紙パ技協誌
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71 巻, 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
計装特集
  • ―電装技術の変革と未来―
    自動化委員会
    2017 年 71 巻 3 号 p. 228-241
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
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  • 阿久津 卓也
    2017 年 71 巻 3 号 p. 242-247
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    これまで製紙業界の繁栄と共にQCSの歴史も重ねられてきた。

    大量生産,品質向上,生産効率向上等,製紙業界の要望により,センサーや制御の新規開発,抄紙機だけでなく,塗工機やスーパーカレンダーへの適用,他の計装機器との統合等,様々な進化を遂げて来たQCSであるが,現在製紙業界では,人口減少による需要の低下や海外輸入紙の増加,印刷物の減少と厳しい状況にさらされている。

    我々QCSサプライヤーも製紙業界の国内への設備投資状況に依存しているので,この状況に適した対応を要求されていると考えている。

    本稿では,これまで約50年間に渡り様々な進化を遂げてきたQCSの変革を述べさせて頂くと共に,その詳細を振り返って今後のQCSの未来としていくつかの新製品に見受けられる傾向から,その未来を想像していきたい。

  • 鈴木 昌裕
    2017 年 71 巻 3 号 p. 248-253
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    弊社は,1978年に第1号の欠陥検査装置を開発して以来,紙パルプ・フィルム・金属・不織布などの無地シート業界のみならず,グラビア・フレキソ・オフセット印刷などの印刷業界に至るまで,さまざまな業界に約8,700台(2015年末時点)のシート面検査装置を納入し各業界に貢献してきた。

    欠陥検査装置(WIS:Web Inspection System 以下 検査装置)の歴史を振り返ると,ラインセンサカメラの周波数は,2.67MHz(1980年代)から320MHz(2010年代)へと100倍以上に向上してきた。検出された欠陥は,画像データとして保存されると同時にリアルタイムで欠陥種類ごとに弁別されるようになった。当初は欠陥の流出防止が検査装置の導入目的であったが,昨今ではライン品質の改善ツールとしての意味合いも大きくなっている。

    また,ラインセンサカメラの高画素・高クロック化によりカメラ台数が削減され,高周波蛍光灯から高輝度LEDに変わることで光源が長寿命になった。これにより,カメラの故障確率が低減し蛍光灯の交換作業が無くなるなどメンテナンス面で作業効率が向上してきた。

    現在では,カラーカメラを用いることにより,カラー欠陥画像でのリアルタイム弁別も実現され,多くのラインで稼働している。また,検査装置のデータをネットワークで一括管理するIQMシステム(Integrated Quality Management System)も提供され,遠隔で現場の状況をリアルタイムに確認し分析できる。

    今後,ラインセンサカメラの更なる高画素・高クロック化は進んで行き,コンパクトかつ高性能になっていくと思われる。また,機械学習や深層学習のような新技術が導入され,オペレーターの作業軽減や生産性向上に検査装置が更に貢献していくと考える。

  • ─HART機器積極活用のすすめ─
    工藤 泰
    2017 年 71 巻 3 号 p. 254-260
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
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    工場の製造プロセスや,車,家電,そしてヒトに至るまで,さまざま「モノ」にセンサーやCPUが搭載され,それらが発信する様々な情報がインターネットを経由してサイバー空間に集まるビッグデータ時代を迎えている。

    産業界においても,センサーやアクチュエータなどのフィールド機器との通信環境が,従来のアナログ値や接点による単一且つ一方通行の信号伝送から,機器が本来持っている様々なデータを双方向で通信できる環境へと急速に変化してきている。特に従来のアナログ通信と互換性があり,既存の配線を使用してデジタル双方向通信が可能なHART通信の普及は,フィールド機器のインテリジェント化とネットワーク化の流れを加速させ,その結果,現場の機器と計器室間の双方向通信や,機器から収集した膨大なデータを活用した新たな製造管理や設備管理,サービスなどが産業界に新たな価値を生み出し始めている。

    本稿ではその中の1つとして,機器管理システムを導入してスマートフィールド機器を積極的に活用するとプラント運転や保全業務をどのように変革できるかについて,現在世界で最も普及しているHART通信に対応したフィールド機器(以下HART機器)に焦点を定め,弊社製機器管理システム「InnovativeField OrganizerTM」の活用事例を中心に述べていくこととする。

  • 大屋 晃一
    2017 年 71 巻 3 号 p. 261-266
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
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    技術や市場の変化とともに,生産制御システムを取り巻く環境も大きく変わっている。今日までの10-15年を見ると,MS-Windows,フィールドデジタル技術,アラーム管理の考え方といった様々な部分の標準化やオープン化が見られた。各システムベンダーは,制御システムの基本的な機能や役目を損なわないように配慮しながら,こういった技術をお客様のメリットになるべく制御システムに適用してきた。

    一方,昨今は特にこれからの10年近くを見据えた大きな変化が見られようとしている。制御システム自身,アプリケーションの標準化,制御だけでなく生産管理まで含めた最適システム,制御システムの導入や改造のプロセス自体の変革による工期順守/短縮とコスト最小化の仕組,クラウドをはじめとするIT技術の進化といったことが挙げられる。生産制御システムは,こういった変化や技術革新を,現在の役目や基本的な要件を損なうことなく取り入れて,お客様に価値のある姿に進化していくことになる。また,既に稼働中の制御システムをこういった新しい姿に進化させるために,連続性や互換性に配慮した更新リスクの極めて少ないシステム更新の提案もご提供させていただくことが重要な責務となる。

  • 佐藤 武志, 石原 健一
    2017 年 71 巻 3 号 p. 267-273
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
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    1920年代初頭に,初めてパルプ濃度計が考案されてから90年になる。その後,紙パルプ測定機は紙パルプ産業の成長に合わせ,生産量増加と安定化,品種の拡大へ対応するために,人による間欠的な試験分析からオンライン,インラインの様々な自動測定機が開発されてきた。日本の紙パルプ産業では,高度経済成長を経て紙生産量も15万トン(1940年)から3,180万トン(2000年)と約60年で200倍に増加し,その生産量増大に対応するため様々な自動測定機を利用した自動化も進み安定生産を実現してきた。

    本稿では近年の紙パルプ測定機の技術変革と未来を「測定技術」「メンテナンス」「運用」の3つの視点から考察する。紙パルプ測定機はアナログ処理からデジタル処理への移り変わり,測定とメンテナンスの一体化,個別から全体制御への参加へ発展してきたことが,あらゆる面で変革をもたらしたと考えられる。これにより様々な紙パルプ測定機が参加したAPC最適化制御システムは,計測・分析結果を用いてモデルの定期的自動再校正や長期的安定運用が可能となる。これはプロセス安定を導きプロセス変動による生産リスクを減らすだけでなく,制御の焦点をプロセスの部分最適化から包括的な製品品質の最適化に移すことができるようになり,ユーザーは近代の品質志向の消費者により良い製品を,生産コストを維持しながら安定して提供出来るようになる。

  • 塩田 哲司, 中嶋 亮
    2017 年 71 巻 3 号 p. 274-278
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
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    セクショナル駆動電気品の主となるドライブ装置(電動機を可変速駆動する装置)およびドライブシステム(設備に応じてドライブ装置を制御するシステム)については,効率や安定性,メンテナンス性,コスト等のさまざまな面を考慮し,その時代の最先端の技術を導入したシステムが適用されている。古くは電動発電機方式(ワードレオナード)による駆動装置が最先端技術として導入された。現在の技術からすれば設備コスト面,効率,メンテナンス性等多くの課題がある設備であるが,納入当時においては最新鋭,最適なソリューションを提供した設備であった。この事例のように現在に至るまでドライブ装置における変革は,多くの改善が図られている。1990年代に開発されたIGBT素子によるインバータ装置は、基本的な考え方は現状もほぼ同じであり、電力変換装置としては,回路構成がシンプルな電圧形PWM制御に収斂(しゅうれん)されてきた。その中で容量拡大,高集積化,高速伝送化,国際規格や安全規格対応,環境対応,エンジニアリングツールの高機能化が図られてきている。今後は次世代半導体素子適用等によるハードウェア面の変革のみならずIoT(Internet of Things)等を応用したソフトウェア面での改善,変革が進むと予想される。情報処理が高度化するにつれ,単体の情報を活用したドライブシステム全体の適用方法がこれからは注目,活用されていくと考える。

    本報告では,製紙機械におけるドライブ装置の変革を説明し,現状の設備,今後の展望(未来)について述べる。

  • 大西 貴之
    2017 年 71 巻 3 号 p. 279-282
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    近年,求められる紙の品質は高くなり,それに応えるためには計測計器の高性能化が不可欠である。2007年に設置・稼動した大王製紙三島工場N10M/Cでは,当時最新機種であったカラーセンサーを採用したが,技術革新のスピードが速く,数年で新機種の販売となり,旧機種のメーカーサポートも終了となった。今回,安定した高精度の測定を目的に設備更新に至った。

    更新により測定精度の向上が図れた上に,設備改善を取り入れることでメンテナンス性の向上も図れた。設備改善項目は,更新前より必要性を感じていたもので,今回導入できたことでトラブル時の対応を迅速に行えるようになった。また,更新設備機器は大きく4つのモジュールで構成されており,故障の際は,モジュール毎の交換で対応ができるため,復旧時間の短縮も見込める。

    本稿では更新の背景,新機種の特徴,設備改善,トラブル事例や今後の取り組みについて紹介する。

  • 橋本 淳至
    2017 年 71 巻 3 号 p. 283-288
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    当工場のクラフトパルプ製造設備のチップシュートレベル上限検知には,従来方式のガンマ線透過型レベルスイッチを使用していたが,この方式のレベルスイッチは法令で規制を受ける放射線源を使用するため放射線管理区域の設定が必要であった。

    ガンマ線透過型レベルスイッチの更新に合わせ,放射線管理区域の設定を必要としないレベルスイッチの導入を目的として,アースニクス㈱と共同でガンマ線反射型レベルスイッチの検討及び試験を行った。

    その結果,紙・パルプ業界で初めてガンマ線反射型レベルスイッチを導入し,チップシュートの放射線管理区域を解除することができた。

    本稿ではその事例を紹介する。

  • 石本 裕介
    2017 年 71 巻 3 号 p. 289-293
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    現在,製紙工場のファイバーラインに於けるカッパー価計の主流はその高い普及率からマルチポイントカッパー価計であると言える。しかしながら,従来のマルチポイントカッパー価計には,多くの実績,1台で複数のサンプルが測定可能,ラボでの測定方式と同様というメリットがあるものの,一方でサンプル移送時のトラブル,サンプル点数に応じ測定周期が長くなる,1台での測定であるが故,トラブル時には全測定が出来ないといったデメリットも依然存在する。昨今登場したシングルポイントカッパー価計は機側にて,1対1で直接サンプルを測定する為,これらのデメリットを払拭することが出来る。また,その応答性の速さから薬品添加量の適正化に繋がる可能性も見込める。

    当工場では,N系晒設備更新に際し,新設設備で使用するカッパー価計を含む分析計の選定・トライアルを行った。

    本稿では,シングルポイントカッパー価計を,旧N系晒設備でカッパー価測定している同一ラインにて比較テストし,操業サイド・保全サイドの両観点から批評しシングルポイントカッパー価計導入に至った経緯及び導入後の状況を紹介する。

総説・資料
  • 黒崎 篤, 正田 秀一
    2017 年 71 巻 3 号 p. 294-297
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    アメテック・サーフェースビジョンはこのたび,カラー・ラインカメラを搭載した欠陥検査システム「Smart View7.2C」をリリースした。日本国内の紙パルプ業界では,カラーにもとづいた検査要求が年々増しており,当社はユーザーの意向を受けてカラー・ラインカメラによる欠陥検査システム(以下,カラー欠陥検査システムと呼ぶ)を開発するに至った。

    カラー欠陥検査システムの利点としては,欠陥のカラー判定が可能となり,モノクロ・カメラでは困難であった欠陥の検査能力(検出および欠陥分類)を向上させる効果がある。また,欠陥画像がカラー画像となるため,より目視に近い状態で欠陥画像を確認することが可能となり,オペレータが直感的に欠陥の状態や発生原因を推測することが容易となる。

    光学的な理由からカラー・カメラを活かせないケース(例えば,光沢性の違いにより検査する塗工面の検査など)や無彩色の欠陥検出に対しては,A/D変換の階調度が高いモノクロ・カメラ方が検査に適している場合もある。当社は検査メーカーとして,コスト面を含めたシステム導入の目的と効果を十分に検討し,合理的かつ最適なシステムを提案する責務があると考えている。

    当社は,前身であるコグネックス表面検査システム事業部であった2000年より,日本国内紙パルプ向けに検査システムの販売を開始した。2015年にアメテックとなってからも検査システムのブランド名である「SmartView」はそのままに,「欠陥の形状やコントラスト分布などの詳細な情報(欠陥画像の特徴量すなわち欠陥分類のパラメータ)を抽出することで,検出した欠陥を高精度に分類する」というコンセプトを継承している。当社のカラー検査システムは,今までの欠陥分類パラメータに加え,カラー関連のパラメータを20種類以上追加した。これにより,欠陥の分類精度はさらに向上させることができ,より戦略的に欠陥分類機能を活用することができる。当社の欠陥分類支援ソフトウェア(SmartLearn)と合わせて使用すれば,カラー・パラメータを意識することなく精度のよい欠陥分類を実現することが可能となる。

  • 岩崎 誠
    2017 年 71 巻 3 号 p. 298-303
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    日本をはじめとする太平洋を囲む諸国の紙パルプ研究者・技術者が,2年に1回集まって開催されるPan Pacific Conference(以下PPCと略)が,今回は韓国・ソウルにあるソウル国立大学で,10月25日から27日の3日間開催された。参加者は約350名であり,そのうち半数は,韓国の大学,研究機関および紙パ企業からであり,残る100名は,中国本土,台湾,日本,それ以外にはインドネシア,マレーシア,シンガポールなどの東南アジアからで,アジア勢が大半であった。他は,米国,カナダ,豪州,ニュージーランドなどのPan Pacificからの参加者と,スウェーデン,フィンランドなどの北欧からの参加者であった。発表の内容は,初日と2日目に,合計10件の招待講演があり,さらに,2か所の会場で,様々なセッションが並行して行われた。口頭発表の総数は55件であり,そのうちセルロースナノファイバー関連が最も多かった。また,第1日目から2日目にかけて59件におよぶポスター発表も行われた。本稿では,発表の件数が多かったセルロースナノファイバー関連と,パルプ化関連およびバイオリファイナリー関連の中で興味をひかれた口頭発表に絞って紹介する。

  • 宮西 孝則
    2017 年 71 巻 3 号 p. 305-311
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    最初の高濃度オゾン漂白設備は1992年にUnion Camp社Franklin工場(バージニア州,米国)で稼働し,C-Free®という商標で登録された。パルプはpHを調整してから40%濃度まで脱水され,フラッフィングしてからパドル付の大気圧オゾンリアクターに送られる。現在の高濃度オゾン漂白設備は,C-Free®よりも遥かに簡素化されたバルメット社のZeTracTMが採用されている。オゾンとパルプとの接触時間は1分と非常に短く,オゾンリアクターを小型化し滞留時間は5-10分で設計されている。プラグスクリューフィーダー,レファイナー型フラッファー,アルカリ抽出段前の洗浄機は全て不要になり,投資金額,エネルギー消費量,設備保守費用,排水量が著しく減少した。高濃度オゾン漂白に続くアルカリ抽出(パルプ濃度11-12%)の反応時間は5-10分で,通常のアルカリ抽出(60-90分)とほぼ同等の効果が得られる。オゾンリアクター出口で濃度38-42%のオゾン漂白パルプをアルカリで直接希釈する。アルカリは拡散時間を長くとらなくても直ぐに繊維の中心部に到達し,オゾン漂白で酸化された物質を直ちに溶解する。続いてプレス洗浄機でパルプを脱水し,溶解した物質を除去する。このように高濃度オゾン漂白では,アルカリがパルプに素早く浸透して酸化物を溶解し,直ちにプレス洗浄機で除去するのが特徴である。アルカリを繊維内部に拡散させるための長い浸透時間が不要で,新設する場合,アルカリ抽出タワーの建設費を節約できる。高濃度オゾンECF漂白パルプ及び紙製品の品質,抄紙機の操業性は,塩素漂白時と比べて目立った変化はなく,ほぼ同レベルである。ヘキセンウロン酸(HexA)はほぼ完全に除去でき完成パルプ中にHexAが殆どないLBKPが得られ,紙製品の退色については全く問題ない。排水中のAOX並びにクロロホルムは,塩素漂白時と比べて大幅に減少し,環境負荷の削減を図ることができる。1990年代は設備費の安価な中濃度法が主体であったが,その後の技術開発により高濃度法の設備が改良されて投資金額が減少した。また中濃度法に比べてオゾンを多く添加できること,オゾンガスの昇圧コンプレッサーが不要で毒性のあるオゾンガスを高圧化する必要がないこと,オゾン漂白設備を負圧で運転できるためオゾンガス漏洩の危険性が少ないことから2000年代は高濃度法と中濃度法が拮抗している。ZeTracTMは王子製紙日南工場,大王製紙三島工場,モンディ社Ruzomberok工場(スロベキア),ITC社Bhadrachalam工場(インド),王子製紙南通工場(中国)等に導入されている。

  • 2017 年 71 巻 3 号 p. 312-317
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル 認証あり

    Omron is guided by the Omron Principles. We reflect these principles in how we create numerous products and services that anticipate the needs of society, solving a variety of social issues. Omron will continue to improve lives and contribute to a better society through our businesses, generating sustainable corporate value. Omron manufactures and sells market-leading sensing and control products in over 110 countries around the world. Our products include control equipment, electronic components, automotive electronic components, social infrastructure, and healthcare.

研究報文
  • 河部 千香, 深沢 博之, 稲垣 哲也, 土川 覚
    2017 年 71 巻 3 号 p. 318-325
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    [早期公開] 公開日: 2016/02/26
    ジャーナル フリー

    近赤外分光法は食品や薬品などの多くの分野で実用化されている。製紙分野でも古くからオンライン水分計として多くの工場で利用されているが,水分計以外の用途について,まだ広くは利用されていない。

    そこで本研究では,近赤外分光法を用いて木材パルプを中心に,紙に含まれるパルプ繊維を複合的に評価する手法の開発を目指すこととした。試験法として,①産地の異なる広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)(計8種)と針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)(計3種),ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)を始めとする様々な種類のパルプ繊維から作製した試料の繊維組成試験,②LBKPのろ水度評価,③LBKPのリサイクル回数の異なる試料のリサイクル回数評価試験を検討した。

    ①について,それぞれのパルプ繊維は主成分分析によりはっきりと分離でき,繊維の種類を判別することが可能であることが分かった。検討に用いたパルプ繊維のうち任意の2種を混合した紙の近赤外分光スペクトルをPLS回帰分析すると,含まれているパルプ繊維が分かっていない試料についても定量分析可能であることが分かった。②,③についても,近赤外分光法を適用すれば,今回検討に用いたLBKPに関して,評価可能であることが示された。

    近赤外分光法による定性・定量分析は従来から行われている染色法と比較して,測定時間が短縮でき,経験を積まなくても非破壊で簡便に測定ができる。

    今回,3つの項目をそれぞれ検討したが,これらの手法は解析に用いる水準や測定回数の増加,説明変数に用いる波数帯の最適化,異なる回帰手法の適用などにより,さらに精度が向上し,1度の測定でいくつかの項目が瞬時に評価可能となることも考えられる。より実用化が進めば,近赤外分光法が使用する原料を評価する有効な解析法の一つになりうると期待される。

  • Chika Kawabe, Hiroyuki Fukasawa, Tetsuya Inagaki, Satoru Tsuchikawa
    2017 年 71 巻 3 号 p. 326-334
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー

    Near infrared spectroscopy (NIRS) has been applied in some fields such as medicines, chemicals and ag ricultural products. In this report, NIRS was applied to paper sheets to analyze the contained pulp qualita tively and quantitatively. LBKP, NBKP, CTMP and others could be classified by principal component analysis (PCA) for NIR spectra. The blend ratio of LBKP, NBKP and CTMP in the both mixtures of LBKP and CTMP, and NBKP and CTMP could be determined respectively by partial least squares regression (PLSR)for NIR spectra within the coefficient of determination (R2 value) of 0.98. Furthermore, the ratio of mixture of KP and another pulp on the paper could be determined somewhat correctly even if we do not know what kinds of pulp were contained. NIRS could also be used to estimate the drainability of LBKP; that is, the pre dicted value was very close to the measured value. NIRS was also applied to evaluate the degree of degrada tion of pulp. PCA for NIR spectra of LBKP has revealed the linear relationships between recycled times and score.

    The NIR technique is faster than staining techniques, and does not require special training. If we could have tested a wider variety of samples, if we had more time, and if we could have optimized the analysis con dition, it would be possible to estimate more precisely.

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