紙パ技協誌
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75 巻, 12 号
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環境特集
  • 環境技術委員会
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1079
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
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  • 福田 知世
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1080-1085
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル 認証あり

    古紙消費量は板紙が多く,板紙で消費される古紙のほとんどは段ボール古紙である。

    紙の製造工程を取り巻く環境としては,古紙利用率の増加があり,それによる環境・操業への影響としては,製造工程,排水処理工程において,下記がある。

    製造工程においては,古紙使用量の増加により,⑴灰分・微細繊維が増加し,白水濃度が上昇し,汚れ・欠点が発生する,⑵微生物の汚染が進み,澱粉が分解し,紙力の低下が起こる,⑶微生物の汚染が進むことで,硫化水素・有機酸が生成され,臭気トラブルが発生する。

    排水処理工程においては,⑴白水濃度の上昇により,SS・灰分の堆積し,排水負荷増加や臭気などの環境負荷が増加する,⑵澱粉の分解により,紙力剤の添加量が増加し,薬品由来のCOD,BOD上昇で排水負荷増加する,⑶硫化水素・有機酸の生成により,薬品定着不良や使用量が増加し,排水負荷が増加する。

    古紙原料の変動は,製造工程から排水処理工程まで工場全体の環境負荷に影響を及ぼすことが予想される。環境負荷低減に向けた課題を解決するためには,工場全体の水質変化を捉えた総合的なソリューションが必要である。

    環境負荷低減に向けた課題と対策として,当社の取り組み内容は以下の通り。

    ⑴ 微生物汚染による課題と対策

    板紙は,澱粉の多い段ボール古紙の利用率が高く,澱粉は微生物の栄養源になるため,微生物汚染による臭気や排水負荷の増加が課題である。対策として,「スライムコントロール剤+エアレーション」の新システムとその事例を紹介する。

    ⑵ 灰分・微細繊維増加による課題と対策古紙の配合率が増えると,薬品原単位の増加,歩留低下や白水濃度の上昇,欠点・断紙等の品質低下,それに伴う排水負荷の増加が起こる。対策として,「水質にあった最適な凝集剤・凝結剤の適用」の取り組みと事例を紹介する。

    ⑶ 水質管理による処理の最適化

    水質の変動と操業には強い関連性がある。また,様々な要因で水質・操業は変動するため,変動を捉え,操業の安定化,環境負荷リスクの低減を図るために,データを監視・管理し,その時々にあった最適処理が必要である。水質の連続監視・管理による処理最適化を実現する「S.sensing®システム」と当システムを活用した水質管理の事例について紹介する。

  • 坂本 裕尚
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1086-1096
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル 認証あり

    処理業者は不適正処理しやすい環境にあり,過去に処理業者による“横流し”事例があった。食品製造業者等から処分委託を受けた食品廃棄物が,愛知県の産業廃棄物処理業者により,食品として売却されてしまった事案が背景にあり,マニフェストの虚偽記載に対する罰則の強化がなされた。

    事案の主な問題点は,⑴産業廃棄物の処理フローが不透明であるため,排出事業者や行政庁が,電子マニフェストの偽造記載等の廃棄物処理法違反事由に気づくことができないこと,⑵産業廃棄物処理業者に関する情報が不十分であるため,排出事業者が優良な産業廃棄物処理業者を見分けることが困難であること,⑶許可取消後の処理業者が,改善命令等の対象とならない,等である。

    処理業者がよくやってしまいそうな違反には,廃棄物の種類の許可,排出事業者は誰か,処理をしているか,2次委託先以降の紐づけ,マニフェストの返送,がある。

    処理業者の欠格要件には,禁錮以上の刑に処せられた場合,環境法令に違反し,罰金の刑に処せられた場合,刑法若しくは傷害罪などの罪を犯し罰金の刑に処せられた場合がある。

    排出事業者に対する罰則には,⑴不法投棄,⑵無許可業者への処理の委託,⑶契約の未締結,未記載,虚偽記載など,⑷マニュフェストの未交付,未記載,虚偽記載など,がある。

    このコロナ禍での処理業者の不適正処理リスクの最小化策として,事前調査シートの活用,リモート監査を行う際の注意点を解説する。

  • —音響カメラとシミュレーションによる可視化—
    平田 武士
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1097-1103
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル 認証あり

    騒音とは,「好ましくない音,不必要な音,迷惑と感じる聞きたくない音」であり,音を客観的に把握する必要がある。音とは,媒質(空気,水等)の振動により聴覚に引き起こされた感覚またその要因となる空気等の振動である。音の物理量とは,音響パワー(音源が単位時間に放出する音のエネルギー),音圧(あるポイントの大気圧との微少な圧力変動),音の強さ(音の伝搬方向に対して垂直な単位面積を通じて単位時間に流れる音のエネルギー)である。音の認識とは,物理的レベル(空気の振動としての音),生理的レベル(鼓膜が空気の振動を捉える。この振動は神経信号に変換され,脳に伝わる),心理的レベル(脳によって高度な情報処理を行って「音」として認識する)があり,耳の特性,聴覚神経による伝達を経て「聞こえた」と感じる空気の振動としての音と人間が感じている音には違いがある。騒音レベルとは,人の耳の特性に合わせて補正した音圧レベルであり,騒音計の場合は周波数重み付け特性A補正回路で計測する音圧レベルである。

    騒音源の場所を探すには聴感上の判断と騒音計による測定が一般的である。しかし,他者との情報共有や高所などの危険個所での測定が困難なことから,マイクロホンアレイを用いた音源探査技術による測定で,測定位置への音の到来方向と強さを調べることができる。弊社の音響カメラであるSoundGraphy®の特徴は,画期的な小ささと軽さ,現場でも使用可能,珍しい球型音響カメラ,タブレットPCで簡単操作,音の発生状況をリアルタイム表示,データ保存機能でプレイバック&再分析,可視化動画で様子を共有可能である。

    音響シミュレーションによっても可視化が可能だ。これは,現実に難しい条件など想定する場面を再現したモデルを用いて分析する手法であり,今起こっている問題の推定とその対策効果を視覚的にも事前に確認できる。

    騒音対策の例として,⑴現地調査(騒音状況のヒアリングと専門業者視点での現地問題推定),⑵現況の騒音状況をモデル化(調査を基にシミュレーションを行い寄与を推定),⑶対策シミュレーション(対策方法を検討し効果を事前に予測),⑷対策工事(シミュレーション結果を基に対策方法の提案・対策工事),⑸対策後の確認測定,となる。

  • 住田 忠
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1104-1107
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
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    石炭焚火力へのアンモニア混焼について

    火力発電の脱炭素化に向け,今後の石炭火力が求められるニーズには,廃止対象火力の延命化,残存石炭火力の機能向上,廃止後の火力新設がある。

    アンモニア利用拡大の流れは,日本国としては水素エネルギーの普及を促進しているが,アンモニアもCO2フリー燃料として検討されつつある。

    アンモニア利用のメリットは,水素含有率が高い,水素と異なり比較的容易に液化可(輸送に向いている),既存の製造,輸送,貯蔵のインフラ技術が利用可,直接燃焼あるいは水素化し,ボイラ,ガスタービン,燃料に使用可,等である。

    課題としては,⑴アンモニア設備の安全性確立(法規整備),⑵現状,天然ガスを改質,合成する製造方法であり,CO2フリーにならない ⑶相対的に化石燃料より高価格である,⑷現状,肥料などへの利用が主であり貿易量が少ない,がある。

    混焼技術は,アンモニアの燃焼速度は石炭(微粉炭)とほぼ同じであり,アンモニア混焼により伝熱部の改造は不要である。ボイラはバーナ改造のみで対応可能である。アンモニア混焼によるNOx抑制について,炉内脱硝の滞留時間確保及び脱硝装置強化により,当社は最適経済性案を提示可能である。当社は高効率で環境に優しいエネルギー創出システムの拡充・普及に力を注ぎ,エネルギーの脱炭素化を促進する。

    バイオマス混焼技術

    火力発電の脱炭素化に向け,CO2フリー燃料であるバイオマスの活用が期待されている。既設石炭火力(微粉炭焚ボイラ)のバイオマス混焼改造として使われるバイオマス燃料は,その粉砕性から木質ペレットが主となる。

    木質系バイオマスである木質チップは,大きな木材を切ったり削ったりして作られた,中小サイズの木材である。木質ペレットはこの木質ペレットに数工程付加することで製造される。同じく木質系バイオマスであるパーム椰子殻はパーム農園の副産物であり,持ち運びが容易で安価な燃料である。廃棄物は,通常費用をかけて焼却または埋め立て処理される潜在的なバイオマス燃料である。

    バイオマスの混焼は,バーナやミルといった燃焼装置の改造を主とした,確立された改造メニューを適用することで実現される。実際の改造は,発熱量割合で石炭との混焼比率で5〜50%混焼や,100%バイオマス専焼といった設計条件で適用される改造メニューを選択することになる。当社では30%混焼ユニットから100%専焼ユニットまで豊富な実績を有している。当社はCO2削減の有力策といえるバイオマス利用をはじめとして,多くの実績のある燃焼技術を活かした新たなソリューションを提案する。

  • 平野 浩太郎
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1108-1119
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル 認証あり

    昨年10月の菅総理による「2050年カーボンニュートラルを目指す」という発言,また今年4月の気候変動サミットにおける「2030年に温室効果ガスを2013年比46%削減を目指す」という発言以降,気候変動対策の技術としての「CCUS」に内外の関心が高まっている。

    我が国は,2019年11月に苫小牧CCS実証センターにおいて,累計CO2圧入量30万トンを達成,CO2の分離・回収から貯留・圧入まで一貫したCCSシステムを実証した。圧入したCO2については,海洋汚染防止法に基づき継続してモニタリングをしており,現在までCO2の海洋への漏洩の兆候は見られていないところである。

    CCSに関しては,2019年6月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」において,「商用化を前提に,2030年までにCCSを導入することを検討する」とされており,経済産業省地球環境対策室では,この「長期戦略」の規定及び苫小牧におけるCCS実証試験から得られた課題に基づき,2030年のCCS商用化に向け,①CCSのコスト低減,②CO2輸送手段の確立,③CCSとカーボンリサイクルの組み合わせによる拠点化,④貯留適地の確保,⑤CCS導入に向けた事業環境整備,等の諸政策に取り組んでいる。

    本講演では,苫小牧におけるCCS大規模実証試験の結果及びCCUSに関する政策展開の方向性をご報告させていただく。紙パルプ業界で気候変動対策を検討される際の一助にしていただければ幸いである。

  • 有馬 純
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1120-1131
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル 認証あり

    中国,インド,インドネシア,ロシア等の新興国は石炭火力の2030年までのフェーズアウトや産業革命前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5度までに抑える目標,2050年カーボンニュートラルに強く反発しており,G7とG20の考えに乖離がある。17のSDGsの温暖化防止のプライオリティは国によって全く異なっている。

    中国は,2060年のカーボンニュートラルを表明した。世界の脱炭素化気運を促進して,自国製のパネル,蓄電池,風車,電気自動車の市場を拡大している。

    我が国は,成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて,グリーン社会の実現に最大限注力し,2050年までにカーボンニュートラル,脱炭素社会の実現を目指すことを,菅総理が宣言した(2020年10月26日)。成長が期待される14分野の産業について高い目標を設定し,政策を総動員するものである。

    脱炭素化はコストを伴い,環境保全と経済成長は常に両立するものではない。

    新たな低炭素燃料として注目されるアンモニアで日本は主導的な立場であり,日本だけでなく,石炭火力に依存するアジア各国の低炭素化に貢献するものである。

    日本企業は2050年に向けた将来技術の開発・普及で市場を確保すべきであり,日本の技術のコスト競争力を高め,アジアにおける排出削減に貢献すべきである。

  • —SDGs目標に対するワーキンググループ検討結果—
    相川 晃宏
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1132-1136
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル 認証あり

    SDGs(Sustainable Development Goals)とは,「持続可能な開発目標」のことで,2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択された,2030年までにより良い世界を目指す国際目標である。貧困,飢餓,経済,ジェンダー,環境問題など,幅広い社会課題を対象とした意欲的な行動計画で,17のゴールと169のターゲットから構成されており,国内外の先進企業の多くは,SDGsを新たなビジネスチャンスと捉え,経営戦略に取り込もうとする動きが活発化している。

    日本製紙連合会では,低炭素社会・自然共生社会の実現に向けて各種行動方針を設けて取組を進めており,これらの取組はSDGsの目指す方向性と親和性が高い。このため,サステナビリティ領域での紙パルプ業界のプレゼンス向上,メンバー間での情報共有を目的に,SDGsワーキンググループを2019年12月に設立し,19社が参加の上,2020年7月から2021年3月までの6回議論を行った。

    SDGsワーキンググループでの検討プロセスとして,参加メンバーにアンケート調査を実施し,マテリアリティ(案)を提示・確認の上,そのマテリアリティの領域で,各社のリスク機会,取組,SDGs目標についてのデータ収集を行った。結果,236のリスク,307の機会,そして516の取組とトータル1,059の回答を受領し,これらの膨大な回答を取り纏め,以後の検討の基礎データとして活用した。そして,この基礎データをベースに紙パルプ業界の分析を行い,業界の13のマテリアリティを抽出した。そして,マテリアリティ領域における業界のリスクと機会を特定の上,リスクと機会に対応する業界の現状の取組を抽出・整理し,現状の取組に対応する業界のSDGs目標およびターゲットを分析・設定をした。13のマテリアリティごとに各項目(概要,SDGsへの貢献,リスクと機会,取組事例,業界で達成すべき定性目標KPI,取組課題)を反映・整理の上,「マテリアリティの内容と取組のポイント」として纏めた。

    考察として,業界の現状分析・整理をベースに,課題を抽出するとともに,マテリアリティごとにSDGsをマッピングの上,業界が貢献している8つのSDGs,更なる貢献が期待される4つのSDGsを特定した。

    課題および課題克服へ向けた対応方針と戦略的取組についても解説する。

総説・資料
  • 第11部 紙が促した社会変革
    飯田 清昭
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1137-1142
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル 認証あり

    14世紀になると,ヨーロッパで紙の生産が始まり,時期を合わせて,社会がダイナミックに動き出す。

    イタリアに始まるルネッサンス(14世紀中ごろから16世紀)で膨大な文献が翻訳,研究されるが,その紙の需要に,生産性と品質を改善したイタリアが答えた。

    イタリアの技術がフランス北部の新教徒に伝わり,フランスが最大の生産国となる。ルネッサンスで生まれた理性を信じる考えから宗教改革(1517年)が始まる。ここでは大量の印刷物が発行され,a media revolutionと呼ばれた。これを支えたのがフランスの紙であろう。このフランスの技術は,ナントの勅令の廃止(1685年)によりヨーロッパ各地に広がる。

    それに続いて,フランスを中心に啓蒙時代(17世紀後半より)となり,書籍が日常的なものとなる。オランダがHollander beaterを開発,ストダウンに成功し,ヨーロッパ最大の製紙国となり,紙を輸出・供給した。

    紙が支えてきた知的活動が産業革命(1760-1840年)としてイギリスに結実する。技術を汎用化し,情報の交換に寄与した紙は,新たに力をつけたイギリスの製紙産業が供給した。

    製紙産業の興隆が,その地域で起きた経済発展とそれに続く社会変革と連動している。紙作りという単純な作業が,社会変革の壮大うねりと結びつき,意味のある存在であった。

  • 第17回:雑誌における自由と倫理の関係について
    尾鍋 史彦
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1143-1145
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
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    人間は自由意志をもち,自由意志の赴くままに奔放に行動すると社会は混乱し不安定となる。そのために人間の組織・集団においては行動の規範としての倫理規定が必要となる。

    政治の世界では贈収賄に関わる汚職が起きるたびに政治倫理が叫ばれ,企業の場合には製造段階での検査データの改ざんや公共事業における入札に関わる情報の漏洩などが多発するたびに企業倫理が叫ばれる。学界の場合には実験データの改ざんや捏造,剽窃,知的所有権・著作権の侵害など権利関係の問題が起きるたびに学会倫理の重要性が浮上する。倫理規定をもつ大きな目的は政治の世界でも,企業活動の場合も,学界活動の場合も人倫にもとる不正行為の発生を事前に抑制し,組織や社会の不安定化を防ぐためのようだ。

    本稿では倫理という人間の行動の抑制条件の原点にさかのぼり,人間の様々な行動との関係,出版の倫理,雑誌の倫理,企業の倫理,学界の倫理などを融合して,紙パ技協誌に現状では存在しない倫理規定のようなものがもし作られるとすると,どのような形態をとるべきかという問題を考えて見たい。

  • 〜「最古の紙」,および我が国で書かれた「最古の紙」〜
    辻本 直彦
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 75 巻 12 号 p. 1146-1154
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
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    The “oldest paper” that exists in Japan, that is, the “Li Bai Document (Draft of a letter by Li Bai)” written in China in 328, and the “oldest paper written in Japan (615)”, that is, Prince Shotoku’s autograph “Hokke gisho (Commentary on The Lotus Sutra)”, those two cultural heritages are explained in this paper.

    The raw material of the paper of “Li Bai Document” is apparent, because a part of linen cloth can be seen on the paper. On the other hand, the content of the document was extremely difficult to decipher, but at the end of the Meiji era, a Japanese researcher succeeded in the identification of Li Bai and also the deciphering the content, and the value of the “Li Bai Document” became known to the world.

    Regarding “Hokke gisho”, it was reported by Nara National Museum in 1921 that the paper was dyed yellow. Until recently, the opinion that “Hokke gisho” was not written by Prince Shotoku was supported by the academic circles of Japanese History. In this article, it is explained in six items that “Hokke gisho” was written by Prince Shotoku, and one of the items is a research result by using a search system that digitizes almost all Buddhist texts (about 100 volumes). I will clarify the validity that “Hokke gisho” was written by Prince Shotoku.

シリーズ : 大学・官公庁研究機関の研究室紹介 (142)
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