紙パ技協誌
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76 巻, 11 号
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研究発表会特集
  • 木材科学委員会
    原稿種別: 会議報告
    2022 年 76 巻 11 号 p. 963-970
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル 認証あり
  • 磯貝 明
    原稿種別: その他
    2022 年 76 巻 11 号 p. 971-978
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル 認証あり
    アルキルケテンダイマー(AKD),ポリアミンアミドエピクロロヒドリン(PAE)樹脂,硫酸アルミニウムに代表される製紙薬品は,発明から60年以上の実用化実績があり,多くの基礎および応用技術が蓄積されている。しかし,実際の抄紙工程は複雑であり,内添薬品による機能発現の現象やトラブルを矛盾なく全て説明できるような理論が構築されているわけではない。内添の場合には,抄紙系が複雑化しているからこそ,トラブル対応として,まずは添加薬品の紙中の含有量(歩留り量)を分析-評価する必要がある。紙中の微量のサイズ剤成分は熱分解ガスクロマトグラフィーにより,窒素を含むカチオン性あるいはアニオン性の高分子の定量にはガスクロタイプの窒素含有量分析装置により,アルミニウム等の元素成分はシートの蛍光X線分析によって定量-分析が可能である。多くの内添薬品トラブル,添加効果の低減は,添加薬品のシートへの歩留り量の低下が原因であることが多い。一方,同じ紙中含有量でも効果が全く異なる場合もあり,その場合にはシート中あるいは繊維上での添加剤成分の分布状態が影響している。抄紙工程での添加薬品成分のシートへの定着-歩留り,紙中での均一分布,それによる効率的な機能発現には,パルプ繊維中および微細繊維中の微量カルボキシ基が関わっている。カルボキシ基を足場とする添加剤成分との水系でのイオン結合による定着が紙の機能発現の第一条件となる。このカルボキシ基を足場とする添加剤成分による表面改質機構は,荷電基を表面に高密度に有するセルロースナノファイバーの効率的な耐水化,疎水化にも関連しており,製紙化学の基礎研究がセルロース繊維を含む親水性のバイオ系素材の効率的な表面化学改質-機能化手法として展開することに期待したい。
  • 柴田 俊, 松田 礼生, 上原 徹也
    原稿種別: その他
    2022 年 76 巻 11 号 p. 979-982
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル 認証あり
    ダイキン工業は,天然由来成分を使用した紙用非フッ素耐油剤「XP-8001」を開発した。
    当社の紙用耐油剤「ユニダイン」は,“油を弾く”機能にこだわり,撥油性を有するフッ素材料による製品開発を行ってきた。今回,日々高まるサスティナビリティのご要望に応えるため,フッ素材料を含まない紙用耐油剤の開発に取り組んだ。非フッ素材料は,その材料特性から高撥水撥油性能を発現させることは困難であるが,表面張力の低いアルキル基の結晶性を高めることで,高温での耐油性を実現した。澱粉類の併用によって薄膜でも耐油性の発現が可能である。また,XP-8001は,紙が本来持っている特性である通気性や離解性を大きく損なうことなく,耐油性の付与が可能である。
  • 野田 弘之
    原稿種別: その他
    2022 年 76 巻 11 号 p. 983-985
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル 認証あり
    この報告は紙の抽出pHの測定において,特に紙からのイオン化した抽出物が少ない時に生じる現象について論じる。採用する抽出pHの測定方法により測定値が変わることがありその調査を行った。
    特種東海製紙では,文化財の保存や文書の保管等に用いる紙製品の品質表示の1つとして抽出pHを用いる。これらの商品はISO規格や納入仕様で抽出pHの範囲が規定されている。現行のJIS規格である抽出pH測定方法はISO6588-1:2012と同様であり,ガラス電極を使用する方法である。ISO規格の2012年の改訂以前は塩化カリウムを添加しない方法であり,特に溶出する電解質が少ない測定対象の場合は,測定結果に差が生じることがJIS規格にも記載されている。炭酸カルシウムを内添する中性紙のように,イオン化する成分があればガラス電極で安定した測定結果が得られる。一方で測定原理として抽出液の電解質が少ないpH 7前後の中性領域の場合には,測定対象である紙の影響よりも,使用する水や測定方法の影響を受けた。この現象は測定原理上避けられず,特に中性領域においてはその影響がpHの測定値として表れやすい。
    測定時に塩化カリウムを添加する方法を採用すると,pHをガラス電極で測定する対象となる抽出液サンプルの導電率が上がり,測定データの偏差が少なくなる。一方で塩化カリウムを入れない方法に比べて,塩化カリウムの添加量が多い方法ほどpHは低くなる傾向となった。
    また抽出時に使用する水の純度,導電率については,塩化カリウムを添加する方法では,pHの測定結果に影響は少ないが,塩化カリウムを添加しない方法を採用した場合,水の純度が高い方が測定データの偏差が大きくなった。
総説・資料
  • 本多 覚
    原稿種別: その他
    2022 年 76 巻 11 号 p. 986-991
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル 認証あり
    王子マテリア㈱富士工場は,中芯原紙を抄造するN-1マシンと白板紙を抄造するN-2マシンの2台の抄紙機を所有している。いずれのマシンも古紙100%での抄紙が可能であり,資源循環型工場として王子マテリアの一翼を担っている。
    中芯を抄造するN-1マシンは抄速1,000 m/min以上で抄紙可能な国内有数の板紙高速マシンであり,日々マシンの高速化による生産増及び効率化を進めているが,それに伴う抄紙用具の汚れが起因となって欠点の発生や断紙トラブルを誘発している。特にドライパートに堆積するガムピッチ由来の汚れがトラブルの要因となっているため,既設の高圧水カンバスクリーナーによる洗浄強化やブレード式クリーナーの定期掃除により対策を講じてきたが,作業の安全性確保含め苦慮していた。そこで2021年8月にドライヤーパートの中で最も汚れが多い1群へファブリキーパーを設置し対策を講じたところ,良好な結果が得られたため,その操業経験と効果について報告する。
  • ―エアロジェル増し保温®工法による保温材熱ロス削減―
    陶山 翔
    原稿種別: その他
    2022 年 76 巻 11 号 p. 992-995
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル 認証あり
    2050年のカーボンニュートラル・脱炭素社会に向けて,省エネ対策は必須である。その中で,「保温」に注目して現状と対策を記す。
    産業分野での熱ロスは,660 PJ/年と推測され国内製造業の消費エネルギーの11%となる。主な原因は保温材の含水劣化であり,プラントの老朽化と共に保温材劣化も進行している。その中でも蒸気配管からが最も多く,気付かないうちに発生し続けている。対策として,「エアロジェル増し保温®工法」を紹介する。
    「①潜在熱ロスの見える化②エアロジェル増し保温®工法による保温改善③施工後の効果の検証」までのビジネスフロー『エアロジェル「増し保温®工法」による保温材熱ロス削減』で平成30年度省エネ大賞経済産業大臣賞(ビジネスモデル分野)を受賞した。
    まず熱ロスの見える化として,サーモグラフィを使用した熱診断がある。対象物の,放散熱量を測定し熱量価格などから投資回収年数の提案を行なう。
    保温改善としてエアロジェル増し保温®工法がある。使用する断熱材は,低熱伝導率,はっ水性,水蒸気透過性の特性を持つ,Aspen Aerogels社のエアロジェル断熱材「パイロジェルXTE」。
    工法の特徴は,含水劣化した既設保温材の上から高性能なパイロジェルXTEを巻き付け,乾燥を促進し,既設保温材の機能を回復させる事にある。さらに,パイロジェルXTEの保温性能がプラスされ大きな省エネ効果が期待される。
    増し保温®の施工事例として,施工後10年経過後も保温性能が維持されており,継続的に安定した省エネ効果が確認された。
  • 堂阪 敏夫
    原稿種別: その他
    2022 年 76 巻 11 号 p. 996-999
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル 認証あり
    新しい繊維回収フィルタとは既存の濃縮機や洗浄機の白水に含まれる繊維をスクリーンで回収する技術である。このスクリーンには新しく開発された最小直径50 μmからなるFRBと呼んでいる微小丸孔バスケットを採用している。このFRBの大きな特徴として,まず微小丸孔プレートを波型形状にすることで,プレート強度を上げながら開口面積を増やすことに成功した。次に波型形状したプレートによりロータによるプレート表面のクリーニング効果の大幅な改善を達成し,従来のプレーンなバスケットに比べて,高圧洗浄する頻度が半分以下となった。最後に,組立式バスケットを採用しているため,消耗したプレートのみ交換することでバスケットの再生が可能となった。
    たとえばLBKPを処理した洗浄機の白水を繊維回収フィルタで処理することで,繊維長が0.5 mm以上ある有用繊維を64%以上回収することができる。さらに新しい繊維回収フィルタは,濃縮機や洗浄機の白水から繊維を回収するだけではなく,フローテータフロスからの繊維回収,低処理量の濃縮機,白水中の異物除去など,他のアプリケーションに展開できる可能性を秘めた新技術である。
  • 木村 悟朗, 内田 有治, 渡邉 裕行, 廣野 光輝
    原稿種別: その他
    2022 年 76 巻 11 号 p. 1000-1002
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル 認証あり
    蛍光灯器具の生産終了に伴い,特殊用途用ランプである誘虫ランプもLEDが必要となっている。我々は2017年にLEDを光源とする捕虫器の販売を開始した。本報告は長寿命,省エネ化した新LED光源の誘虫性能を明らかにするために旧LED光源と比較した。本試験により,新光源は省エネ化による捕虫力低下はなく,旧光源と同等の捕虫能力を有することが明らかとなった。
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