2050年のカーボンニュートラル・脱炭素社会に向けて,省エネ対策は必須である。その中で,「保温」に注目して現状と対策を記す。
産業分野での熱ロスは,660 PJ/年と推測され国内製造業の消費エネルギーの11%となる。主な原因は保温材の含水劣化であり,プラントの老朽化と共に保温材劣化も進行している。その中でも蒸気配管からが最も多く,気付かないうちに発生し続けている。対策として,「エアロジェル増し保温
®工法」を紹介する。
「①潜在熱ロスの見える化②エアロジェル増し保温
®工法による保温改善③施工後の効果の検証」までのビジネスフロー『エアロジェル「増し保温
®工法」による保温材熱ロス削減』で平成30年度省エネ大賞経済産業大臣賞(ビジネスモデル分野)を受賞した。
まず熱ロスの見える化として,サーモグラフィを使用した熱診断がある。対象物の,放散熱量を測定し熱量価格などから投資回収年数の提案を行なう。
保温改善としてエアロジェル増し保温
®工法がある。使用する断熱材は,低熱伝導率,はっ水性,水蒸気透過性の特性を持つ,Aspen Aerogels社のエアロジェル断熱材「パイロジェル
™XTE」。
工法の特徴は,含水劣化した既設保温材の上から高性能なパイロジェル
™XTEを巻き付け,乾燥を促進し,既設保温材の機能を回復させる事にある。さらに,パイロジェル
™XTEの保温性能がプラスされ大きな省エネ効果が期待される。
増し保温
®の施工事例として,施工後10年経過後も保温性能が維持されており,継続的に安定した省エネ効果が確認された。
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