紙パ技協誌
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77 巻, 2 号
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CNF特集・家庭紙特集
  • 奥田 敬子
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    カーボンニュートラルで再生可能な資源である木質バイオマスの多面的な利用が期待されている。なかでも,樹木の主要構成成分のひとつであるセルロースに由来する新規ナノ材料として,セルロースナノファイバー(CNF)が注目を集めている。当社では,木材パルプ中セルロース分子の一部の水酸基にリン酸基を導入し,得られたリン酸エステル化パルプを機械処理する独自のCNF製造方法を確立した。得られたリン酸エステル化CNFは高収率で完全ナノ化(幅約3 nmへの微細化)しており,その水分散液は高透明かつ高粘性でpH3-11という幅広い液性でも安定している。表面化学構造を解析した結果,モノリン酸だけでなくポリリン酸基が存在し,セルロース分子の水酸基のC2位およびC6位にのみ選択的に導入されることが明らかとなった。また,リン酸エステル化CNFの水分散液を脱水,乾燥させることにより,CNFが緻密に絡まったCNF透明シートを形成することが可能である。このシートは高い透明性と強度を有し,熱寸法安定性にも優れている一方で,紙のような柔軟性も有している。当社では,実用化推進のため,水分散液やシートの実証プラントが稼働中である。実用化の第一段階として,水分散液は化粧品用増粘分散剤やコンクリート圧送用先行剤,シートは卓球ラケット用素材などの用途で製品採用されている。我々は今後もリン酸エステル化CNFの特長を活かし,更なる用途開発を進めていく。
  • ―CNF技術の応用展開―
    吉松 丈博
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    印刷用紙の需要は,電子化の流れの中で引き続き減少していくことは避けられないが,一方で,脱プラスチック・紙化などの動きにより,包装紙材,搬送紙材などの需要は増加していくことが予想される。また,紙は持続可能な天然資源でCO2を固定化できる木から作られるため,その紙をベースとして様々な機能を持つ材料を開発することで,SDGsやGHG削減など世の中に大きな貢献ができると考えている。
    日本製紙グループの理念は「世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献します」であり,スローガンは「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業として,これまでにない新たな価値を創造し続け,真に豊かな暮らしと文化の発展に貢献します」である。今回の開発は,この理念とスローガンに則り,基盤事業である紙の製造技術に,木から製造する究極の超極細素材「セルロースナノファイバー」の製造技術を合わせることで,現在,世の中が最も必要としている機能の一つである「抗ウイルス」を有する紙(npi抗ウイルス紙)を開発したものである。その性能としては,インフルエンザウイルス,ネコカリシウイルスだけでなく,新型コロナウイルスに対しても高い抗ウイルス性を発揮し,さらに抗菌・消臭効果も認められている。2021年11月に「紙本体,銅などの無機系で,抄き込み」のカテゴリでは業界初となるSIAA抗ウイルス加工の認証を取得し,現在,封筒,名刺,など身近な感染防止策や不特定の人が触れる可能性がある共用物に使用されるケースが多い。人々の生活における接触感染を防止し安心・安全をお届けすることができれば幸いである。
  • 永野 大作
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 97-100
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    2018年から当社は米国レースに参戦するSAMURAI SPEEDにCNF素材を提供し,レースに出場する電気自動車にCNF素材を用いたパーツを実装することで,社会実装のための評価をおこなっている。毎年実装箇所の拡大や,新たなCNF素材の実装を進め,2022年にはドアミラーにCNF複合樹脂,ボディにはCNF成形体,CNF連続成形体を実装して,軽量化に貢献してきた。また過酷な環境での走行でも通常車両と同様,耐久性においても支障なく走行することができた。レース車両のボディで使用したCNF成形体はCNFとパルプ繊維を複合化しシート化した材料で汎用プラスチックを大きく上回る力学特性を有する。またCNFとパルプのみで構成されているので環境対応型の素材である。ドアミラーで使用したCNF複合樹脂,ELLEX-R55はセルロース濃度55%まで高めたCNF複合樹脂である。樹脂のフィラーとしてセルロースを複合化することにより樹脂補強効果が得られるため,減プラスチック効果が期待できる。植物由来,高強度,高弾性,リサイクル性というCNFの特性を活かし,プラスチック削減,車両軽量化によるCO2削減に貢献するとともに,当社では2024年以降の中期事業計画でのCNF事業の拡大を図っていく。
  • 森 陽太
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    不織布は細孔径が大きくリチウムイオン電池向けセパレータとして使用できないといわれている。実際に不織布を使用した電池セルの作製を行い,不具合の発生についての確認試験を行った。試験には手漉きにて自作したのPET不織布,セルロース不織布を用いた。比較対象として市販のポリオレフィン微多孔膜と開発品であるセルロースナノファイバー微多孔膜(商品名FIBLIC)を用いた。評価試験の結果,PET不織布用いたセルでは初期のエージング工程で絶縁不良とみられる充放電効率の低下がみられた。セルロース不織布を用いたセルについてはエージング工程における問題は生じなかったが,0℃フロート試験(4.2 Vでの定電圧充電)においてデンドライト生成による微短絡と思われる電圧の変動が確認された。開発品のセルロースナノファイバー微多孔膜では,ポリオレフィン微多孔膜と同様に問題はみられなかった。細孔径が十分に小さいため十分なデンドライト耐性を持つためと考えている。
  • 大木 博成, 下川 知子
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    CNFは軽量・高強度を特徴とするバイオマス由来の素材であり,ソーダ・アントラキノン蒸解により国産スギチップから調製したパルプを原料とした酵素処理と機械処理を併用した酵素・湿式解砕プロセスによって製造された無修飾のCNFを用いて耐候性に優れた木材用の塗料開発を行った。酵素・湿式解砕によるCNFは他のCNFに比べて水性塗料との分散性に優れていた。
    CNF混合塗料の試作では分散条件,CNF添加量,CNFの長さ(短いもの,長いもの)等を検討して塗料を設計し,促進耐候性試験による屋外用途での耐久性,また塗膜をフィルム状に乾燥した試験体を作製し,引っ張り試験による塗膜物性を評価した。その結果,下塗り塗料では水性塗料へのCNFの配合により変色度合いを1/2以下に抑えられることが明らかになった。
    木質チップからCNFまで一貫製造できる設備を導入し,塗料への配合に適したCNFを自社製造できる体制を整えた。その後の研究によってCNFを配合した屋外用の下塗り塗料(CNFシーラーとして製品化)は変退色や塗膜のワレ,はがれを抑制することが明らかとなり,試験施工による実証試験から実環境でも有効であることが確認できた。また耐候性メカニズムの解明を進めて紫外線遮蔽と酸素透過の抑制によって塗膜や基材である木材の劣化を防いでいることがわかってきた。
    持続可能な社会の実現に向けて木材の利活用の拡大は大きく注目されており,今後もCNFを活用した木材用耐候性塗料の開発を継続して実施する。
  • 谷川 和美
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 111-113
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    CNFは一般的に湿式条件下で機械的処理によって微細化され,物性制御や有効活用する上で分散性の評価,とりわけ粒子径分布評価は重要である。粒子径分布計測には様々な原理,手法があるが幅広い分布を持つ粒子や異形粒子の測定は困難であり正確な分布が得られない課題がある。解繊の過程において様々な粒子径が同時に存在していることが多いCNFの評価においては,分解能の高い計測法が必要となる。
    ディスク遠心沈降方式粒子径分布測定法は,多くの計測法で用いられるフィッティングアルゴリズムを用いずに直接的に粒子を観測しており,さらに一旦各サイズごとに分級してから粒子を検出する方式のため分解能が非常に高い方式である。このディスク遠心沈降方式粒子径分布測定法を用いて処理回数の異なる6種類のCNF試料の粒子径分布の測定を行った。処理回数の少ない試料では,数十nmから数µmにかけて3つのピークをもつ分布が得られた。処理回数の増加につれて数µmのピークは消失し,数百nmのピークの減少が見られると同時に数十nmのピークは増加した。再現性もおおむね良好であった。ディスク遠心沈降方式粒子径分布測定法を用いることでCNFの物性制御や有効活用への利用が期待できる。
  • ニック インス, ティモシー パターソン, ブレンダン シセウスキー, 白幡 悠人
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    家庭紙マシンにおいて,クレーピングドクターブレードの振動は製品品質に影響する重要な要素であり,ヤンキードライヤーの問題を特定するためにも有用である。しかし,クレーピングドクターブレードの振動に関する情報はほとんど公開されていない。Solenis社は従来の研究結果を基に独自の振動監視システムを開発した。
    この振動監視システムはブレードホルダーの駆動側と操作側に1つずつ取り付ける2つのセンサー,センサーから送られたアナログ信号をデジタル信号に変換するためのボックス,デジタル信号の表示と分析のための専用のソフトウェアが入ったノートパソコンからなる。このソフトウェアは振動監視に留まらず問題を解析し,操業最適化を提供する。このシステム独自の特徴はリアルタイムで監視システムにリモートアクセスしコントロールできる機能である。これにより,現地の担当者と離れた場所にいるその分野の専門家が協力することが可能になる。
    振動監視システムにより測定・表示される振動は経時的に変化する。振動の経時変化を追跡することにより,ヤンキードライヤー表面に形成されるコーティング形成の問題を突き止め,マシン全体の操業とシートの品質を最適化できる。例えば,クレーピングドクターブレードが摩耗するとシートのクレープ構造が変化するが,これはクレーピングドクターブレードの振動周波数の変化で示される。また,プレッシャーロールの問題,フェルトおよびフォーミングワイヤーの汚れもまた振動周波数の変化で確認できる。このように振動監視システムによる振動測定はクレーピングドクターブレードの適切な運用に留まらない多くの利点を提供する。
  • ウルフ ベングス, クレメンス ストテルダー, ティム シンプキン, 川島 浩司
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    ティッシュおよび衛生製品の需要は過去20年間で大幅に増加している。それに伴いティッシュマシンの建設台数も増えてきおり,特にアジアにおけるティッシュマシンの増加は顕著である。また欧米ではより高品質なティッシュを製造する為に新しいコンセプトをもったマシンの開発が行われてきた。これら市況の変化はティッシュマシンで使用される抄紙用具に対する要求にも多大な影響を与えた。それは生産性の向上,製品品質の向上,抄造に関わるエネルギーコストの削減等と多岐にわたり,それらを同時に高いレベルで達成する必要があった。
    抄紙用具のリーディングカンパニーとしてあらゆるグレードのペーパーマシン向け抄紙用具の開発・製造をリードしてきたアルバニー・インターナショナル社は,ティッシュマシンにおいても近年主流となっているクレセントフォーマーや新しいマシンコンセプトであるNTTなどの様々なティッシュマシン向けに製品ソリューションを開発し,市場へ供給してきた。そして,その実績も残してきた。
    変化する市場に柔軟に対応すべく,アルバニー・インターナショナル社自身も変化を恐れない抄紙用具メーカーとして研究開発を継続し,あらゆる面で今後も顧客のニーズに応えていく所存である
  • 大橋 慎吾
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 127-130
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,国内製紙メーカーではトイレットペーパー,そしてペーパータオル,即ち家庭紙として中~高坪量品の拡充が顕著である。そして新たに導入される抄紙機は,クレセントフォーマー(シュープレス型),及びベストフォーマー(ウエットフェルト型)がトレンドとなっている。これらに共通する事項としては,フェルトが従来の圧力で搾り出す使われ方ではなく,フェルト上のシートの水分を,フェルトを介して吸引で抜くことが重要になっている点である。
    フェルトのデザインもそれに応じて,脱水経路が設計・確保された1枚基布で,高通気度にアップグレードされたタイプの出荷が顕著に増えている。今回は,その内容について述べる。
  • ―ヤンキーコーティング薬品とデジタルツールを用いたソリューション―
    ゲイリー ファーマン, 谷 知憲
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
  • 堂阪 敏夫
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    新しい繊維回収フィルタとは既存の濃縮機や洗浄機の白水に含まれる繊維をスクリーンで回収する技術である。このスクリーンには新しく開発された最小直径50 µmからなるFRBと呼んでいる微小丸孔バスケットを採用している。このFRB(特許出願中)の大きな特徴として,まず微小丸孔プレートを波型形状にすることで,プレート強度を上げながら開口面積を増やすことに成功した。次に波型形状したプレートによりロータによるプレート表面のクリーニング効果の大幅な改善を達成し,従来のプレーンなバスケットに比べて,高圧洗浄する頻度が半分以下となった。最後に,組立式バスケットを採用しているため,消耗したプレートのみ交換することでバスケットの再生が可能となった。
    たとえばLBKPを処理した洗浄機の白水を繊維回収フィルタで処理することで,繊維長が0.5 mm以上ある有用繊維を70%近く回収することができる。さらに新しい繊維回収フィルタは,濃縮機や洗浄機の白水から繊維を回収するだけではなく,フローテータフロスからの繊維回収,低処理量の濃縮機,白水中の異物除去など,他のアプリケーションに展開できる可能性を秘めた新技術である。
  • 加地 晋一郎
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    製紙機械には,紙を「抄く」,紙を「巻く」,紙を「折る」,紙を「切る」,紙を「包む」といった5つの機能があり,当社はその全ての機械を設計製造している。今回は「巻く」機械について,紹介する。
    家庭紙用プライワインダーにおいては,複数枚の紙を圧着する目的でコンタクトエンボス装置搭載しているが,弊社では抄紙機の高速化に対応するためオリジナルのコンタクトエンボス装置を開発した。最新のプライワインダーにおいては,常用1,400 m/min(機械的最大1,500 m/min)の速度で運転されている。
    洋紙製造ラインに設置されるスリッターワインダーでは,巻取完了から次巻取開始までのワインダー停止時間を短縮することを目的とし,自動卸替え装置の改良を進め,従来の自動ワインダーの約半分の取り卸し時間となる自動卸替え装置を開発した。また2次加工用スリッターワインダーは,多種多様な製品に対応するため,広範囲な張力制御や巻き固さ制御が行える構造となっている。
    不織布用スリッターワインダーでは,伸びやすい不織布を低張力で巻き取ることが可能なよう,同期制御装置を備えたスリッターワインダーを開発した。品質管理が求められる分野には,異物検出装置を備えたスリッターワインダーも用意している。
    弊社最新のTR-8型トイレットワインダーにおいては,ソフト巻きから長尺巻き製品まで幅広く対応した制御機構を搭載している。
    加工機パイロット設備が,弊社工場内に完成し,トイレットペーパーやキッチンペーパーのカレンダ加工,エンボス加工やラミネート加工のテストが可能となった。8月には折り装置(インターフォルダ)も追加され,紙や不織布等幅広い素材の折りのテストも可能となる予定である。
シリーズ : 大学・官公庁研究機関の研究室紹介 (149)
研究報文
  • 林 佑美, 薮原 靖史, 太田 由美, 久米 誠, 清水 美絵, 藤澤 秀次
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 77 巻 2 号 p. 150-158
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
    当研究グループでは,セルロースナノファイバー(CNF)を用いた新規粉体材料として,表面がCNFで被覆されたポリマーマイクロ粒子である,CNF/樹脂複合粒子(複合粒子)の開発を行っている。繊維幅の均一なCNFは,木材パルプ繊維の表面にTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル)触媒を用いてカルボキシ基を導入し,機械処理により水中で微細化することにより作製できる。このCNF水分散液中に疎水性のジビニルベンゼン(DVB)モノマーを添加してエマルションを形成し,エマルションを鋳型としてモノマーを重合することで,poly-DVB(pDVB)をコア樹脂とした,複合粒子を調製できることがこれまでに報告されている。本検討では複合粒子の応用のため,コア樹脂種の拡張及びCNF表面への機能性付与を試みた。
    四級アンモニウムカチオンを用いて表面を疎水化したCNFの水分散液を用いることで,未修飾のCNFを用いた場合と比較し,より多くの種類のモノマーで安定なエマルションの形成に成功した。これにより,より幅広い種類の樹脂をコアとした複合粒子の作製が可能となった。また,これらの複合粒子はCNF被覆のない樹脂粒子より機械特性が優れていた。
    CNFのカルボキシ基との静電相互作用により,複合粒子への機能性材料の吸脱着を試みたところ,抗菌剤,金属イオン,高分子,蛍光色素や酸化還元色素等のカチオン性機能性材料がpH依存的に吸脱着することが明らかになった。中でも,会合すると発光波長が長波長にシフトする蛍光色素は,複合粒子に吸着すると単分子に起因する短波長の蛍光発光を示した。これは,CNF表面に規則的に導入されたカルボキシ基が,蛍光色素の会合を抑制したためと考えられる。
    このような機械特性や,機能性材料の凝集・会合抑制効果を活かした複合粒子の商材展開が期待される。
  • Yumi Hayashi, Yasushi Yabuhara, Yumi Oota, Makoto Kume, Mie Shimizu, S ...
    原稿種別: research-article
    2023 年 77 巻 2 号 p. 159-168
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
    In the present study, we investigated the development of dry powders comprising polymer particles covered with cellulose nanofibers (CNFs). CNFs with uniform widths can prepared from wood cellulose by TEMPO (2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl)-mediated oxidation, which introduces carboxy groups onto the surface of the cellulose. Divinylbenzene (DVB) monomer droplets are stabilized by CNFs in an aqueous emulsion system, and it is possible to obtain poly-DVB (pDVB) microparticles that are densely covered with CNFs by polymerizing the DVB in such a system. Herein, we developed an approach to fabricating CNF-shelled composite microparticles with cores comprising various types of polymers, and investigated the properties of their carriers.
    We found that it was easier to stabilize the monomer droplets in an emulsion if the CNFs were modified with quaternary ammonium (QA) cations. This strategy enabled us to produce CNF-shelled composite microparticles with various types of core polymers. Moreover, the mechanical properties of these composite particles were superior to those of polymer microparticles without a CNF shell.
    The electronic interaction with the surface carboxy groups of the CNF shell endowed the composite particles with the pH-sensitive ability to adsorb/desorb various cationic molecules, such as antibacterial agents, metal ions, polymers, and fluorescent or redox dyes. Interestingly, when fluorescent dyes were adsorbed onto the composite particles, the emission wavelength was shorter than in the solid state, which suggests that interaction with the carboxy groups dissociated on the surfaces of the particles prevented the aggregation of the fluorescent dye.
    The functionalized cellulose nanofibers/polymer composite particles produced by the process have desirable mechanical and carrier properties, and are therefore potentially very useful for industrial applications and in the security field.
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