0mg/lの処理と通常のDO≒1.5mg/lの処理の比較実験を行い,曝気風量は約35%程度に削減でき,処理水TOCは同等以上に良化,N除去率は90%以上の性能が確認できた。また原水負荷変動に対しても最大/最小=5倍の非常に大きな日間変動にも,適切に追従できることが確認できた。さらに「極低DO制御」の具体的な装置構成を示し,既設の活性汚泥に適用する場合,曝気槽の隔壁工事は不要で,曝気ブロアーの出力調整が管制室で操作可能になっていれば,わずかの初期投資で「極低DO制御」が導入可能であることを示した。本稿前半は活性汚泥という微生物の基本的な性質について,後半では「極低DO制御」について技術紹介する。

    曝気槽内のDOがほとんど0mg/lの領域は,好気でも無酸素でも嫌気でもない,従来ほとんど利用されていない領域で,「極低DO制御」を使うことにより,この領域が利用できるようになる意義は非常に大きい。

  • ならず ─板紙工場における一石二鳥のにおい対策─
    小島 英順
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1388-1393
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    抄紙工程のドライヤーパートは製品乾燥のために大風量の空気を供給するため,工場外への排気量が多い工程である。仮に抄紙工程で循環利用される白水やパルプ原料でにおいが発生していると,意図せずとも周辺ににおいの影響を与えてしまうことになる。「水」の視点から板紙工場のにおいの問題をとらえると,以下の点が重要となる。

    1. 板紙工場の抄紙プロセス水や排水は,水質的ににおいが発生しやすい。においの発生原因である微生物の増殖傾向を知るのに有効な水質項目は,ORP,pH,EC,水温,濁度,澱粉濃度,硫酸イオン濃度,有機酸濃度などである。

    2. 板紙工場で発生する硫化水素や有機酸は,におい問題だけでなく,製品品質の低下(におい,欠点)や工場の生産性低下(製紙薬剤の使用量増加)の原因となる。

    3. 無機系殺菌剤による抄紙工程での微生物コントロールは,におい問題と製造プロセス上の問題の両方を解決することができる。

    4. 単なるにおい対策ではなく,プロセス水の水質管理という視点が重要である。

  • ─曝気槽の省エネに貢献─
    松崎 祐子
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1394-1397
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    排水処理では,活性汚泥と呼ばれる好気性微生物に酸素を供給し,微生物のはたらきにより排水中の有機物を分解する処理方法が広く用いられている。この酸素供給のため曝気槽に空気を送るブロワで多量のエネルギーを消費しており,ブロワの電力削減は排水処理における大きな課題となっている。

    その対策の一つが超微細気泡散気装置の採用である。超微細気泡散気装置は,非常に微細な気泡を発生して酸素を効率的に水に溶解させ,従来の散気装置に比べて送風量を大幅に削減することで,電力消費量,温室効果ガス排出量の削減に貢献できる。

    本稿では,メンブレンに耐久性の高い材質を採用することで,電力消費量の削減効果に加え,装置の長寿命化を実現したメンブレンパイプ式散気装置“ミクラス”の概要とその導入効果を紹介する。

  • 林 賢治
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1398-1401
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    紙パルプ工場排水の活性汚泥処理において,発生しやすいトラブルの一つに,発泡および発泡にともなうスカム形成トラブルを挙げることができる。激しいスカム形成が生じた場合,スカム流出により後段処理プロセスへの負荷を増加させるだけでなく,MLSSの低下をもたらし,活性汚泥処理機能自体を低下させ,相乗的に放流水質を劣化させる重大なトラブルに至る。ほとんどのケースでは,原因を特定できず,対症療法的に消泡剤の増添が行われるが,効果が得られないケースもあり,有効な対策が確立されていないのが現状である。

    本稿では,当社が紙パ排水処理に関わってきた中での経験をもとに,発泡スカムトラブルの傾向と考え得る要因および対策について紹介する

  • ─耳で対策効果を実感しよう─
    青木 雅彦
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1402-1405
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    騒音対策では最初にどの音をどの程度下げるかの検討が必要である。住宅から苦情が発生している場合,居室内で実態を調査することが望ましい。これは住宅の外と内では騒音の大きさだけでなく,周波数特性も異なるためである。敷地境界で規制値を上回っている場合は,環境騒音の大きさも確認することが必要である。これは環境騒音の大きさによって,工場騒音の対策目標値が変化する場合があるためである。

    次に必要なのはどの騒音源を対策するかの検討である。一番簡単なのは影響が予想される設備等の騒音源を一時的に停止させ,評価点で騒音の変化を調べることである。また影響が予想される騒音源近傍と評価点で同時に騒音を測定し,両者の周波数特性を比較することで影響を特定できる場合がある。また,音源探査システムを用いて騒音の到来方向を写真に重ねて表示することで騒音源を可視化することができる。さらにソフトウェアを使い,シミュレーションで検討することにより対策案の効果も推定できる。

    対策方法については,吸音と遮音を混同されているケースがある。屋内の騒音が外部に透過している場合は二重壁の対策が有効である。ただし振動が伝わり音として放射する固体伝搬音については振動対策が必要になる。工場ではこの固体伝搬音が問題となるケースが多いが,適切な調査と検討に基づく対策により大きな低減効果が得られる場合がある。

  • ─廃棄物の適正処分と循環利用とのジレンマ─
    渡辺 靖明
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1406-1412
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    「廃棄物処理法」(昭和45年法律第137号)は,廃棄物処理の実務にとって最も重要である。しかし,「廃棄物」とは何か? その判断が難しいと指摘されている。行政機関と裁判所は,これは「総合判断」で決せられると主張する。それにもかかわらず,この「総合判断」は評判が悪い。その基準が不明確であると批判されている。それでも,「総合判断説」が必要なのは何故か。それは廃棄物の規制と個人の財産権の保障とが裏返しの関係にあるからである。これこそが重要である。他方で,廃棄物の適正処理の確保を徹底すると,廃棄物の循環利用の推進が進まない。このような「ジレンマ」が生じている。刑事裁判例も,このジレンマ(または調和)に取り組んでいる。いずれにしても,処理場のひっ迫という廃棄物の適正処分に関する現状と,未来の世代に美しい環境を残すとの理想を踏まえて,市民と行政機関とがリサイクルの必要性についての意識を共有する。このことが極めて重要である。

  • 阪井 雅洋
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1413-1421
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    土壌汚染の特徴は,①汚染の対象が大気や水のような公共財ではなく,私有財である土地であること,②発生源対策を講ずれば汚染が解消する大気汚染や水質汚濁と異なり,一度生じた汚染を除去,浄化しない限り蓄積し続けるストック型の汚染であること,③汚染が存在しても摂取経路を遮断すれば健康被害のおそれがないという点がある。このため,土壌汚染は典型7公害の一つでありながら,法制化にあたっては,土壌汚染対策の実施要件や実施主体等について様々な課題があり,経済活動を阻害,生活基盤を揺るがすことなくどのような対策技術で安全を確保するかの検討などに時間を要した経緯がある。

    本稿では,平成14年の法制定,平成21年の改正法を通じて浮かび上がってきた課題と,平成29年5月に公布された改正法の主な改正点の概要について紹介する。

  • ─維持管理・点検への応用─
    坂本 大
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1422-1426
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    構造物などを効率よく維持管理するためには,定期的な点検により健全度を的確に把握することが重要である。そこで,近年では広く利用されるようになった無人航空機ドローン(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)が,人のアクセスが困難な場所にも空中から接近し,計測・画像撮影などが可能であることを利用し,インフラなどの構造物の劣化状態に関する点検・診断への活用の研究が進められている。また,写真測量技術を活用して構造物の三次元データを取得し,点検・診断に適用する試みも進められている。メリットとしては,①今まで点検できなかった箇所が可能となる,②点検作業員の安全性確保,③点検コストが安価になる,④特種な点検が可能になる,といったことが挙げられる。本発表では,弊社が取り組むドローンを用いた測定や施設の維持管理への応用事例である,水門の計測と3Dモデリング,防波堤の計測・点検,太陽光発電パネルの計測・点検など適用事例を報告する。

  • ─ちょっとした間違いが法令違反─
    坂本 裕尚
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1427-1436
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    本項前半では,A票の数量欄の記載漏れ,E・D・B2票の確認不足,返送期限の超過,処理未完了でのマニフェスト返送,マニフェスト不交付での処理受託,の各事例について紙マニフェストの不適正な運用を紹介し,実際のマニフェストを示しながら,Q&Aを交えて解説する。

    次に、平成10年12月から運用が開始された電子マニフェストシステムについて詳しく解説していく。電子マニフェストとは,マニフェスト情報を電子化し,排出事業者,収集運搬業者,処分業者の三者が情報処理センターを介したネットワークでやり取りする仕組みである。紙マニフェストとの運用比較(三者別の運用比較),導入による事務負担軽減効果等のメリットを表やフロー図を用いてわかりやすく解説する。

    さらに,電子マニフェストの運用における「落とし穴」として,登録前の廃棄物の引き渡し,マニフェスト登録の期限,電子マニフェストの取扱いについて,Q&Aや図を交えて注意するべきポイントを解説する。

総説・資料
  • 2017 年 71 巻 12 号 p. 1437-1441
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル 認証あり

    Kobayashi Engineering Works, Ltd. was established on July 14, 1947, 70 years ago. The founder, Mr. Tadashi Kobayashi made the fi rst step of iron works in a rent warehouse of paper mill and installed some machine tools. After that, company becomes as present as a result of technical cooperation with overseas machine suppliers, developing own technologies and business transfer.

    Recently the business of paper machine vs. fi lm converting machine become almost equal in sales. In case of paper machine, the machine modifi cation including various product grade change and new machine for special paper and in case of fi lm converting machine, the both sides coater for separator of Lithium ion battery are becoming the main business.

    We feel the change of the time because we had the past age that “Kobayashi is for paperboard machine builder” after we succeeded the development of Ultra Former.

    We will perform business reform toward the company structure targeting 100 years future by not only the reinforcement of machine tools but also suggestion to the client utilizing the convenience and the experience as domestic machine supplier in Japan in order to develop new Kobayashi.

シリーズ : 大学・官公庁研究機関の研究室紹介 (120)
研究報文
  • 伊佐 亜希子
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1446-1453
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,製紙スラッジ焼却灰(PS灰)と湿潤状態のミクロフィブリル化セルロース(MFC)を混練・プレス成型した成型体を作製し,MFCによる成型体の補強効果を確認した。PS灰+MFC成型体は,PS灰重量に対してMFCを1~40%添加すると,成型体の曲げ強度はPS灰単独の場合と比較して1.5~5倍上昇し,MFCの補強効果は高いことがわかった。PS灰+MFC成型体では,MFC5%の添加によりケイ酸カルシウムボードのJIS規格値に相当する曲げ強度(10MPa)が得られた。MFCによる補強効果は,PS灰粒子表面へのコーティング効果と粒子間での強い接着効果により発現した。

    本法では,固形分(PS灰+MFC(絶乾量))に対して加水量は一定として,添加するMFCの持つ水の量(自由水量)を調整した。PS灰は,水分の供給源であるMFC保水量と自由水量によって,PS灰の水和反応速度やMFCへの分散状態が異なり,自由水量によってはPS灰+MFC成型体の強度発現が小さくなった。

    PS灰+MFC成型体では,寸法安定性についても良好な結果が得られている。この技術はまだ開発の初期段階であり,今後,建材等として活用していくにはさらなる性能評価が必要となるが,MFCがPS灰成型体の補強材として効果が高いこと,また,PS灰とMFCの配合により,成型体の密度と強度の特徴が異なる成型体の作製が可能であることが明らかとなった。

  • Akiko Isa
    2017 年 71 巻 12 号 p. 1454-1461
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    In this study, we investigated reinforcement effect of micro-fibrillated cellulose(MFC)on composites prepared from paper sludge(PS)ash. The bending strength of MFC+PS ash composites was 1.5-5 times higher than that for PS ash only when additive rate of MFC was adjusted at 1, 3, 5, 10, 20, and 40%. The reinforcement effect of MFC on the composites was due to adhesive effect between PS ash particles coated with MFC. The bending strength of MFC 5+PS ash 95 composite was equal to the value of Japanese Industrial Standards for calcium silicate board(10 MPa).

    PS ash and wet MFC were mixed in equal amount of additive water to the solid content(PS ash+MFC solid). The additive water(free water)was regulated depending on MFC content. The free water content in the compound had a large influence on PS ash hydration rate and the structure of resultant hydrate, consequently PS ash particles dispersion in MFC network varied by a combination of PS ash, MFC, and free water ratio. The increase in bending strength of PS ash+MFC composites may have decreased when free water content for PS ash was small.

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